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75 王直属の護衛兵たち

俺はサミルがいた大きな階段の上まで駆け上がる。

そして、サミルが歩いて来た奥にある通路へ入ってしばらく進んでいると――


――カチッ!

俺は何か足元にあるボタンを踏んだ感触を感じる。

すると、俺達がいる通路の左右から鋭い槍が俺達に向かって飛び出してくる。


「……っ!? アブソリュート・シールド!」


――ガキィィィン!

俺はすぐさま迫ってくる複数の槍を空気の壁で防ぐ。


「何よこれ、危ないじゃない!」


マリッサは俺が受け止めた槍を見ながらいきり立てる。

もし、俺が止めていなかったら俺達は串刺しになっていたところだ。


「……だな」


マリッサが呟くのを横目に俺はボレサスに視線を向ける。


「……ボレサス、この城ってこういった罠ばかりなのか?」

「敵の侵入を防ぐ為に罠が多いと聞いていたが……申し訳ない、アモン殿。王直属の護衛兵であれば知っていると思うが……私はビーストヘルズ城外の警備兵の団長を務めているので城内の状況には詳しくないのだ」

「そっか……いや、気にしないでくれ。……ひとまず、皆はこの槍が当たらない場所まで進んでくれ」


俺が空気の壁で守りつつ、皆を先に進むように(うなが)す。

皆が抜けた後、俺も抜けて空気の壁を解除すると槍は先ほど俺達がいた場所を突き刺す。


「……それでボレサス、さっき言っていた王直属の護衛兵ってやつは強いのか?」

「はい。精鋭ばかりです。王直属の護衛兵は亜人族の兵士の中で選ばれた兵士のみがなれる役職ですので、相当腕の立つものでなければ務まるものではありません」

「なるほどね……その護衛兵たちも無事だといいけど……一先ず、罠に気を付けて先に進もう」


俺は気を取り直して先に進むことにした。

しばらく先に進むと、円柱で壁伝いに階段が上に続いている場所に到着する。


「……このまま最上階まですんなり行けたら嬉しんだけど」


――バサッバサッ

俺は吹き抜けになっている上空を見上げる。


「……そうもいかないみたいだね」


吹き抜けの上空には鷹の目を持った亜人族の兵士が翼を羽ばたかせながら宙に舞い俺達を見下ろしていた。


「侵入者よ……サミル様の元へは進ませぬ」


声を発する頭部は鷹で翼を生やして上空を飛んでいる兵士は、俺達を見下ろしながら鋭い槍を向けてくる。

宙に舞う兵士の目は白く光って生気を感じられない。


「ヒュードリ!?」


ボレサスは相手の兵士を視認した途端、上空に舞う兵士の名を叫ぶ。


「……知り合いなのか?」


俺はボレアスに尋ねるが、ヒュードリは間髪入れずに俺達に襲い掛かってくる。

だが、エレナが瞬時に動く。


――ガキィィンッ!

エレナは鋭い突きを放ってきたヒュードリの槍を両手の短剣で受け止める。


「もう、せっかちね!」

「あ、ありがとう、エレナ」

「気にしないで。……でも、すごい力ね。アモン、こいつは敵なの? どうなの!?」


エレナは俺に尋ねてくる。


「ちょっと確認するから……」


俺はキャスティに視線を向ける。


「キャスティ、エレナと一緒にヒュードリの相手を少しの間だけしておいてくれるか!」

「ちょ、アモン! 私も行くわよ!」


マリッサも戦いたいのか俺に問いかけてくる。


「う、うん。キャスティと一緒にエレナに加勢して貰えるか?」

「わかったわ、アモン!」

「マリッサさん、行くにゃ!!」


キャスティはすぐさま風の層をまといエレナと鍔迫(つばぜ)り合いになっていた相手を横から蹴り飛ばす。


――バサァッ……スタッ!

ヒュードリはキャスティに蹴られた勢いを翼で殺し、その場に着地する。


「……もう、1人でいいのに」

「3人の方が安全にゃ、エレナさん!」


すると、マリッサが遅れて駆け付ける。


「もう、キャスティ! 先に突っ走るんじゃないわよ! それじゃ、私も早速風の層ってのを使わせて貰うわ!」


マリッサはそう言うと、すぐさま呪文を唱えて自身に風の層をまとわせる。

しっかりと風の層をまとえたマリッサを見てエレナは微笑む。


「……ふふ、クルブトレクで教えた事を忘れていないようね」


すると、エレナも自身に風の層をまとわせる。


「さ……いくわよ。マリッサ、キャスティ」


俺はヒュードリを3人に任せてボレサスに視線を戻す。


「……それでボレサス、あの兵士とは知り合いなのか?」

「はい。あの兵士はヒュードリ・ブロリアという名で私の同期です。今は王直属の護衛兵を務めていたはずなのですが……」

「マジか……ってことは」


俺はマイトに視線を向ける。


「はい、アモン様。……あの者は既に死んでいるようです」

「そ、そんな!!」


ボレサスは一気に悲しみの表情を浮かべる。


「あの者も瞳にもう生気はありません。サミルによって操作されているのでしょう」


俺はエレナ達と戦っているヒュードリを見る。

ヒュードリはエレナ達3人がかりでも全く引けを取らない様子で、とてつもない強さだと見てわかった。


「エクリエル王国ではエアリアの魔法でアンデットの動きを止めたけど――」


エアリアに視線を向ける。


「――今は魔法が使えないからな」


エアリア申し訳なさそうに、頭をペコっと下げる。


「既に死んでしまった相手はどう対処すればいいんだ……」


俺が小さく呟くと、ラルクが提案してくる。


「あの者をこの場に(とど)めておけばいいのではないのか?」

「そうなんだけど……できるのか?」


俺はラルクに尋ね返す。


「出来るとも、こんな風にな」


するとラルクは呪文を唱え始め、そして――


『ブラックリストレイ!』


――ラルクは呪文を唱えると、ラルクから漆黒の物体が瞬く間に放たれヒュードリを覆っていく。

ヒュードリと戦っていたエレナ達は瞬時にヒュードリと距離を取る。


「……よっと」

「あ、危ないわね!!」

「な、何にゃ!」


漆黒の物体に包まれたヒュードリを見ながらラルクが俺に尋ねてくる。


「アモン殿、ファランザに受けた闇魔法を覚えているか?」


俺はそう言われて、ラルクがいたファランザでディアマトにかけられた闇魔法を思い出していた。


「……あれは、我を拘束した魔法じゃな」


ディアマトがラルクが放った魔法を見て呟く。

俺もヒュードリに視線を戻すと、ヒュードリの両手足と両翼に禍々しい漆黒の魔法陣で囲われ、ガッチリと固定されて身動きが出来ない状態となっていた。


「あ……あれか!」


あの時はエレナの闇魔法で相殺して脱する事ができたが、今はそんな事をする余裕は相手にはない。


「ラルク、助かった」

「なに、これぐらい容易い事だ」

「ヒュードリ……助けられなくて、すまなかった」


ボレサスは拘束されたヒュードリに謝っていた。

また、ヒュードリが拘束されてキャスティ達は俺の方に視線を向けてくる。


「アモンさん、もう終わりにゃ?」

「えぇ~~~! もっと戦いたかったわ!」

「強者だったし、私も同感だけど……私たちの目的を忘れちゃダメよマリッサ。先を急ぎましょ」

「……わ、わかっているわよエレナ」


エレナはマリッサを諭してながらキャスティと3人で俺に駆け寄ってくる。


「ありがとう3人とも。相手が拘束されている今の内に先に進もう!」

「アモン、次も私に戦わせるのよ!」

「う、うん。その時は頼むよ」


俺達はラルクの魔法により拘束されたヒュードリを後にして螺旋状の階段を上っていくのだった。

「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「アモン達は今後どうなるのっ……!」


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