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1人が楽だと思っていたのに、あなたと2人が楽しすぎて  作者: あぽぉ


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20/20

夏祭り(島崎side)

今回は島崎龍二目線でお送りします

俺は人にどう思われるかを気にして、大事な人を失った。

あれから、後悔をし続けている。

「あなたのせいではない」

いろんな人が、俺にそう言った。

けれど、俺の心が軽くなることはなかった。

俺は他人の目を気にするのをやめた。

他人にどう思われるかを、気にするのをやめた。

大切な人を、大切にできればそれでいい。

必要以上に、他人と馴れ合う必要はない。


そして俺は、1人静かな高校生活を送ることにした。


だったはずなのだが。

いつの間にか、隣に春野つむぎがいた。

こいつも堂々と1人でいた。

俺みたいなやつに、世話を焼いてきた。

そして、俺たちは「1人がラク」と言いながら、2人並んで座るようになった。

お互い口数の多いタイプではないから、わいわい話すわけではないし、お互い黙って黙々と昼飯を食ってる時もよくある。

けど、その沈黙も心地よかった。


「明日から夏休みだねー。島崎くんは何か予定あるの?」

「実家の手伝いするぐらいかな。春野は?」

「美希たちに、今度の日曜の夏祭りに誘われてさ。久しぶりに行ってみようかなって」

「へー、4人で?」

「うん、そうだよ。島崎くんも行く?」

「いや、俺はいいや」

夏祭りか。

浴衣とか着るんだろうか。

あの小林とか言う先輩も行くのか。


その日の下校時。

廊下でだべっている男子軍団から、気になるワードが聞こえてきた。

「小林先輩って2年の?」

俺は、咄嗟に曲がり角に隠れ、耳を潜める。

「そうそう。あの人、女性関係めっちゃ荒れてるらしいぞ」

「聞いたことある。六股してるとか、やりまくってるとか」

「まじ? やべーな」

「俺、今度、夏祭りに女の子紹介してくれる約束してんだー」

「えーいいな。俺にも紹介してほしい」

小林って、春野たちとつるんでるやつか?

いや、でも小林なんてたくさんいるし。

でも、もしそうだったら……


◇◇◇


来てしまった、夏祭り。

あの男子たちが言ってた小林先輩が、春野たちと一緒にいる小林先輩と同一人物かはわかんねーけど、もしそうだったら……

でも、この人混みの中、どうやってあいつらを見つけるか。

適当にぶらぶらしていると、美希が屋台に並んでいるのを見つけた。

隣にいるのは見たことのない女子だが、おそらくあれが春野と同じクラスの佐々木とか言ったっけ。

春野と小林先輩はどこ行ったんだ?

2人っきりでいるのか?

美希とは喧嘩別れみたいになったっきりで、少し気まずい。

声をかけるか迷っていると、美希の方が俺に気づいた。

笑顔で手を振っている。

俺は、そっと近づいた。

「龍二も来てたんだ。1人?」

「あーちょっと近くを通ったから寄ってみただけなんだけどな。お前らは、その、2人で来たのか?」

「むぎちゃんと先輩も一緒よ。ベビーカステラ買いに行ってくれてるわ」

「へー、そっか」

俺は、一呼吸置き、改めて美希の目を見た。

「あと、美希、こないだは怒鳴ってごめん」

「いいえ、謝るのは私の方よ。自分勝手な行動ばかりして、迷惑ってわかっていたのに、本当にごめんなさい。ちゃんと謝らないととは思ってたんだけど、もう話聞いてくれないと思ってたから」

「もういいよ。俺も悪かったから」

美希が少し俯き、呟く。

「龍二は、優しすぎるところが長所で短所よね」

「何?」

「何でもないわ。あ、もしかして、むぎちゃんを夏祭りに誘うつもりだった? 私が先に誘っちゃったから仕方なく1人で来た感じかしら?」

「は? な、なに言ってんだよ。じゃあ俺行くから」

「はいはい、じゃあね」


とりあえず、どうにか自然に2人の居場所を聞けた。

俺は、ベビーカステラの屋台に向かった。

いた、春野だ。

紺色に花柄の浴衣を着て、髪型もいつもと違うから見逃すところだった。

なかなか可愛いじゃん。

ってことは、隣にいるあいつが小林先輩か。

一見好青年に見えるが。

まぁ、見た目じゃ中身はわからねーか。

その時、近くを高校生の男子グループが通りかかった。

「小林先輩、向こうで女子集めて待ってるってよ」

ふとそちらを見ると、あの時廊下で話していた男子たちがいた。

彼らは春野たちの後ろを通り過ぎていった。

やっぱり、小林違いだったか。

ほっと胸を撫で下ろす。

って俺、1人で焦って安心して、一体何してんだ。

春野たちに視線を戻すと、買い物を終え、2人肩を寄せ合い、屋台を後にするところだった。

小林先輩は、悪い奴ではなさそうだ。

そうわかったのに、俺の心は晴れなかった。

次回投稿までしばらく間が開きますが、必ず投稿します。

待ってていただけると嬉しいです。

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