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1人が楽だと思っていたのに、あなたと2人が楽しすぎて  作者: あぽぉ


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21/21

再会

夏休みになって1週間。

夏休みの課題を少しずつ片付けながら、ぐーたらと過ごしていた。


「お姉ちゃん、りゅう兄ちゃんと遊ばないの?」

桃花が唐突に聞いてくる。

「え、いや、約束とかしてないし」

「連絡しなよ」

「連絡先知らないし」

「まじ? 友達なのに?」

「う、うん。そういうタイミングなかったし」

呆れたように肩を落とす桃花。

「タイミングは待つんじゃなくて作るんだよ、お姉ちゃん」

さすが、グイグイ系女子は違うなー。

我が妹ながら、感心する。

「でも、実家の手伝いするって言ってたし、忙しいんじゃないかな」

「よし、とりあえず島崎ベーカリー行ってみよ」

そう言って、私の手を引っ張る桃花。

「ちょ、ちょっと待ってよ」

こうして、私と桃花は島崎くんに会いに、いや、パンを買いに島崎ベーカリーに向かった。


お店の扉を開けると、レジに立っている男性がこちらを見た。

「あ、りゅう兄ちゃんいたね」

桃花が小声で私に囁く。

エプロン姿で、バンダナを巻いて髪をまとめている。

初めて見る働く彼は、いつもとまた雰囲気が違って、何と言うか、かっこいい。

いつも通りパンを選び、トレイに乗せていく。

「あ、メロンパン売り切れだ」

私が肩を落とすと、彼が奥の厨房へと引っ込む。

そして、メロンパンを一つ持って戻ってきた。

「これ、ちょっと形が悪いけど味は変わらねーから。こっそりカバンに入れとけ」

彼が私の耳元で囁く。

一瞬、体がビクッとする。

「いいの? お金は?」

「いいから」

「ありがとう」

私は彼からメロンパンを受け取り、カバンにしまった。

「りゅう兄ちゃん、お仕事いつまで?」

「昼には母親が戻ってくるから、もうちょいかな」

「お昼一緒に食べよ」

「おう、食いにいくか」

これまた桃花の唐突な提案により、私と桃花と島崎くんでお昼を食べに、近くのファミレスに向かった。


なのだが、店の前まで来たところで、桃花がわざとらしく言った。

「あ、私、用事があるんだった。りゅう兄ちゃん、ごめん。お姉ちゃんよろしく」

「は? 何言ってんの、桃花。あんたが誘ったんでしょ」

「ごめんってば。じゃあ、あとはお若いおふたりで」

「お前の方が若いだろうが」

そう突っ込む島崎くんをスルーして、桃花は去っていってしまった。

二人取り残され、私たちは呆然とする。

あの子、もしかして、いや、もしかしなくてもわざとやってる?

私と島崎くんをどうしたいんだ?

急に2人っきりにされても困る。

「ごめんね、島崎くん。全く何考えてんだか、あの子」

苦笑いで沈黙を紛らわせる私。

「とりあえず入ろうぜ。腹減った」

そう言って、彼がファミレスに入っていく。

よかった。

じゃあ帰ると言われたらどうしようかと思った。

「うん」

私も、彼の後を追う。


席に通され、メニューを広げる。

なんだろう。

やっぱり正面に座ると、ちょっと緊張する。

こないだの図書館での勉強会から、私、なんかおかしい。

「俺、日替わりにするわ」

彼が、エビフライとハンバーグとサラダがワンプレートに乗ったものを指差す。

「じゃあ、私もそれにしようかな」

彼が店員さんを呼び、注文してくれる。

「パンじゃなくてライスでよかったの?」

「俺だってライスも食うよ」

「パン以外食べてるの、ほとんど見たことないから」

「そんな偏食じゃねーわ」

思わず吹き出す。

やっぱり、彼と話すのは楽しい。

でも、なんだかそわそわして落ち着かない様子の彼。

何か言いたいことがあるのかな?

もしかして、彼も緊張してる?

んなわけないか。

その時、彼が思い切ったように口を開いた。

「あのさ、こないだの夏祭り、どうだった? 変なやつに絡まれたりしなかったか?」

心配してくれてたんだ。

「あー、なんか目つきの悪い男子に絡まれたけど、小林先輩が助けてくれたよ」

「へー。よかったな」

よかったって言ってくれてる割には、表情が曇っているような。

そこで、料理が運ばれてきて、会話が途切れる。

ハンバーグを一切れ食べ、なんとなく彼に質問をしてみる。

「島崎くんは、お祭りはあんまり好きじゃないの?」

「人混みは嫌いだな」

「あー、それはわかる。じゃあ、子供の頃からあんまり行ったことない感じ?」

「いや、妹がいた頃は、毎年連れて行かされてた」

あ、まずいこと聞いちゃった。

「そんな顔すんな。別に大丈夫だ。射的とか輪投げとかの景品に妹の好きなキャラクターのがあってさ。よく取らされてたわ。なんだっけな、ニャン吉先生とか言うやつ」

「ニャンタ先生ね」

「それ。春野、知ってんの?」

「え、まぁ、桃花が好きで」

あー、また隠しちゃった。

「やっぱ、小学生に人気なんだな」

「そ、そうみたいだね」

まぁ、彼が笑って妹の話をしてくれたし、いっか。


その後、私たちは日替わりランチをきれいに完食し、レストランを後にした。

「どうする? 帰るか?」

やっぱそうなるよね。

二人で遊びに行くって仲でもないか。

正直、もう少し話がしたい。一緒にいたい。

でも、そんなこと言えない。

「そうだね。今日は突然ごめんね。じゃあ、またね」

後ろ髪引かれる気持ちを抑えて、私は彼に背を向けた。

その時、懐かしい声が私を呼んだ。

「つむぎちゃん」

声のする方を見ると、そこにはかつての友が立っていた。

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