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47 亜人との和解

俺は機械の大きな起動音が鳴り響く中、容器に入っているキメラへ意識を集中させる。

空気は容器に入っている液体を通じてキメラに供給されているようだ。


「よし、準備はいいか! 分裂が始まるぞ!」


ジュラルドの声と共に俺は目を瞑った。

キメラに取り込まれた空気を元にキメラの全身の細胞と繋がる感覚を俺は得る。


「……っ!」


ジュラルドの言っていた通り全身の細胞が分裂を行い始め、分離された細胞は錬金術によって消失するのを感じる。

俺はキメラの全身の細胞に意識を集中させて、問題なく細胞分裂を行っているかの監視を続けた。


「……す、すごいにゃ!」


キャスティの声が聞こえたが今はそれどころではなく、ジュラルドが言っていたように上手く細胞の分裂ができない細胞がいくつか確認できた。

しばらく俺はその細胞たちのサポートに専念し続け、しばらく経過した後――


「――よし!  まずは1人目は成功だ!」


ジュラルドの声を聞いた俺は目を開く。

すると、先ほどまで空だった容器にロザリーが全裸で目を瞑っていた。


「……すぐに安否の確認を!」


俺はすぐさまジュラルドに問いかける


「わかった! ……ちょっと待て」


すると、ジュラルドはロザリーの入った容器から液体を排出させる。


液体の無くなった容器を開けるとキャスティはロザリーを抱えて外に運ぶ。

マイトが大き目の毛布をロザリーに被せる。


「ロザリーちゃん! 目を覚ますにゃ!」


とキャスティはロザリーを何度も呼びかける。


「……ん」


微かに口が動き、目を薄く開けるロザリー。


「……キャスティ……ちゃん?」

「……よかったにゃ!! 元通りにゃ!!!」


だが、ロザリーはすぐに目を瞑ってしまう。


「ロザリーちゃん!?」


マイトはすかさずロザリーの脈拍を確認する。


「……問題ありません、キャスティ様。……眠っただけのようです」

「よ、よかったにゃ……」


なんとかロザリーは生還したようだが、予想以上に俺の消耗が激しかった。

だが、そんな事も言っている暇はなく、俺はジュラルドに視線を向ける。


「……次だ!」

「わ、わかっておる!」


すると、さきほどロザリーがいた容器に液体が入り始める。


「さぁ、始めるぞ!」

「……あぁ!」


俺とジュラルドはそれから何度も同じように繰り返し、いままでキメラに取り込まれていた亜人族すべてを元通りにした。




最後に救出した亜人族をキャスティとマイトが介抱しているのを横目に俺はその場に崩れ落ちる。

その刹那、亜人族の介抱をしていたマイトが瞬時に俺の傍に移動して抱きかかえる。


「アモン様! 大丈夫ですか?」

「……はは、大丈夫じゃないかも。……もう一歩も動けないや」


俺はマイトを見上げながら苦笑を浮かべる。


「素晴らしい活躍でした、アモン様。ゆっくりお休みくださいませ」

「……そうしたいのは山々だけど……」


俺はジュラルドの方に視線を向ける。


「……本当に、全て元通りにすることができるなんて」


ジュラルドはキャスティに介抱されている亜人族の子達を見ながら愕然(がくぜん)としていた。

マイトは俺をゆっくりと地面に横たわらせて立ち上がる。


「ジュラルド様。……また、あの亜人族の子達を自分の作品と言い、好き勝手に扱う気なのですか?」


すると、ジュラルドは顔を左右に振る。


「……いや、もうそんなことはしないさ。グレイスを失ってしまう怖さを知った今では、もう命を無下に扱う事はしないよ」


ジュラルドがそう言うと、壁にもたれ掛かっていたグレイスが目を覚ます。


「……はっ! ジュラルド侯爵様!!」


グレイスはすぐさま起き上がり、すぐにジュラルドの前に立ちはだかる。


「ジュラルド侯爵様は私がお守り致します!」


グレイスは俺達を睨みつけるも、背後に立つジュラルドがグレイスの肩に優しくそっと手を置く。


「……もう済んだのだ、グレイス」

「ジュラルド侯爵様……?」


それからジュラルドはグレイスに状況の説明を行い、無事俺達の争いは幕を閉じた。

ジュラルドはキメラを製造していた機械を見つめながら呟く。


「……もう、この機械も必要ないな」


ジュラルドはそう言うと、機械を操作して機械自体の動作を停止させた。

すると、マイトは機械をシルバーダガーで一刀両断する。


「……マイト、そこまでしなくても」

「……念のためです」


すると、ジュラルドは高らかに大笑いをする。


「ガハハ、問題あるまい! もう使わないのだからな」


音を立てて崩れ落ちる機械を見るマイトはどこか遠い目をしていた。


「マイト、どうかしたの?」

「……少し、昔の事を思い出していました。……組織からの指令で多くの人々を暗殺してきた事を」


……そうだ、状況は違えどマイトもジュラルドのように多くの命を奪ってきているのだ。


「やけに冷たい物言いだと思ったけど、もしかしてジュラルドに発していた言葉って過去の自分に向けた言葉でもあったの?」

「……えぇ、昔の自分を見ているようで……許せなくなったのです」


少し沈黙した後、俺は続ける。


「……でも、もう過去の事だよ。過去の事を変える事はできない。それに、今マイトは自分の意志で行動しているんだ。これからの行動で過去の過ちを取り返していけばいいと思うよ」

「……今のように組織から決別する行動を起こせたのも、あの夜に貰ったアモン様からの言葉があってこそです。……ふふ、アモン様に出会えて本当によかったです。深くお礼を申し上げます」


マイトは深々と頭を下げてくる。


「そんな……大袈裟だよ。今回もマイトのお陰でキャスティを失わずに済んだんだ。俺こそお礼を言いたいよ。……ありがとうマイト。本当に助かった、これからもよろしくね」

「畏まりました。アモン様」


俺はマイトと深い信頼関係を感じながら、崩れ行く機械を見守っていた。




その後、キャスティから話を聞くにどうやら助け出した亜人族はすべてがキャスティの同郷の者だった事を知る。

おそらく奴隷だった彼らをジュラルドがまとめて買っていたようだ。


――ゴンッ!

意識を取り戻した亜人族を前にしてジュラルドは頭を地面に打ち付ける。


「謝って許して貰えるものではないのは重々承知だが、謝らせてくれ! ……申し訳なかった!」


ジュラルドは助け出した亜人族に謝罪を行い、責任を持って全員を屋敷で養っていく事を俺達と約束を交わした。

だが、俺はもう体力の限界だったので、あとはマイトに任せて部屋に戻って休息をとることにした。




次の朝、目を覚ますと体の疲労が嘘のように無くなっていた。


――コンコンッ

すると部屋の扉がノックされる。


「はい!」

「アモン様、朝食の用意が出来ております。大広間にお越しください」


部屋の外からはグレイスの声が響き渡る。


「わかりました。昨日と同じ部屋ですよね?」

「さようでございます」

「ありがとうございます、すぐに向かいますね」


グレイスの足音が徐々に聞こえなくなっていく。

俺は顔を洗った後、すぐに大広間へ移動すると既に皆が起きていて、俺が来るのを待っていたようだ。


「遅いわよアモン! 早く座って食べましょう!」


マリッサはいつも通りの調子で俺に尋ねてくる。

……昨日の事が全て夢であるかのようにも思えた。


「おはようございます、アモンさん!」

「おはようエアリア、昨日はよく眠れた?」

「はい! 食事を食べた後にすぐ寝るのはよくありませんでしたが……もうグッスリでした!」


エアリアは苦笑しながら話す。


「はは、たまにはいいんじゃないかな?」


俺はエアリアに笑顔を向けながら座り、すぐにジュラルドに視線を向ける。


「おはようアモン殿! さ、朝食が出来ておる。今回は”安心”して食べてくれ!」


マリッサの後ろで待機していたマイトに視線を向けると、一度頷きアイコンタクトを送ってくる。


「おはようございます。ご馳走になりますね」


俺も特に昨日の事には触れずに朝食を済ませることにした。

ただ、キャスティはそうはいかずにどこかドギマギしながら朝食を食べていた。


「……この後は確か……お仲間の呪いを解くと申しておったな?」


朝食を食べ終わった後、ジュラルドは今後の予定について尋ねてくる。


「はい。この後、向かおうと思っています」

「……そうか。今回はいろいろ迷惑をかけた。また何かあったら尋ねてくると良い」

「わかりました。皆の様子を見る為にも、落ち着いた時にまた来たいと思います」


エアリアはふと疑問に感じたのか尋ねてくる。


「……皆の様子、ですか?」

「ん? あぁ、この屋敷にはキャスティの同郷の者が大勢いるんだよ。その皆にさ」

「……そうだったんですね! 確か、昨日ロザリーさんという方もいらっしゃいましたもんね!」

「うん。この旅が落ち着いたら……またここに寄らせて貰います」

「あぁ、待っているよ。アモン殿」


俺はジュラルド達とお別れを済ませた後、一度ディアマトを連れて行く為に宿屋に戻るのだった。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「アモン達は今後どうなるのっ……!」


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エアリアのキャラデザイン
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キャスティのキャラデザイン
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