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君が死んでも世界は美しく回る  作者: りりぁ
私の世界は、薔薇色に満ちている
1/2

1.値札のついた操り人形

始めての投稿です。

よろしくお願いします!

「見て、キティお姉さま!

 このドレス、まるで冬の朝に凍りついた薔薇みたいでしょう?

 今日の夜会では、間違いなく私が一番の主役ね!」


鏡の前でくるりと輪を描き、燃えるような赤毛を揺らした少女——私の『主人』であり、ヴァレンティ公爵夫人となったアンナは、無邪気そのものの笑みを浮かべて私を振り返りました。


極上のシルクで作られたエメラルドグリーンのドレス、散りばめられたダイヤモンド。

燃えるような赤毛、爛々と輝くエメラルドの瞳、陶器のように白い肌。

それらは確かに美しい。

けれど、私にとっては、値札のついた極上の操り人形が、誇らしげに糸を誇示しているようにしか見えません。


私は、完璧に仕込まれた侍女の微笑みを仮面のように貼り付け、おずおずと、しかし彼女の自尊心を最高潮に満たすトーンで声を弾ませました。


「まあ……!本当にお美しいですわ、アンナ様。

 エスコートされるアレク様も、きっと周囲の羨望の的に気圧されてしまうのではないでしょうか」


「ふふ、そうでしょう?もっと褒めてちょうだい!」


アンナは満足げに胸を張り、鏡の中の自分にうっとりと見入っています。


この実家が金持ちなだけの無知なお嬢様は、自分が世界の中心にいると本気で信じ込んでいる。

その圧倒的なまでの愚かさが、哀れで、そして愛おしくてたまりません。


カツ、カツ、と静かな足音が廊下から響き、部屋のドアが開きました。


そこに立っていたのは、私の最愛のひとであり、この国の最高権力者——アレクシス・ヴァレンティ公爵。


「アレク!」


アンナはすぐに駆け寄り、彼の腕にしがみつきました。


「遅いわよ!ほら、私のドレスを見て。

何か言うことはないの?」


アレクは私に一瞬だけ視線を向けました。

その琥珀色の瞳の奥にある冷徹な光を、私は正しく受け取ります。


『よくやった、キティ。綺麗に飾れているな』


声に出さない彼の賛辞に、私の胸は甘く疼きました。


アレクはアンナの頭を優しく撫でるフリをしながら、感情の籠もらない、しかし洗練された声で囁きます。


「ああ、綺麗だよ、アンナ。

君のその美しさは、我がヴァレンティ家の最高の誇りだ。

実家のご両親も、君のこの輝きを見ればさぞ安心するだろう」


「もう、相変わらずお堅いんだから!

でも、ヴァレンティ家の誇り、ね。

いい響きだわ!」


アンナは気づきもしません。

アレクが彼女の『美しさ』ではなく、その後ろにある実家の財力(金づる)だけを評価していることに。

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