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第十話 買い物祭り その一

冒険資金をもらった僕ら。ひとまず、荷物を増やさないようにするため一旦装備を見に行くこととなった。まあ、どっちにしろ変わらないが、食料は最後がいいだろう。僕もそう思う。

 僕らは、装備を求めてはるばる歩いている。王都?城下町?はかなり物資が多い。だから、単価は安めで質もいい。ここまでも金と環境とかが関係してくるのかと。ま、そのほうがリアルでわかりやすい。


 僕は最近独り言が多いなと思いながら、後ろをついていく。二回目のお買い物だ。おそらく。


「装備ねぇ……ねぇ、リーダー。それからリヒト。装備って魔王戦も含めて考えたほうがいいかな?」


 アンナは腕を組んでこちらを見てくる。装備か。僕のゲーム人生のことを考えよう。


 僕はせっかち。だから、今手に入る装備は早めに装備を集める。コレクターの血筋もあるかもしれないが。なんとなく、今すぐ使うものを考えてしまう。


 後先考えないやり方だ。


「僕は、とりあえず今後のことも考えて耐久性の高い装備を選びたいなと思っていました。」


 馬鹿正直に伝えると、アンナは「なるほどねぇ」と顎に手を当てて頷いた。そのまま視線はレオンの方へ行く。レオンは少し考えたあと言う。


「いつか壊れるだろうし、リヒトの意見には賛成だ。だが、耐久性よりは性能を重視したい。……どうせ壊れるし。」


 レオンはどうせモノは壊れるからと、性能面を気にしている。確かにそうである。長続きしたい方と、短いなりに、いいものを選びたいという意見。どちらを選ぶかは……てか普通に後者の方よくね?


「……訂正します。普通にレオンさんの意見でいいと思います。」


「おう、そうなのか?」


 ケイルが首を傾げて僕を見た。はい。そのとおりです。僕がこくりと頷くのをみて、ケイルはニコッと微笑んだ。


「じゃあ俺もそうするわ。」


「ええ、私も参考にするね。ありがと、二人とも。」


 ルマもコクコクと頷いている。いいな、本来なら後先考えずに好きな物を選んで買うだろう。ここはちがう。魔王戦に挑むまでにちゃんと取捨選択してる。と、僕は自覚している。


 そんな雑談をしているうちに防具屋さんにたどり着いた。




 中にはほかの冒険者もいて、かなり広めの室内だとうかがえる。ショーケースには銀でコーティングされている甲冑が飾られていた。見た目だけでもまぁまぁ高そうである。


 そんな中、みんながたどり着いたのは冒険者向けのコーナー。ローブであったり、軽めの胸当てや肩のサポートとか。知識不足で全く分かんないが、そこに置かれているのはだいたい金貨一枚以内で買えるものだった。


 みんな慣れているようで、服屋にいるときみたいに選んでいる。鏡を見て調節いていた。僕もその後ろで見様見真似でやってみる。着けるのは意外と難しい。紐をつけたり外したり。そもそも後ろを向くのがむずかしい。


 苦戦していると、ルマが後からサポートしてくれた。無言の気遣い。優しい……。


「ここを、こうするんだよ。」


 糸がほどけていくように、じわじわと出来上がっていく防具。そして、数秒後。できていた。


 鏡の前にたつ僕は、異世界に来る前とは比べほどにならないほど鍛え抜かれていた。そりゃそうだ。朝と夜。レオンに死ぬほど訓練を捺せられているから。


 だいたい主人公はチート能力をもつが、僕は実力での仕上がりたいタイプである。せっかく異世界転移したのならね。ま、それよりも装備が意外と様となっている。


 みんな僕の方を見て言う。


「いいじゃない、似合ってるわ。あ、でもここをこうして……」


 アンナさんも装備に手を加えだした。なんなら他パーツを入れ始める。


 先ほどは胸あたりを守るものだったのだが、肩や膝、肘を守るものをつけていかれた。断る気力も体力も僕にはなかった。




 そしてさらに数分後。結局ゴリゴリに装備する自分の姿が鏡に映った。


「いいじゃないか。」


 レオンが僕の周りを一周して、ポンと肩に手を添えてきた。勇者になるであろうレオン目線でも似合っているのか性能がいいのか。よく分からないがそうらしい。何だか誇らしげに思えてしまう。


 僕が気になっているのを見て、アンナは言う。


「似合ってるわよ。異世界人とは思えないぐらい。」


 最後のひと言は余計だが、まぁ似合っているらしい。安堵。ひたすらほっとしていた。


 僕がそうしていると、レオンはそそくさと外し始めた。


「これでいいか?」


 まさかのもう買うつもりらしい。でも、ぶっちゃけ違いとかよく分からない。だから、みんながいいと言うならそれにしよう。僕はコクリと頷く。


「わかった。他のみんなはどうする?別の店にも行ける。」


「じゃあ私は別のお店で。」


「僕も別のお店で。」


 アンナとルマは別の店舗で装備を探すらしい。ケイルとレオンはその場でしばらく考えた後、各々選んだ。ゴリゴリの武器ではなく、効率性・性能重視で必要最低限の箇所を守る装備。全額でいくらくらいかは予想できない。


 とりあえず、レオンは満足そうにレジに行っている。僕とレオン、ケイルの装備はすんなり買うことができた。次は女性陣の防具を見に行く。


 そしてそれが終われば本命の武器を探しに行くのだろう。そういえば、あの短剣はまだのこっているのだろうか。

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