24 ライフォードの提案
アイネ達による俺の過去話は収まる気配はなかった。
「それで、その時兄さんが――」
俺は空を見上げながらアイネ達に割り込むことにした。
「あ!! もう日が暮れるぞアイネ!! ……暗くなる前に皆でお城にいるアリシアの所にいかないか?」
「あ……本当ですね。もうそんな時間ですか……わかりましたアモンさん! アイネさんも続きはまた後程しましょう!」
「えぇ! もっと聞きたいにゃ!」
「まぁまぁキャスティさん、暗くなっちゃう前に移動しましょう。エレナさんもいいですよね?」
「えぇ。ふふ……アモンの意外な一面が知れて面白かったわ」
「そうじゃの。我も続きが気になるが、今は移動することにしようかの」
「わかったわ! 皆あとでまた話しましょう!」
エアリア達とアイネは妙に仲良くなっていて微笑ましかったが、俺は恥ずかしさで早くこの場から抜け出したい一心だった。
それから俺達はお城の方へ移動し、城へと繋がる橋を渡っていた。
「改めて見ると、本当に大きなお城だな」
「本当ですね……それによく見ると外からの攻撃を防ぐ為の結界魔法が何重にも重ねられていますね。外部からの侵入や魔法はまず通じないでしょう」
「へぇ……でも、ディアマトは易々と中庭に侵入していたけどね」
「あぁ、結界には敵意がない者には効力がないんですよ」
「……そっか。だから俺達は侵入できたのか」
「ふふ、そういう事です」
俺はエアリアと話しながらお城の門まで到着すると、アリシアから言付けを受けていた門兵にすんなりと通して貰った。
お城に入ると、広すぎてどこに行けばいいのか分からない事に気付く。
「……どこにアリシアがいるんだろう?」
俺達は悩んでいると、奥から執事であるマイトが姿を現した。
「お待ちしておりましたアモン様。ライフォード様とアリシア様がお待ちです。こちらへどうぞ」
「ありがとうございます。道が分からなくて困っていたところでした」
俺達はマイトに連れられて広間へ通される。
そこには長い机があり机の上には様々な料理が運ばれていた。
「おぉ、アモン殿ではないか。待っておったぞ」
「来たわね。話は食べた後よ。まずはアモン達も座って食べましょう!」
席に座っていたライフォードとアリシアは俺達に向かって声をかけてきた。
アリシアの周りにはドルフ達も一緒に座っており、ライフォードの隣にはマリッサも座ってプクっと頬を膨らませて俺達が来るのを待っていた様子だった。
「もう、あなた達遅いわ! お腹が減ってもうペコペコよ!」
「え、俺達も食べていいんですか?」
「構わないさ。気にせずに食べると良い」
「そうよ、長旅でお腹も減っているでしょ? そんな状態じゃ話に集中できないからね」
「ふぉっふぉ、エアリアも早く座らんかい」
「おじいちゃん! ……それじゃアモンさん! お言葉に甘えて頂きましょう!」
「わわっ」
エアリアは俺の手を掴み、机の傍にある席に誘導される。
席に着いた俺は机に上に並べられた料理を眺めた。
「……すごい量だね」
「どれも美味しそうにゃ~」
俺達が席に座るのを確認すると、ライフォードが声を上げる。
「準備が出来たようだな、それでは頂こうか!」
「それじゃ頂きましょう兄さん!」
「そうだね!」
それから俺達は並べられた美味しそうな料理に食べ始めたのだった。
一通り食事が済み、机の上にあった料理は全て片付けられる。
「ありがとうございます。とても美味しかったです」
「気にしないでくれ。アリシア達からも聞いたぞ。私達に協力してくれると」
「はい。俺も魔族の人間界の侵略は何としても阻止したいです。是非協力させてください」
「非常にありがたい。だが――」
ライフォードは懐から青白い球を取り出す。
「この球体が深紅に染まらない限り、魔族が侵略してくる事はない。……そうだったなアリシア?」
「えぇ、魔族が逃げる時に残していったものよ。確か魔族は球体が深紅に染まった時に再び人間界に来ると言っていたわ」
俺も魔王の手によって人間界に飛ばされたので、魔界と人間界を繋ぐ方法を実はよく知らない。
「……アイネ。どうやって魔界から人間界に移動して来たんだ?」
「えっと確か、何人もの召喚士が協力してゲートを開いていたはずだよ。この球体は魔界と人間界が繋がると深紅に変わる仕組みなの」
「そっか……俺でも開けるかと思ったけど、そうもいかないんだね」
すぐに魔界に向かう事が出来ないと知り、少し気が落ち込む。
「何、気に病むことはない。襲ってこなければそれはそれで平和だという事だ。アモン殿も長旅で疲れたであろう。しばらくはこの城で休んでいくと良い」
「え! 美味しい食事も頂いたのに、寝床も貸して頂けるんですか?」
「あぁ、客人として迎え入れよう。休んでいる間は城内は好きにしてもらっていいぞ」
「ありがとうございます!」
俺はお礼を言うと、ライフォードは隣に座っていたマリッサを見ながら続けて話す。
「そうだ、まもなく私の娘であるマリッサの16歳の誕生日パーティが近い、是非アモン殿達も参加してくれはいただけないだろうか?」
「そうなんですね! 是非、参加したいと思います」
マリッサは空腹を満たしたので幸せそうに座っていたが、ライフォードの言葉を聞いた途端に表情を崩してライフォードに向かって尋ねる。
「……ねぇ、お父様。そのパーティ欠席してもいいかしら?」
「何を言っておる! お前がいなかったら誕生日パーティが成り立たないだろう!」
「だってダンスのレッスンとか大変だもの!」
「わがままを言うではない! お前の晴れ舞台なのだぞ?」
「嫌よ! 私は――」
「お嬢様!! 客人の前ですよ、少しは気品のある振舞をしてください」
「うぅ……もう食事は済んだわ。部屋に戻るわよマイト!」
「お嬢様、お待ちください!」
「ほら早く、行くわよマイト!」
割り込んできたマイトに宥められたマリッサは、そのままマイトと共に広間から出て行った。
「すまない、恥ずかしいところを見せてしまった。……少し甘やかしすぎたからか、わがままな娘に育ってしまってな」
「いえ、お嬢様はいつも元気でいいと思います。それにしても執事の方はお嬢様の扱いがお上手ですね」
「あぁ、マイトはこの城で執事をし始めたのが8年以上も前からだからな、マリッサの扱いに慣れているのだろう」
「そんなに昔からいらっしゃったんですね。……通りでお嬢様と慣れ親しんだやり取りをしているんですね。とても見ていて微笑ましいです」
「そう言ってくれるだけでもありがたいよ。さて、部屋に案内しよう。ついて来ると良い」
ライフォードはそう言うと、俺達を1人ひとり部屋に案内してくれた。
最後に残った俺も部屋に案内される。
「さ、アモン殿はこの部屋だ、好きに使ってもらって構わない」
「すごいですね……」
部屋は広く、今まで泊まったどの宿よりも倍以上の広さだった。
「私はこれで失礼するよ。何かあったら聞いてくれ」
「あ、はい! ありがとうございます」
扉を閉めて室内はシーンと静まり返る。
奥にあったベットに座り込み、そのまま後ろに倒れ込み天井を見上げる。
「あぁ……柔らかい」
俺はそのまま目を瞑ってしばらく休むことにした。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「アモン達は今後どうなるのっ……!」
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