脳は何故休まないのか
任務はとりあえずめちゃくちゃだったとだけ言っておこう。
例えばこんなのだ。
「隊長!どーやって攻め込みます?やっぱり、山まで下がって来ないで市民とかの村の方に行った方が良かったんじゃないですか。」
この任務はこの間俺も行ったあの山での出来事だ。内容は確か山の向こうに行って敵地の確認をするだけの簡単…とは言い難い任務だ。
あの人は隠れるのが最高に下手くそだった。
「いや、街からも遠いし無理だろ!あー、なんで見つかったんだろ?」
「あんたそれ本気でいってんのかよ!お前が思いっきりトラップ踏んだからだろ!」
「お前って言うなよ!一応隊長!」
「じゃあどうするんですか!…もう来ますよ⁈」
「…迎えうつ!サムタレ置け!俺のリュックに入ってるから。」
「これ敵も味方も関係ない奴ですよ。だいたいなんで5機もあるんですか。」
今回の任務関係なかっただろ。
「大丈夫。俺は避けられる!お前は後ろで援護だ!もし俺が避けられなさそうならフォローして。」
そういうとさっさと敵の方へ向かう。
「隊長!…マジかよ。」
しょうがない、腹をくくるか。
見つかりにくい高い場所に行くか。
その頃は俺がスナイパーで隊長が双銃とナイフだった。
そっからはすごかった。
敵を斬りつけながら後ろの弾を避けるのは無理だろ、普通は。
この人が凄い強いことを知った。
「ほら!こっちこいや!」
パンッ!パンッ!
相手からのナイフを避けながらそいつの口に銃を突っ込む隊長はテンションが高い気がする。いつも高いが。
「敵は少ないぞ!怯むな!」
敵が騒いでる。あいつが指揮とってんだろ。
パンッ!
ビンゴだな。
「おぉ!ロス流石だな!」
「隊長、そっちは?」
「もうすぐ終わりそうだな退却してく。」
「分かりました。」
サムタレを回収して辺りを観察する。
もういないな。
「おーい!ロス降りてこいよ。」
「隊長そっちに敵は居ませんか?」
「大丈夫だって!」
いまいち信用ならないがまぁしょうがない。
「よし!帰ろー!」
「了解です。」
後から分かったが隊長は最初から基地を殲滅する気だったらしい。だったら最初から言ってくれ。
とりあえず任務を守らなかった。でもしっかり評価を出してないわけではなかったので非常に扱いにくい奴らだったろう。
そんなんだから隊長は狂犬って言われてた。
そんな任務を何時も通りしてたある日の夜のこと。
「なぁ、ロス。どうしてお前は殲滅部隊志望したんだ?」
「…理由は特に無いです。とりあえず生きたかったんで。隊員になれば食う物に困んないですし。」
「お前、スラム街出身か。」
「まぁ、そうですね。」
スラム街は貧乏な奴や孤児が集まる場所だ。俺も孤児だった。
隊長は少し考えるような動作をした後に
「じゃあ、今日から俺達兄妹だな!」
「いや、何でそうなった!」
そう言ったが隊長は俺の言葉を聞かずに頭をかき混ぜるようになでてきた。
「お前の帰る場所は俺の隣だからな。」
「はいはい。」
隊長はだいぶ変わっていた。
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「あ?ロスじゃん!」
「アイストか。」
「ロス…。何か雰囲気良くなったね。丸くなった?」
「そうか?変わんないと思うがな。」
「ふーん。」
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「隊長!こっちから敵が来ますよ!」
「あぁ、いや迎えうつか!」
「隊長!そっちはどうですか?」
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「俺達最高じゃないかロス!」
「いや、隊長良い加減にしてください。任務守りましょうよ。」
「倒したんだし良くない?」
「そーですね。」
「…怒ってる?」
「いえ、全然?」
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そしてある事件が起きた。
その日もいつものように任務を果たすために(いつも守っていないが)敵の基地であるビルを殲滅する任務だった。
「じゃあ俺行くから!」
「分かりましたよ。私はあっちのビルに居ますから頼みましたよ。」
そうやって何時ものように別れてそれが最後になった。
バァンッ!
隊長が入った直後にビルが爆発した。
ビルは綺麗に崩れて瓦礫の山になった。
は? 隊長は?
「隊長?…隊長!ベッシュ隊長!」
あんまり呼ばなかったあの人が考えた名前を呼んで瓦礫のなかを探していった。
晴れの日雨の日も風の日も嵐の日も探した。
隊長は見つからなかった。人は勿論遺体さえ見つからないのは戦争じゃあよくある話だ。
1人になってしまったこの部隊に一つのこったのは何故か基地に置いてあった隊長の双銃だけだった。




