表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/7

望んだ通りの形におさまってあげていく

 その後、王子は公爵令嬢と結婚。

 それから暫く時を置いて、聖女と元平民娘を側室に迎えた。

 公爵令嬢の上流貴族勢力。

 元平民娘の低位貴族勢力。

 聖女の教会勢力。

 この三つをまとめ上げるために。



 これにより王子は、国内各勢力を糾合するきっかけを作った。

 同時にそれは各勢力に操られる可能性をも生み出したのだが。

 それでもかまわなかった。

(まあ、あとは野となれ山となれ、だ)

 この先に何か希望を抱いていたわけではないのだから。



 そんな王子は、各勢力のバランスを見極め、上手く操っていった。

 時に失敗もあったが、概ね順調に国内勢力をまとめていった。

 三つ巴の状態をうまく使って、各勢力の力を利用していった。



 各勢力の力を使って、

 各勢力の力を削っていった。



 削って空いた場所に、自分の手下を押し込んでいった。

 最初は小さなところから。

 少しずつ大きな所に。



 やがて、三勢力を互いに食い合わせ、力を大きくそぎ落とし。

 その時に最も使い勝手のよい手下を要職にはめ込んだ。

 何でも言う事を聞くイエスマンな腰巾着を。

 その時点で王子は、三勢力を殲滅した。



 でっち上げた罪状による逮捕・投獄。

 即決裁判による罪状決定と、刑罰の即時執行。

 間を置かず行われるギロチンによるクビの切り落とし。

 それは連日行われ、ギロチンの刃から血が拭う暇もなかった。



 王子の妃となった三人も例外ではない。

 姦通を言い渡された三人は、弁明など一切させられずに断罪。

 処刑の執行となった。

 三人が生んだ子供も一緒に。

「これはあなたの子です!」

「どうかお考えなおしを!」

「なんで、どうして!」

 三人の悲鳴を聞きながら、王子は刑の執行を命じた。

 同じようにギロチンにつながれていた子供達も。

 子供達は姦通による不義の子として処断される。



「やれ」

 その支持に従い、刃が落ちる。

 断頭台の名の通り、ギロチンは王子の家族だった者達のクビを切り落とした。



 その手は妻子だけではない。

 親にも向けられる。

 兄弟姉妹、親戚にも。

 王族であるという特権など全く意にも介さず逮捕・拘禁。

 裁判という名の断罪を経て、クビを断ち切られていった。



 これにより、残った王族は王子と、王子に従う腹違いの弟が一人。

 父方の従兄弟が一人だけとなった。

 加えて母親方の親戚は全て断頭台送りにした。

 閨閥の介入が鬱陶しくなるからだ。

「独裁にはいらないからな」

 王冠を手に入れて国王となった王子はそう呟いた。



 これで王子あらため国王は国内の全権を握った。

 逆らう者はいない。

 いるのは国王の協力者か追従者だけ。

 やりたい事を思い通りにやっていける。

 なのだが、現実はそう簡単でもない。



 邪魔になるからとはいえ、王侯貴族を殺しすぎた。

 国内の統治がままならなくなっていしまっている。

 普段は勢力と派閥争いに忙しい貴族ではある。

 だが、それでも統治者だった。

 それらが消えれば統治体制は簡単に崩壊する。



 せめて代わりになる者達がいれば良いのだが。

 そんな人間がそう多く居るわけもない。

 簡単に育成できるわけもない。



 だが、国王はそれでかまわなかった。

 別に国を統治するつもりはなかった。

気に入ってくれたら、ブックマークと、「いいね」を


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ