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転生ヒロイン妄想記  作者: 篠笹
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初めての投稿です。

いろいろと拙いと思いますが、どうぞよろしくお願いします。

最近私は、ネット小説にはまっている。

哀しいかな。リアルではあまり縁のない、恋愛物を主に読み漁っている。特に今は、乙女ゲームの世界に転生してしまった、という設定のものが多い。

現代、異世界、どれも物語にはドキドキワクワクキュンキュンしているというのに、リアルではさっぱり縁がないのは如何なものだろう。

私は今、現役高校生だ。読んでいる物語の主人公たちも似たようなものだ。いや、転生物が多いから、身体が同年代でも中身は大人なものが多いのか。

しかしモブの立ち位置ならば、中身もしっかり同年代だろう。彼女たちだって、チートなクラスメイトや学園の生徒会長にときめいたりしているではないか。


私はふと、読んでいたスマホから顔を上げた。

そうか。ここは「学校」であって「学園」ではない。

そこが大きな相違点だ。単語の定義はイマイチわからないが、物語では大抵「学園」や「学院」が用いられており、それは主に、私立高校ということだ。

しかも、お金持ちが通う名門校。さぞかしお金のかかった頭脳と容姿が揃っていることだろう。

ときめく相手がわんさかだ。

「くっ…、公立ではスタート地点にも立てないということか…‼︎」

「…何をスタートするつもりよ?」

ここは教室。いつの間にか親友のキリカが前の席に座っており、うっかり漏らした呟きを聞かれてしまった。

なので気付いた考えのあらましを伝えると、キリカは呆れたように息を吐いた。

「それは創作と現実の差。リアルにそんな個性の強い人間がわんさかいたら怖いじゃない。てか、リアルにそんなのが好みなわけ?」

「…ああ、それもそうか」

改めて考えると、実際にそういった物語のような、王子様な人物と恋愛がしたいわけでもない。リアルタイムで進行する恋愛物語を、見たい聞きたい一緒にきゃあきゃあ楽しみたい。面倒や責任のない第三者視点で。ただ、それだけだ。


スマホの電源を切ってカバンにしまうと、キリカが少し考えたように話を続けた。

「でも、丁度それっぽいのがあんたの近くに一人いるよね」

「え、だれ?」

「毎日一緒に登下校してる幼馴染君がいるじゃない。それって結構な定番じゃない?」

「ああ。リクちゃん?」

東陸也。産まれた時からのお隣さんで、母親同士の仲が良いため、母達の指示で毎日登下校を共にしている。背が高くて、顔立ちはまあまあ悪くはない。成績優秀、運動神経もそこそこよくて、人当たりも悪くない。


幼馴染からの恋愛ーーー。


その設定はありかもしれない。しかし、そこに現れた転生ヒロインに心移りするリクちゃん。私はヒロインから受ける冤罪を回避できず、学園追放及び両親からも信頼を失って勘当ルート一直線。

「ダメダメ。私に回避力はないし、とても一人じゃ生きていけない」

「ーーーなんでそうなる?」

突っ伏した私に、キリカが首を傾げる。

「うん。ちょっと妄想した。

でも考えてみたらキリカの言う通り、リクちゃんって乙女ゲームで言う攻略対象者的な感じだよね。妄想切り離しても、なんか、いろいろと敵視されそう」

一年生も終わりかけている今まで、誰からも何も言われないのが不思議なくらいだ。

「でも、そろそろヤバいのかな。明日から一人で登校した方がいいかな」

そう呟いたとき、キリカが「あ、アキ」と気まずそうに私を呼んだ。

見れば、当の幼馴染がそこに立っていた。

「残念ながら、まだ一人での登下校は認められないよ」

呆れた雰囲気なのは、一体どこから聞いていたからなのだろうか。

「アキは注意力が足りないからね。認められたいなら、まずは忘れ物をしないこと」

そう言って、彼は布袋を私に渡した。

これは今朝、私が持っていたはずの体操着だ。

「靴箱の前に置きっ放しになってたよ。今朝は靴箱から別行動だったから、きっとあの後忘れたんだな」

「そっか。キリカに会って別れたんだっけ。体操着のことは記憶にないかも。ごめん、リクちゃん。ありがとう」

「今日は移動教室もあるんだろう? 筆箱とか、忘れるなよ。携帯はマナーにして持ち歩くこと。それから、決して一人にならないこと。

じゃ、また帰りに来るから。藤川、今日もアキのこと、よろしく頼むよ」

私に体操着を渡し、キリカに飴を渡すと、彼は自分のクラスへ戻って行く。

やはり恋愛方面の道は感じられず、面倒を見られている感が半端ない。

「そうだね。誰かに関係を問われたら『お母さん』って答えればいいよ。『お母さん』なら誰も嫉妬しないよ」

キリカが渡された飴を見つめながら呟くのが聞こえた。


このときは、本当に仮定な話だった。

まさか本当にヒロインが現れるだなんて、思いもよらなかったのだ。

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