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なのじゃ!!  作者: デト
第1章
16/53

見送り

「「チャオ!」」


 翌日の朝。

 ベルニカ王国に帰還する、ティマシールとセシェリアの元に。

 ミレシェルアは、見送りに来ていた。


 周囲にはロンティナの長や、町の住民達が集まり。

 昨日護ってくれたお礼を、感謝の気持ちを込めて渡している。


「のぅ、三竹(みたけ)。腹黒の逸瑠(いちる)と居て、何も悪さをされとらんのか?」


 内緒話風に、サイドテールの少女に近づき話す白髪の少女。


「既に何度か。逸瑠(いちる)の魔の手に、巻き込まれているよ」


 どこか遠くを見つめ、感傷に浸るようにセシェリアは語る。

 それを眺めたミレシェルアは。「やはりな」と呟き、続けた。


逸瑠(いちる)のナイト、『エンジェルアーツ』だったかのぅ。透明ではなく半透明なのは、奴の腹黒の現れじゃな!」

夜慈郎(よじろう)も思う? 実はミーも、そうだと思ってた」


 2人でクスクスと笑い合う。


「黙って居れば。2人共、すべて丸聞こえですよ! ウチは優しさの塊なので、今回は見逃してやるですが。次に何かを言えば、『エンジェルアーツ』でお仕置きするです!」


 ゴシック傘を朝から差し。片手を腰に当て、不満を含めた面で会話に加わるティマシール。

 心外だと言わんばかりに、会話をしていた2人を眺め、ジトっとした目を向けていた。


「じゃあのぅ、三竹(みたけ)。帰りも気を付けるのじゃぞ」

「うん。夜慈郎(よじろう)も、怪我しないようにね」


 そんな傘を差す少女を確認するや。ジト目を向けられた少女達は、互いに言葉を交える。

 ティマシールは自身に指を差してキョロキョロと、交互に2人を観ていた。


「ウチにも言いやがれです!」


「「ハハハハハ」」


 間を空けて、3人の笑い声が響いた。

 ここまでの流れも懐かしかった。


夜慈郎(よじろう)。コレを渡しておくです」


 上に羽織る桃色の浴衣の内ポケットから、1枚の紙を取りだし。ティマシールはそれを、ミレシェルアに渡す。

 何だろうと思い中身を覗けば、数字が2列書かれたメモであった。


「ミー達の、ルナフォンの番号だよ」

「いつか手に入れた時でも、連絡よこせです」

「そうじゃな。アルタイル王国の姫も調べねばならんし、楽しみにまっておれ」


 そこで町の人々から頂いたお礼を仕舞い終わった、騎士の者が近づいてくる。

 準備も終わり、出発するとの事。


「"調べ事"はついでで、旅行のつもりだったけど──」

「──夜慈郎(よじろう)にも会えた事ですし。来てよかったです」


 双子姫はそう伝え、背中を向け馬車に歩きだした。


「儂もじゃ。もう会えぬと、思っておった。またのぅ」

「またね」

「またです」


 優しい風が町に吹き、綺麗な白髪が流れを生む。

 多くの騎士に囲まれた数台の馬車は動きだし、ロンティナの外へと向かいだす。


「またのぉー!」


 久しぶりに再会した、前世の友と別れる。

 町の人々と共に、ミレシェルアは相手が見えなくなるまで腕を振り続けた。











 見送りも終わり。白髪の少女は1人、町を歩く。

 カリアは朝の筋トレ中。マカハーンとアシュレイは宿屋で寛いでいるのだろう。


 そんな時、町の子供達が集まってきた。

 エルフ族ダークエルフ族と、人間族の子供達だ。


「昨日はありがとー!」

「モンスターさん怖かったのー」

「おねえちゃんすごかったよ!」


 ミレシェルアに近い年頃の子供達。

 ツヴァイドラゴンが飛んでいた場所の、近くに居た者や。その後の、双子姫と共に戦っていたのを見ていたらしい。


「ふふ。お礼を言われるのは照れるものじゃな」


 王都アルタイルの商店街でもそうだった。

 あの時は自分の勘違いで戦いに参加したのが遅れ。怪我人が出てしまったから、申し訳ない気持ちも有ったが。

 こうやって子供達にお礼を言われ、嬉しい気持ちが生まれる。


「そうじゃのぅ。儂だけがお礼を言われるのも、勿体なかろう。ギルドに向かい、冒険者殿にも感謝の言葉を伝えようではないか」

「えー! でも、顔が怖いよ」

「ゴツいそうびを着ていてあぶないよ!」


 ミレシェルアの提案に、子供達は不安な表情を浮かべていた。


「安心せい、儂も着いていこう。彼等は案外、優しい者達じゃよ」


 優しく微笑み、子供達を連れてギルド支部に移動する。

 ワイワイとはしゃぎながら、子供達はミレシェルアを囲み着いてきた。





 少し歩き、目的地であるギルド支部に到着。

 涼しい風が吹いているが、開いた両扉を通って中に入っていく。


 中には、見た目の厳つい者達と、普通な者達で半々と言ったところ。

 ヒャッハー的なモヒカン頭、バイキングみたいな被り物をする者、鎧に身を包む者達と色々存在した。


 大人達は大勢の子供達が入ってきた事で、頭を傾げこちらを見ている。


「この子達が、皆に伝えたい事があるそうじゃ」


 後ろに隠れている子供達を安心させるよう、優しく背中を押してあげた。


「あ、あの……。も、モンスターから町を護ってくれて、あ、ありがとー!」

「「ありがとう!!」」


 覚悟を決めたのか。子供達がゾロゾロと身を乗り出し、大きな声で気持ちを伝える。

 大人達は、まるで鳩が豆鉄砲を食らったようにアホ面を晒し。そして表情が和らぎ、口を大きく開いて笑いだした。


「ああ、任せろ! 俺達は冒険者だからな!」

「勿論だとも。オレ達が居れば、モンスターなんてヘッチャラよ!」

「勇気出したな君達。だったらワイ等も、それに応えて守り通してやるぜ!」

「感謝か。久しぶりに言われたさね」

「がはははは! 子供達の笑顔が守れてよかったぜよ」


 皆が皆。頬を赤く染め上げ、照れているのを隠しながら豪快に反応を見せる。

 この人達は昨日、ギルドから提出された護衛依頼を受けた者達だ。


 依頼達成の報酬は、余り良い額とも言えないが。

 それでも文句を溢さず、皆が受注していた。

 その時は、ミレシェルア、ティマシール、セシェリアの3人も、感心して傍観した程。


 ベルニカ王国の騎士達は、申し訳なさそうにしていたが。

 そんな彼等にも笑顔で「気のすんな! 町は守ってみせる! また、何時でも遊びに来い!」と、伝えるのみ。

 共にモンスターと戦い、友情が芽生えていたのかもしれない。


 冒険者達の見た目による、子供達の誤解も解き。

 ミレシェルアは、笑顔の皆と別れてギルド支部を出ていった。











 更に、数日が経った頃。

 カリアは町の人達と共に、バリケードの強化に取り掛かっていた。

 戦力にはなれないから。今出来る事を手伝っているらしい。


「すまないな坊主。次はこっちを運んでくれるか」

「はい。俺に任せてください!」


 荷物を運び、荷物を運び、荷物を運ぶ。

 運び屋のカリアと呼ばれるように彼は成長していた。


 マカハーンとアシュレイは町の護衛依頼も兼ねて、本来の依頼である森の安全確認を毎日している。

 ウッドゴーレムの討伐は済んでいることを報告し、既に依頼達成の証はギルド側から貰っていた。


 現在は、宿屋の部屋でミレシェルアを含め3人。

 町の人から頂いたお茶を淹れ、のんびりと暮らしている。


「このようなお茶は初めて飲みましたが。美味しいですわね」

「少し苦味が有るけど。これはこれで風味があるよね」

「ふぅ。暖まるのぅ」


 椅子に腰掛け、部屋の机を囲んでいた。


 ここ数日は、モンスターに襲われる事もなく。

 あの襲来が嘘だったかのように、周りの森も静かである。

 たまに単体でモンスターが現れるものの、問題なく討伐して終わっていた。


「2人は強いのぅ。まだ若いのに、凄いのじゃ」


 と語る、7歳の少女。

 そんなミレシェルアに苦笑を浮かべ、マカハーンは語る。


「四大貴族の者として、鍛えられましたもの」





 

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