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プロローグ 嘱託殺人
声が、途切れた。
さっきまでは聞こえていた声。か細く、弱々しく、だけどさっきまでは確かに目の前の口から流れ出ていた声。それが、途切れた。
その瞬間、わたしは何を思った? やってしまったと後悔した? 何も思えないほどに混乱した?
違う。
ああ、やっと終わったんだと安堵したんだ、わたしは。
もう悩まなくて済むことを、この上なく幸せに思ったんだ。
そうか。わたしは壊れる前から、とっくに壊れていたのかも知れない。それこそ生まれた時から、ずっと壊れていた……。
そう、わたしは欠陥品だった。欠陥品っていうのは、最初から欠陥してるから欠陥品。途中で失ったのなら、それは故障。わたしのはそれとは違う。
わたしは欠陥品。だからわたしはあんなに簡単に人を殺せた。
誰が悪いでもない。運が悪いのでもない。わたしが悪い。
わたしが悪い。
でも、でも。
わたし、あなたを殺したくはなかったよ。




