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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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ディール ②

 レイクスが黙らされて大人しくなると、今度は金髪頭が自慢話を再開する。

 西方諸国のどこかに有る神教会の祈念碑を上回るクソデカ慰霊碑の自慢から始まって、年越しイベントでの精霊騒ぎの話に移り、内戦と隣国との国境紛争に大勝ちした話へ、今は実家が治めている領地の発展自慢だな。


「それでねー! ウォーレス領は仕事がたくさん有って人手が足りないのよ!」

「へぇー。活気の有る領地なんだな」

 戦争に強いだけじゃなく領地開発と輸出事業で儲かってるらしく、内戦や近隣国で焼け出された難民の受け入れを行っていて人口が激増している領地なんだと。

 それでも人手不足で困っていて、流入民の受け入れを続けているそうだ。


 流入民の半分ぐらいは内戦に敗北した国内の領地から来た同国人らしいが、残りの半分は勇王国に滅ぼされた近隣国からの戦争難民か・・・。

 ザッと聞いた感じ、流入してきた異国民が総人口の20%を超えているっぽいんだが、文化の違う移民が20%ってのはメチャクチャ高い比率だぞ。

 地球でも移民による文化侵略や制御不能な治安悪化が大問題になっていた。


 大丈夫なのかと注意を傾けて聞いていたんだが、移民の方が大人しく新天地に馴染もうとしているそうで、特に問題は起こっていないらしい。

 ふぅん? 流入民のコントロールに成功している理由が、この銀髪頭ねぇ。

 “精霊姫”だとか陰で崇拝されていて、すんなりと同化が進んでいると。


 金髪頭の自慢話を聞きながら銀髪頭に目を向ければ、本人は崇拝されていることが不本意らしく目を逸らされた。

 んで、この金銀の2人は姉妹らしい。

 家名が違うし、見た目も雰囲気もずいぶんと違うが、銀髪頭も否定しねえし事実なんだろう。


 公爵家と伯爵家の娘が姉妹? と疑問に思うところは有るが、貴族なんてものの常識がどうなのか俺には分かんねえからな。

 しかしまあ、この金髪頭は歳相応の子供らしく元気な上によく喋る。

 しっかりと教育されているのか、そこそこ難しい話をするし、話し口も貴族の子女らしく偉そうなんだが、嫌味に感じないのは底抜けに明るい本人の性質によるものかもな。


 雑談に応じながら30分間ほど歩くと、揃いの甲冑を着た騎士たちが犬っコロを吊して血抜きしている場所に出た。

 落ち葉を蹴散らす軽い足音とガシャガシャと金属が擦れ合う甲冑の音が近付いてくる。


「フィオレ!」

 声変わり前の甲高い少年の声が森に響いた。

 今度は何かと目を向ければ、金銀娘よりも少しだけ年上に見える少年が3人の騎士を引き連れて駆けてくる。


「・・・お兄様。早かったですね。―――、いや。遅かったのかな?」

「ふぉおおおおおっ! イエーティだぁっ!」

 金髪娘に似た髪色の少年を銀髪頭が迎え入れようとしたが、首を傾げている銀髪頭の目の前で足を止めた少年のキラキラと輝く目は宙に浮いた魔獣へ吸い寄せられていて、銀髪頭には向いていない。

 銀髪頭はコイツの妹か?

 妹だとしても自分で声を掛けたくせにガン無視して魔獣に夢中とはフリーダムだな。


「こっちの子は?」

「・・・ファーレンガルド家の次男で、私の許婚のアスクレーお兄様です」

 知ってるヤツに訊いた方が早えと銀髪頭に訊いてみれば、ファーレンガルド?

 んん? それに、許婚なのにお兄様なのか?

 まあ、そっちは良いや。


「ファーレンガルド家、つーと、ファーレンガルド領の?」

「そのファーレンガルド家ですよ。―――ほら、お兄様? お客様ですからご挨拶してください」

「あっ」

 銀髪頭に窘められると、正気に戻った少年が一転してピシッと姿勢を正す。

 何だ? このスイッチが切り替わったような変わりよう。


「アスクレー・ファーレンガルドです」

「お、おう。冒険者のテツです」

 少年―――、アスクレーと向き合って頭を下げ合う。

 頭を上げた瞬間、再びスイッチが切り替わる。


「フィオレ! 描き残したいから下ろしてくれる!?」

「・・・ああ。ハイ。血抜きしますから、早めに終わらせてくださいねー?」

「分かったー!」

 銀髪頭が少し離れた場所に魔獣を下ろすとアスクレーが素っ飛んで行く。


 熊の死体に取り付いたと思えば、たすき掛けに肩へ提げていた鞄から紙とペンを取り出している。

 妹―――、いや。許婚を放り出して、ありゃあスケッチでも取ってるのか・・・?

 なんつーか・・・。


「マイペースだな」

「・・・だよね」

 何とも言えない微妙な表情で、アスクレーに目を向けている銀髪頭がボヤくような同意を返してきた。


「フィオレ様」

 不意に至近距離で女の声が聞こえてドキッと鼓動が跳ねる。

 今度は何だ?

 音もさせずにスゥーっとメイドの一団が接近してきて金銀娘の周囲を固める。

 メイドたちと軽く会釈を交わす。


「ほう・・・?」

 人数は8人。

 メイドたちは俺たちを警戒していた様子だが、銀髪頭とメイドの1人がアイコンタクトを交わしただけで警戒が引き下げられたことが分かる。

 このメイドたち、うちの連中よりも強えんじゃね?

 問題なく勝てそうなのはクァタルぐれえか。


 金髪頭が言っていたように、しっかりと統制が取れているようだし、何より、足元の地面を覆っている落ち葉を踏んで接近してきたのに足音がしなかった。

 コイツら、暗殺者(アサシン)ってヤツか?

 足元を掬われねえように気を付けておかねえとな。



ディール②です。


フリーダム!

次回、隠形術!?


※ 今日は大遅刻です!

  いつも定時にお待ちいただいている方々におかれましては、深くお詫び申し上げます!

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― 新着の感想 ―
遅刻だなんて滅相もないことです。 読者には読ませていただけるだけでありがたいのです。 フィオレと相対するテツサイドの心情が面白く深く語られて 魔女のストーリーが重厚に成っていきます。面白い!!
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