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れん@にゅーぼでぃ

前回のあらすじ!

 死んでしまったノロちゃんを怪しい儀式で復活させただんちゃんは、それを見ていた先生に風紀委員に指名される。れんちゃんは風紀委員の役割をまっとうすべく、ひでちゃんやノロちゃんと号令合戦を繰り広げる。その号令を聞きつけたライバル校が襲撃をかけてきたが、風紀委員の結束により、見事撃退したのだった!



「れんちゃんとだんちゃーん?

 お父さんが試作品改良したって言ってるから、研究室に行ってあげて?」


 朝。登校前の時間。

 お母さんにそう言われた私ことれんちゃんは、自称研究者のお父さんの研究室へ歩いていた。


〈今度は、ちゃんとしたのが出来たんでしょうね?〉

(まあまあ、ほら、いろいろ欠陥はあるみたいだけど、私とだんちゃんを分離するっていう目標は達成できてるじゃない?)


 不安そうな声を上げるだんちゃんをなだめ、お父さんの研究室の扉を開く。

 中に入ると、お父さんが出迎えた。


「おお、はずむつらね。よく来たね」

「お母さんから、試作品改良したって聞いたけど、どうなったの?」

「うん、よくぞ聞いてくれた!

 ノロちゃんを空きビンロボに改造したり、データを取っているうちにインスピレーションがわいてね!

 大幅な改良を加えることが出来たんだ!

 さあ! さっそく我が研究成果を披露しようじゃないか!」


 仰々しく、後ろの棚から立派な金属製の箱を取り出すお父さん!

 開けてみてくれ、と言われて開けてみると、中には、なんとダンボールが!


〈結局ダンボールなんじゃない!〉

(まあまあ、ほら、これから何か違う流れになるかもしれないじゃない?)


 またも頭の中で叫ぶだんちゃんをなだめ、お父さんから試作品を受け取る。


「ええっと、この中に宝石()を入れればいいの?」

「うむ! 使い方は変わっていないから、箱の中に入れて蓋を閉じれば大丈夫だ」


 お父さんに言われたとおり、私は普段ネックレスにしている宝石のアバター()を外し、ダンボールの中に入れた。


 蓋を閉じる。

 暗転する視界。


 次に光を取り戻した時、ちょっと低い視界が広がっていた。

 どうやら、無事にだんちゃんに抱えられたダンボールへ意識が移ったようだ。


「それで、何がどう変わったの?」


 ダンボール()を抱えながら、だんちゃんがお父さんに問いかける。

 お父さんはうなずきながら説明を続けた。


「うん、まず、魂を切り離せる時間が増えた!

 改良前は24時間稼働後、およそ168時間のインターバルが必要だったが、稼働時間は48時間に延長し、インターバルは84時間まで減少した!」

「え? それだけ?」

「もちろん、魂魄距離も改善している。今まで連と単は100メートルほどしか離れられなかったが、改良後は200メートルまで延長した!」

「他には、ないの?」

「まさか!

 私はこの程度の改造じゃあ満足しないとも!

 最大の改善点はこれからだ!

 つらね、合体シーケンスを起動してみてくれ!」


 お父さんに言われて、ゲームのコマンドボタンのように視界の中に浮かぶ「合体!」ボタンを押してみる。もちろん、ダンボールの中の私は宝石なので、実際に手で押すわけじゃない。押したようなつもりになるだけだ。


 それでも、しっかりとコマンドは起動!

 視界に「超魂合体!」の赤文字がデカデカと表示される!

 どこからか飛んでくるダンボールパーツ!

 合体完了! の文字とともに、キメポーズをとるダンボール!


「見よ! この胸のトリを!」

「ねえ、見てみて、だんちゃん! トリ、トリ!」


 ダンボールロボの胸には、なんとトリがついていた!

 他にも細かいデティールが追加されている!

 これはすごい改善点だ!

 コスプレダンボールロボがダンボールアートにまで昇華されている!


 が、なぜかだんちゃんからは冷めたい声が返って来た。


「ああ、うん、鳥ね、トリ……」

「む? どうしたはずむ? トリだぞ? 必殺技も撃てるんだぞ!」

「ああ、うん、必殺技ね、ひっさつわざ……」

「そうだよ! だんちゃん! 変形もできて、バードモードにもなれるんだよ!」

「ああ、うん、バードモードね、ばーどもーど……」


 おかしい。

 だんちゃんの反応が薄い。

 私はお父さんにこっそり話しかけた。


「お父さん、やっぱり、トリじゃなくてライオンの方がよかったんじゃない?」

「む? そうだったか? いや、しかし、お父さんは勇者■■□□□□派なんだ。

 設計・デザインだってその道のプロに依頼し、完全に再現している!

 これを実現する努力に比べれば、他の改善など大した時間もかかってない!

 きっと、単も学校の人気者になれるぞ!」

「きっと、だんちゃんは勇者◇◆◆◆◆◆とかの方が好みだったんだよ!」

(注)■や□や◇や◆(伏字のハコ)の中身はご自由にご想像ください。


「ああ、うん、取り敢えず、トリで誤魔化そうとしたのは分かったわ」

「お父さん、だんちゃんがトリは取り敢えずなんじゃないかって。トリだけに」

「うん、お父さんは勇者■■□□□□(昭和のロボット漫画)に出てくるノリみたいで大好きだぞ?」


 無言で出て行こうとするだんちゃん。

 どうやら、完全にへそを曲げたらしい。


「あ、ごめんゴメン、ごめんってば!」


 私は慌てて謝りながら、学校へ向かうだんちゃんを追いかけた。



 ―――――☆



 予想通り、私ことダンボール勇者ロボのハコちゃんは、学校で大人気となった。

 あっという間に見た目不良さんに囲まれる私。


「すげえ!」

「これぞロマン!」

「ロボットアニメ研究会に興味ありませんか!」


 そんな声に手を振りながら、自分の席に着く。

 この陽光第一学園、通称ヨウチ園は、ダンボールでも生徒として受け入れるくらいには多様性が尊重されているのだ。


「へー、ハコちゃんって、バージョンアップしたんだ」

「うん、制服着ちゃうと、胸のトリが隠れちゃうのが難点なんだけどね?」

「うーん、ちょっと改造すればイケそうな気がするけど?」


 ダンボール勇者の額にマジックペンで勇者■■□□□□と書き込んでいるさっちゃんと話していると、扉が盛大に開いた。

 隣のクラスの不良Aさんだ。

 残念ながらこの不良Aさんは多様性あふれる素晴らしい校風に染まっていないらしく、未だ私をダンボールロボ呼ばわりしている。


「うお! ダ、ダンボールロボがパワーアップしてる!」

「もう、ダンボールロボじゃなくて、ハコちゃんだってば!

 バージョンアップもしたんだから、いい加減ダンボールから離れなさいって!」

「ああもう、どっから突っこんだらいいか分からねぇよ!」


 だんちゃんが激しくうなずいている!

 しかし、こちらに参加するつもりはないようで、黙って見ているようだ。

 が、不良Aさんはだんちゃんの方へ向き直った。


「ああ、そうだ! 今日はダンボールに用はねぇんだ! だんちゃんの姉御!」

「その姉御っていうの、やめてくんない?」


 それはもう嫌そうに返すだんちゃん。

 少し前に、風紀委員に指名されてから、だんちゃんはまたしても姉御と呼ばれ始めている。


「頼む! 極道の奴に! 力を貸してやってくれ!」

「土下座すんのもやめてほしいんだけど?」


 極道というのは隣のクラスの風紀委員、極道秀男くんのことだ。

 私はひでちゃんと呼んでいる。

 ヤクザとは特に関係ない。


「極道の奴、隣の高校トリに行くって、特攻していったんだ!」


 どうやら、不良校特有のヤクザ的な何かと関係があったようだ。

 だんちゃんも嫌そうにしながら話を聞く。


「なんでそうなったの?」

「ほら、この間! ドウブツ園の奴らが襲撃に来て、返り討ちにしただろ!

 その関係だよ!」


 ドウブツ園というのは隣の高校の略称である。

 正しくは不動武烈学園だが、それがドウブツ園になる程度には、底辺校である。


「で? 私にどうしてほしいの?」

「いや、この間の襲撃返り討ちにしたの、姉御じゃねえっすか!

 助けてやりに行ってくださいよ!」


 そういえばそうだった。

 あの時は私がだんちゃんに憑りついていて、ゲームのアバターと同じ力が出る私は、不良を吹っ飛ばしたんだった。

 つまりは私のせい?


「よし! だんちゃん! 行こう! すぐ行こう!」

「え? は? ちょ、待っ!」


 待てない。

 話が変な方へ広がる前に、私はバードモードに変形すると、だんちゃんを背に、ドウブツ園へと飛び立った。



 ―――――☆



 ひでちゃんはすぐに見つかった。

 不動武烈学園、通称ドウブツ園の校門前だ。


「押忍! 不肖! 陽光第一学園! 壱年弐組! 極道秀男!

 ここに参上!」


 なんか叫んでいる。

 私はだんちゃんと一緒にひでちゃんの隣へと降り立った。

 だんちゃんの嫌そうな声が響く。


「なにしてんの?」

「はっ!? 姉御! なぜここに!」

「知らないわよ、そんなの。

 私はハコちゃんに連れてこられただけなんだから」

「え? もう、だんちゃん、さっき言ったじゃない。

 ひでちゃんがドウブツ園をトリに行くって聞いたから、助けに来たんだよ?」

「だよ、じゃないわよ! なんで! 私が! 助けなきゃなんないの!」

「だって、あの時返り討ちにしたのはわた、じゃなくて、だんちゃんだし?

 だんちゃんもノリノリだったし? ちょっと責任あるんじゃないかなって?」

「……う」


 だんちゃんもノリノリ、というところで小さくうめき声をあげるだんちゃん。

 が、それを吹き消す大声が、隣から響いた。


「押忍! 不肖! 陽光第一学園! 壱年弐組! 極道秀男!

 姉御! 俺はこの学園をトリに来たわけじゃありません!」

「え? 違うの?」

「押忍! 不肖! 陽光第一学園! 壱年弐組! 極道秀男!

 風紀委員であります! 暴力反対であります!」


 顔を見合わせる私とだんちゃん。

 戸惑いがちに、だんちゃんが問いかけた。


「でも、さっき、不良Aが学園トリに行ったって……」

「それはきっと聞き違いか、伝言ミスと思われます!

 実は、この間の襲撃で! 姉御にドウブツ園の不良共々吹き飛ばされた俺は!

 この学園の女子生徒の小鳥遊ことり(たかなしことり)さんという方に手当されまして!

 借りたままだったハンカチをハンカチを返しに来たのです!

 始業前に、隣の学園のことりさんに会いに行く、と、同じ風紀委員の野呂井さんに伝言を頼んだのですが、野呂井さんの片言を誰かが聞き違え、隣の学園トリに行く、と誤って伝わったのでしょう!」


 それ授業前にやる?

 などという常識的なツッコミはしてはいけない。風紀委員の彼としては、底辺校の授業などよりも、よっぽど大切なことだったのだろう。


「はあ、なんかどっと疲れたわ。じゃあ、そのトリさんによろしく」


 帰ろうとするだんちゃん。

 が、すぐに立ち止まった。


「ヨウチ園の奴らがウチの学校トリに来たぞー!」

「出撃じゃお前らぁぁぁ!」

「ぶっ○せーー!」


 今までのやり取りをいろいろと聞き間違えたドウブツ園の生徒たちが、校舎からわらわら出てきたからだ。

 さすが底辺校。人の話なんてまともに聞かない。

 慌てたのはだんちゃんである。


「ちょ、どうすんのよ?」

「もう、仕方ないなぁ。ここは私に任せて、二人は裏門からでもそっと入って、そのトリちゃんに会ってきて?」


 私がそう言うと、ひでちゃんが声を上げた。


「い、いいんですか?」

「いいのよ! ほら! ハコちゃんの想いを無駄にしない!」


 そんなひでちゃんをだんちゃんが煽る。


「押忍! 不肖! 陽光第一学園! 壱年弐組! 極道秀男!

 必ず! トリさんに会って見せます!」


 さすが底辺校。ノリと勢いは素晴らしい。

 ひでちゃんは感動の涙を流しながら、裏門へと走っていった。

 だんちゃんもそれを追う。


「あー、お姉ちゃん? 飽きたら帰っていいからね?」


 去り際にそんなことを言うあたり、我が妹はツンデレである。


「よーし、お姉ちゃん、張り切っちゃう!」


 ちょっと嬉しくなった私は、


「トリあえず必殺――ええっと、□■◇◆!」

(注)■や□や◇や◆(伏字のハコ)にはお好みの必殺技名を入れて下さい。


 新機能のかっこいい必殺技を、トリあえず全力で放った!

 あっという間に吹き飛ばされるドウブツ園の不良さんたち!

 さすが勇者■■□□□□!

 あっという間に鎮圧完了!

(注)勇者■■□□□□は決して人に向けて必殺技を放ちません。

   ご安心ください。


「うん、じゃあ、トリあえず、二人とトリちゃんを探しに行こう」


 普通に正門からドウブツ園に入る私。

 何か叫び声が聞こえる(きっとダンボール勇者の私に歓声を上げているんだろう)廊下を歩いて職員室へ。

 扉を開けてすぐ近くにいた、ジャージを着た女の先生に声をかける。


「あの、すみません?」

「はいはい。あら、その制服は――陽光第一学園の生徒さん?

 珍しいね? 襲撃かしら? いつもはこっちから攻め込んでるんだけど……?」

「いえ。ちょっと襲撃とは違いまして。この学園に通っている、小鳥遊ことりさんという方に会いたいんですけど、いらっしゃいますか?」

「あら。残念。小鳥遊さんなら、ちょっと前に、家族の都合で転校したよ?

 うちみたいな底辺校には珍しい優しい娘だったんだけど」

「そうなんですね。ありがとうございます」


 どうやら、ひでちゃんはトリちゃんに会えなかったようだ。

 仕方ない、早いとこ二人と合流しよう。

 そう思ったのだが、


「それは本当ですか!?」


 なんと扉を開いて、ひでちゃんが入ってきた。だんちゃんも一緒だ。

 廊下を走ってきたのか、息を切らしている。

 先生が怪訝そうに話しかけた。


「ええっと、こちらの方は?」

「押忍! 不肖! 陽光第一学園! 壱年弐組! 極道秀男であります!

 この間、不動武烈学園の方に襲撃された際!

 トリさんにハンカチをお借りしまして!

 お礼を言おうと参上しました!」

「あらあらあら! まあまあまあ! いいわねいいわね! そういうの!」


 ものすごく嬉しそうな先生。

 が、後ろのだんちゃんはすごく嫌そうな声を上げる。


「なに、私ってば、くたびれ損?」

「うーん、やっぱり、トリあえず必殺! ってやったのがよくなかったかな?」

「トリ会えずだけにって?

 いい加減、勇者■■□□□□(昭和のロボット漫画)みたいなノリから離れなさいよ」


 お父さんの病気が感染したかのような会話を交わす私たち。

 しかし、ひでちゃんは諦めていなかったようで。


「押忍! 不肖! 陽光第一学園! 壱年弐組! 極道秀男!

 一度決めたことは貫くべく! 転校先まで探しに行ってきます!」

「うんうん、頑張ってね!」


 先生に見送られながら、走り出した!



 ―――――☆



 後日。

 昼休み、だんちゃんボディに戻った私が、いつも通り、さっちゃんとお弁当を食べていると。


「だんちゃん、そのおかず頂戴?」

「いいよー?」

「あ、それと知ってる?」

「知らなーい」

「ほら、この間、ドウブツ園に特攻したひでちゃん。

 なんか、ストーカーで警察に捕まったらしいよ?

 なんでも、小鳥遊さん? とかいう子を、転校先まで追いかけたみたいで」


 私はトリあえず聞かなかったことにすると、お弁当をかきこんだ。



次回予告!

 警察に捕まったひでちゃんを助けるべく、もう一度ドウブツ園を訪ねるれんちゃん。しかし、れんちゃんを見たドウブツ園は発狂に包まれる。果たしてれんちゃんは無事にひでちゃんを連れ戻すことができるのか?

※ 次回は、1/22(水)投稿予定です。


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