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21.イケメンなお爺さんが現れました。


久しぶりの更新です。

結局連休中に更新できず、スミマセン。


カオス・・・・・・

この一言に尽きる現場に、今・・・私はいます。


リリー・ローズ嬢に襲われたレイン様たち。

珍しくミカエルさんたちがすっ飛んでこない・・・と思っていたら、彼らの部屋の扉は固く封じられていました。

ミカエルさんたちはレイン様の悲鳴を聞きつけ部屋を出ようとしたそうですが、扉がビクともしなかったそうです。

大人の男性が複数人で扉を破ろうとしてもダメだったとか・・・

廊下から見ても、部屋の扉は普通そのものなのですが。

いったい何をどうしたらそんなことが出来るのか。

リリー嬢はいったい何をしたのでしょう・・・

結局ミカエルさんたちは、3階分の高さがある窓から外へ出られたそうです・・・


現在、ラファエルさんとウリエルさんは意識を取り戻し、レイン様と横並びで沈み込んでいます。

お2人はリリー嬢に遣り込められたことが相当堪えているようです。

レイン様は・・・彼女にトラウマを植え付けられ、ご自身がまるで幽鬼のように・・・

ですが、だからと言って3人揃って横一列に並び体育座りをするとはやめませんか・・・


ミカエルさんたちのお部屋の扉は廊下からは何事もなく開くことができました。

本当に何故・・・

そしてリリー嬢ですが、ミカエルさんが縄で縛り上げ、今はミカエルさんたちのお部屋に閉じ込めています。

レイン様が彼女を見ると脅えるので、迅速に運び出されていきました。

今はガブリエルさんとアズラエルさんがリリー嬢を見張ってくれています。

しかし・・・謎ばかりが残るホラーな事件でしたね。

リリー嬢が、どうしてああなってしまったのかはわかりませんが、なんてことをしてくれたのしょう!と憤りを感じます。

トラウマを拗らせたレイン様が女性不信になって男性に走ったらどうしてくれるんですか!

そうなったら絶対!!シエルのことを好きになってしまいますよ!!?

キュートで可愛いシエルのことを好きにならない人なんていませんから!

いくら王子様だからと言って、レイン様にシエルはあげませんからね!


「レイン様、大丈夫ですか・・・?」


アリア嬢が心配気にレイン様に声をかけています。


「あ、ああ、アリアか・・・ごめん、大丈夫だよ・・・多分」


レイン様の様子を見ていると、アリア嬢と私は側にいても大丈夫そうです。

先程騒動に気付いた宿屋の女将さんが部屋を訪れたのですが、その時は女将さんに対しても脅えておられました。

とても優しげな女将さんなのですが・・・

『女性怖い女性怖い』とハイライトの消えた瞳でレイン様が呟いておられます。

これは本気でまずいのでは・・・

レイン様に近づける女性がアリア嬢と私だけとか・・・

身近に感じている女性だけは、近くに来られても大丈夫だとレイン様は感じておられるようです。

ですが、人類の半分は女性です。

次期王位継承者がこれではいけません。

なんとかトラウマを克服して頂かないと。


夜も遅いので、私とシエルとアリア嬢は、部屋に戻って休むことになりました。

ミカエルさんはレイン様のお側につき、ガブリエルさんとアズラエルさんはリリー嬢の見張り続行です。

ラファエルさんとウリエルさんは精神的にお仕事が出来る状態ではありませんので、レイン様と一緒に休むことになったようです。

事件のあったお部屋を利用するのは躊躇われた為、宿に頼んでもう1室用意してもらうことになりました。


やれやれ・・・と溜息を尽きながら、レイン様たちの新しいお部屋から引き上げる私とシエルとアリア嬢。

けれど、レイン様が不安気な表情で部屋から出ていく私たちの姿を見ています。

そんな捨てられた子犬のような表情で見ないで下さいっっ

私は後ろ髪を引かれながらも、明日のこともあるので、部屋に戻り身体を休めるのでした。




翌朝ー・・・

シエルと一緒に食堂へ行くと、レイン様たちが先に来ておられました。

ですが、レイン様のお顔は酷いものです。

あの後、結局一睡もできていないのでしょう・・・

目の下の隈が酷いですね・・・


「おはようございます、レイン様」

「ああ、メルトさん・・・おはよう」


おや、レイン様がやっと私の名前を普通に呼んで下さいました。

きっと名前の呼び方を気にしている余裕がないのでしょうね・・・

まだあれから数時間しかたっていませんから。

レイン様は食欲もないようで、食堂のご飯にあまり手を出されていないご様子・・・

なのに、スミマセン。

私とシエルは元気いっぱいなので、おかわりまでいただいてしまいました!

ここのお宿の焼きたてパンはとっても美味しかったです!

バターを塗ると、もう最高で!

ほわほわのサクサクのジュワーで!

ああ、美味しさのあまり、説明が擬音だらけに!

とにかくとっても美味しかったです!




朝食が終わりを迎える頃・・・

宿に執事服のお爺さんが現れました。

ふおお・・・凄くイケメンなお爺さんですね・・・

しかも私たちの座るテーブルにやってくるなり、静かに頭を下げられました。

とても綺麗なお辞儀です。


「私はローズ家の執事、ノーマンと申します。リリーお嬢様の件でご連絡を頂き、お迎えにあがりました」


おお・・・初めての生執事さんです!

お名前がセバスチャンではないのが残念ですが、見た目はどこからどう見ても執事!

一目で執事とわかるお爺さんに、ちょっぴりテンションが上がってしまいました。

ミカエルさんが連絡をとられたのでしょうか。


「彼女は我々の部屋に閉じ込めている。速やかに連れ帰って頂きたい」


ミカエルさんが冷たく突き放すように話されます。

それに対し、ノーマンさんは深々と頭を下げられました。


「・・・ご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ありません」


そういうと、ノーマンさんは教えられた部屋へ向かわれていきました。

しばらくすると、見張りとして残っていたガブリエルさんとアズラエルさんが上階から下りてきます。

お2人とも、とても疲弊されているようです。

なにかあったのでしょうか・・・

そう思っているとー・・・

お2人が疲弊している原因が姿が現しました。

ノーマンさんに連れられたリリー嬢が、騒々しく騒ぎながら姿を見せたのです。


「ノーマン!何故私がこんな目にあわないといけないの!酷い!みんな酷い!」


おお・・・リリー嬢が1人で大騒ぎしています。

様子を伺っていると、どうやら昨日の深夜・・の彼女ではなく、昼間・・の彼女のようです。

ホラーなリリー嬢が来たら、どうしよう・・・と思っていたので、ちょっぴりホッとしてしまいました。


その渦中のリリー嬢ですが、急にピタリと口を閉ざしました。

どうしたのかと思ったら、視線がレイン様の方に・・・

完全にレイン様がロックオンされています・・・


「!!勇者様あああ!」


リリー嬢がそう言って駆け出そうとした所を、ノーマンさんが素早く止められます。

そしてレイン様は顔を真っ青にしながら、ミカエルさんの背後にサッと隠れました。


「ノーマン!邪魔しないで!」

「いけません、お嬢様」

「いいから、退きなさい!」

「いいえ、退きません。これ以上、皆様にご迷惑をおかけするわけにはまいりません!」

「迷惑・・・?迷惑に感じているのはこっちの方よ!大好きな勇者様の側にはいられない!気が付いたら縛られて椅子に縛り付けられてる!どういうことなのよ、これは!」


リリー嬢の言葉に、皆さんギョッとしたお顔をされています。

先程の発言を聞く限り、どうやらリリー嬢には昨夜の記憶がないご様子。

自分が幽鬼のような姿で大人の男性2人を床に沈め、レイン様に特大の恐怖を植え付けたということを記憶していないようです。

では昨夜の彼女はいったいなんだったのか・・・

本当にホラー案件ですね。


「勇者様!勇者様はわかってくださいますよね、私のこと!みんなして私から勇者様を遠ざけるんですよ!」


レイン様は彼女の言葉に全力で首を左右に振っております。

完全に否定しているように見えますが、彼女にはそう見えなかったようで・・・


「やっぱり!勇者様なら、わかってくれるって、リリーは信じておりました!」


リリー嬢の言葉にレイン様は涙目です。

全く話が通じないリリー嬢相手にどうすればいいのかわからず、レイン様は盛大にキョドっておりますよ・・・

彼女はいったい何を見、何と会話をしているのでしょう。

ノーマンさんも悲哀の眼差しをリリー嬢に向けておられます。


「お嬢様・・・もうこれ以上は・・・お屋敷に帰りましょう」

「何を言っているの、ノーマン!行くなら勇者様も一緒よ!お父様にご紹介しないと!」


レイン様のことを何と言って紹介するつもりなのか気になるところですが・・・

それよりも、ノーマンさん!!ノーマンさんの表情が!!

残念なものを見るような、なんともいえない表情でリリー嬢を見ておられます!!!!

ノーマンさんはリリー嬢の説得を諦めたのか、彼女にはもう何も言わず、こちらに深々とお辞儀をされました。


「では、皆様・・・大変ご迷惑をおかけ致しました・・・これにて失礼致します・・・」

「ちょっと!ノーマン!離しなさい!ノーマン!!」


こうしてリリー嬢は執事のノーマンさんに引きずられ、去っていきました。

あ・・・嵐のような方でしたね・・・

彼女は、いったいなんだったのでしょう。

昨夜のアレは・・・

やっぱり彼女、何かに憑かれていたのでしょうか。

謎は謎のまま。

もう彼女には関わりたくありません・・・




私たち一行は、大急ぎで旅の支度をし、早々に街を後にすることにしました。

ですが街を出ても、レイン様はチラチラと街のある方角を気にしています。

・・・彼女が追いかけてこないか確認しているのでしょうか・・・

追いかけてこられたら私も、とても怖いです。

馬車を全力疾走させていますがー・・・

まさか・・・リリー嬢、このスピードについては・・・来られないです・・よね?

背筋がゾクゾクします・・・



その日の夜。

恐さのあまり、若干幼児退行をしているレイン様に、私はお子様ランチを作ってあげることにしました。

調理中、私の側を離れるのを怖がり、涙目で私の服の裾を握り締めて離さないレイン様。

小さな子供のようになっていて、とても・・・とても困りました。

そんな相手を無下には出来ないではないですか。

けれど・・私は貴方の母親か?!!

ここは婚約者であるアリア嬢の出番でしょう!と思い、アリア嬢を探してみたのですが・・・

遠目にアリア嬢が地面に倒れ伏している姿が見えました。

えええ!!アリア嬢に何があったんです?!!



リリー嬢とノーマンさんは、また登場するかもしれません。

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