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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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クラン ⑤

 エテルナ女史に討伐依頼書の束を渡して完了処理を頼むと、素材売却査定に取り掛かるために売却する獲物全部を解体作業場へ納品するように指示を受けた。

 売却代金は、解体作業場のジジイから査定報告書が届き次第、俺たちパーティーの口座へと入金処理される。


 王都の市場がどんあ開催スケジュールか把握してなかったんだが、エテルナ女史に訊くと偶然にも今日は市場が立つ日だったらしい。

 まだ陽が高いこの時間なら街の商店も開いているだろうと、馬車チームを連れて買い物へと繰り出すべく、ギルドの預金からいくらかの金貨を余分に出金しておいた。


「今日は、まあまあだな」

「そりゃどうも」

 獲物の損傷具合と鮮度だけをチェックされて、お褒め? の言葉と鼻息ひとつだけを頂戴する。


 荷下ろし場で獲物を回収し、馬車チームも連れてジジイの作業場へと搬入しに行ったら、初めて見る馬車チームの面々にジジイは、これっぽっちも興味を見せなかった。

 今日からご近所さんでも有るんだから愛想の一つぐらい―――、と言いかけたら、肉切り包丁が飛んできそうな気配だったからケイナを担いでサッサと逃げ帰ってきた。


 そのまま解体作業場から数件隣の建物へと移動し、我が家となった建物の鍵を開けた。

 安宿の鍵と違って、元商会の建物は鍵も凝ってそうだ。

 大きな引き戸を引き開け、荷馬車をそのまま建物内へと乗り入れる。


 入口以外は窓も扉も閉まっていて屋外から差し込む薄明かりでは建物内を見渡せないが、結構広い空間だな。

 結構、つーか、荷馬車を3台も楽々で乗り入れられるんだから、かなり広いぞ。

 暗さでイメージしただけだが、その辺のマンションの地下駐車場ぐらいは広さがあるんじゃね?


 暗がりの中、だんだん暗がりに目が慣れてきた。

 広い空間を横切って奥へ真っ直ぐ突き当たった引き戸を開けると、裏庭から入ってきた風が倉庫内に溜まっていた古い空気を攫って入口側の引き戸から抜けていく。


 裏庭には牛馬が10頭は入れられそうな厩舎が付いているから、馬車から解放した馬7頭を新しい棲み家へと入れてやった。

 何が面白いって、荷馬車の軛から解放してやっても馬たちは大人しくその場で待っていて、ケイナがトコトコと先導すると手綱も引かれていないのにゾロゾロと付いて行くんだよ。

 そして、自分で厩舎に入ってから一仕事終わったとばかりにブルルと鼻息を鳴らす。


 厩舎に隣接した小屋を覘いてみれば食餌や寝床用の干し藁は潤沢に残っているから、しばらくは買い足さなくても大丈夫だろう。

 内戦を怖れた商会が夜逃げ同然で逃げ出していったという建物には、商品価値が無いとばかりに置いて行かれた物が乱雑に残っている。


 使えるものは使えば良いんだがな。

 縁起が悪いというか、あんまり気分の良いものでもねえから、残留物の整理は明日からでも始めよう。

 先ずはメンバー全員に、適当に腰掛ける物を―――、と言っても、みんな空の木箱だが持って来させる。


「揃ったな。ここが俺たち全員の、今日からの拠点だ」

「わー。ぱちぱちぱちー」

 何だそりゃ? 意外とテンション高えな。

 ぺちぺちとケイナが拍手を始めたので、何となく流れでみんなが拍手した。


「で、だ。この建物の2階と3階には居室が有る。後で好きな自分の部屋を決めて、足りない物をチェックしろ。それが終わったら、みんなで不足品の買い出しに出る」

 俺を除く全員が、神妙な顔で頷いている。


「改めて、同居人になる他の全員の前で、各自、順番に自分の名前と得意なこと、出来ることを申告していけ。言うまでも無いが、俺はお前たちの種族が何で有ろうとそんなものに興味は無いし、お前たちが仲間を裏切らない限り、どんな相手からでもお前たちを護ってやる」

 最初に言い出しっぺの俺が名乗り、ヒト族の冒険者で戦士職だと伝える。

 俺に続いて、ケイナが被っていた飛行帽を脱いだ。


「「「―――ッ!!」」」

 ドワーフ父娘以外の3人がポロリと目玉を零れ落とさんばかりに目を剥いた。

 驚きを声に出さなかったことは褒めてやろう。

 態度次第ではブン殴っての口封じも辞さないつもりだったが、強硬手段に出る必要は無さそうか?

 まあ、念押しだけはしておくか。


「ケイナです。見ての通りエルフ族で、魔法術士の冒険者です。あと、私はテツさんの娘みたいなものです」

 うん。ケイナの自己紹介がちょっと嬉しい。

 一人ひとり、全員の目を順に見据える。


「分かってるとは思うが、余計なことを外の連中に話すなよ? そんときは誰であろうと俺が永久に喋れねえように手を下す。ついでに言っとくと俺は日本人だ。お前らは全員が一蓮托生の仲間だと思え」

 ドワーフ父娘も含めた全員がコクコクと頷くのを確かめてから、手のひらで自己紹介の続きを促す。


「・・・ぎゅ、牛人族のイカウです。商家で働いていましたので算術が得意です。・・・その、体は大きいですが私は争い事は、からっきしで・・・」

 商家出身ってことは経理は出来そうか。

 自信が無さそうなタイプだな。

 小さな角が髪の生え際から生えていて、確かにガタイはデカいが乳牛の獣人なのか、髪は白と黒の斑だな。


「アチシはミャウラですニャ。猫人族で家は農家だったですニャ。夜目は利くし畑仕事と家事は一通りできるけど、犬は苦手ですニャ?」

 黒毛に近い茶色の髪で好奇心が強そうな碧眼をしているが、猫ってことは基礎的な身体能力は高そうか?

 実家が農家ってことは、馬の世話は任せられそうだな。

 語尾? ツッコまねえぞ。


「オレ・・・、私は」

「オレでいいぞ」

 言い直そうとしたので、ついツッコんじまった。


「・・・オレはクァタル。獅子人族で剣士をしていたが、足を悪くして戦えなくなった。大したことは出来ないかも知れないが、オレに出来ることは何でもやりたいと思う」

「足? 膝に矢でも受けたか?」

「そのようなものだ」

 膝の上に置いていた拳にギュッと力が入る。

 右足が痺れて動かんのだ、と目を伏せてクァタルは言った。



クラン⑤です。


自己紹介!

次回、買い出し!?

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