第14話:魔王様の農業革命と、カップ麺の「かやく」
読者の皆様、いつもお読みいただきありがとうございます!
今回は魔王城での本格的な野菜栽培と、あの「かやく」が完成するお話です。
ポンコツ女神の迷迷行為と、相変わらず勘違いを深める勇者様にもご注目ください!
魔王領初のカップ麺工場が大成功を収めた後、スープと旨味調味料の香ばしい匂いは、すっかり魔王城の日常となっていた。
しかし、リンは本来の目的を忘れてはいない。――そう、「農業革命」である。少なくとも領民が食べられる新鮮な野菜を用意し、そして自分のカップ麺に彩りと栄養を添える「乾燥野菜」を手に入れなければならないのだ!
遠く離れた水源の解決策をAIに尋ねると、返ってきたのはシンプルな答えだった。
**【用水路の掘削が必要です】**
ガスカルはリンを案内し、かつて話していた広大な淡水湖へと走った。ガスカルが猛スピードで土煙を上げて走る一方、リンは念動力でふわふわと余裕の表情でついていく。到着した頃には、ガスカルは息を切らせてゼーゼーと今にも倒れそうだったが、女子高生姿の魔王様は汗一つかいていない。
リンはスマホで写真を撮り、AIに地理データと水の流れる傾斜を計算させた。
計算が終わると、リンは自ら用水路を掘ることにした。配下のモンスターたちに任せていては、完成までに何百年かかるかわからないからだ。
空中に浮かび上がったリンは、もう一度座標を計算すると、静かに手をひと振りした――!
*ズガガガガガガガーン!!!!*
正確に放たれた魔力の衝撃波が大地を切り裂き、魔王領へと一直線に伸びる見事な用水路が一瞬にして出来上がった!
リンは転移魔法で即座に用水路の終点へとワープする。残されたガスカルは呆然と立ち尽くしたものの、息を整える間もなく、悲痛な覚悟で元来た道を全速力で走り戻るしかなかった……!
用水路の終点で、湖からの濁流が押し寄せてくる前、リンは乾燥した大地を見つめると、ハイヒールの踵でトンと軽く地面を叩いた。
*ゴゴゴゴゴゴ……!*
その瞬間、周囲の頑丈な大地は一瞬で粉砕され、膨大な水を受け止めるための巨大な溜め池へと姿を変えたのだった。
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### 熱いお茶と炭酸飲料、そしてAIへの質問
ガスカルが走り戻ってくるまでの間、リンは池のほとりに豪華なティーセットと椅子を召喚した。女子高生姿の魔王様は足を組み、午後の穏やかな日差しの中で優雅にお茶を嗜んでいる。
やがて、猛烈な土煙とともにゼーゼーという荒い息遣いが近づいてきた。ガスカルは用水路の終点に辿り着くや否や、地面に突っ伏し、舌をダラーンと伸ばして限界を迎えていた。
リンは忠実な配下にジト目を向けると、空間魔法の『無限ポケット』からキンキンに冷えた缶コーラを取り出し、目の前に投げ置いた。
「これを飲んで、疲れを癒してください」
ガスカルは慌てて缶を拾い上げ、鋭い爪で穴を開けると一気に口へ流し込んだ……!
その瞬間、シュワシュワと弾ける甘く爽快な刺激が全身を駆け巡る。ガスカルは目を剥き出し、歓喜のあまり体を震わせた!
「オォ……おおおっ!? なんという神聖なる刺激……! これぞ天界の神薬に違いありません! 感謝いたします、魔王様! これならあと百キロは走れますぞーっ!」
リンは配下のオーバーなリアクションを無視し、スマホを取り出すと無表情でAIに問いかけた。
「野菜の育て方を教えてください」
**【検索中……】**
異次元ネットのおかげで、一秒もかからずに地球の有名有機農業動画が表示された。しかし、動画が始まる直前、5秒間の不快な肥料広告が割り込んでくる。
リンのジト目は微動だにせず、カウントがゼロになった瞬間に容赦なく右下のボタンをタップした。
「スキップ」
鬱陶しい広告を消し去り、本編の動画がスムーズに再生され始める。リンはオークとゴブリンの族長を手招きすると、小さな画面を見せた。
「お前たち、これを見て覚えなさい」
巨漢のモンスターたちは小さな画面を食い入るように見つめ、全身を震わせながら号泣した。
「おお……何ということだ! これぞ農業の絶対神が森林を召喚する聖なる魔導書! 魔王様がこれほどの超宇宙級の奥義を授けてくださるとは……!」
土下座してスマホを拝み倒す彼らを見ながら、リンは心の中で呟いた。
*(……ただの地球の農家ユーチューバーが土作りを教えているだけです。何をそこまで信仰しているんですか?)*
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### ポンコツ女神と農作業セット【バフ0%】
魔物たちが準備を進める中、空間の扉が開き、ポンコツ女神が姿を現した。彼女はリンに半ば脅迫されて地球の通販サイトで注文させられた、大量の野菜の種が入ったダンボール箱を抱えている。
しかし、今日の女神の格好は神聖さとは程遠いものだった。デニムのオーバーオールに大きな麦わら帽子、口には草をくわえ、手にはピンク色に光るホログラムのクワを持っている。
「やあやあリンちゃん! 種を持ってきたよー!」女神は胸を張り、クルリと回って衣装を自慢した。「見てよこれ! 私がカスタムした『伝説の農民コスプレセット』だよ! 装着すれば穴掘りパワーが500%アップして、作物の成長スピードも十倍になるんだから!」
リンは何も言わず、目を少し細めると、システム画面を開いて女神のステータスを確認した。
> **【セット効果:0%】**
> *(理由:着用者はただギルドバトルの休憩中に気分転換をしたかっただけ。聖なる力は皆無)*
リンは静かにシステム画面を閉じると、隣に置いてあったオークの本物の鉄のクワを拾い上げ、無表情で女神に突きつけた。
「そんな気合の入った格好をしているんですから……じゃあ、あっちで畝作りと土掘りを手伝ってください」
「えぇ!? ちょっとリンちゃん! 私、これでも女神だよ!?」
「手伝わないなら帰ってください」リンは冷ややかな声で追い払うように手を振った。「それに、穴掘り500%バフとか言ってましたよね? ……ハッタリですか」
「ハッタリじゃないもん! 今見せてあげるから見てなさいよ!」
女神はキーッと声を上げると、オークのクワをひったくり、畑へ突き進んで勢いよく土を掘り返し始めた。
*ザクッ! ザクッ! ザクッ!*
三回ほど掘ったところで、女神はパチパチと瞬きをし、ピタリと手を止めた。
*(……ちょっと待って、私なにやってるの!?)*
騙されたことに気づいた女神は叫び声を上げ、全力で走り戻ってきてリンに詰め寄った。
「騙したわねリンちゃん! 私、女神であって農業従事者じゃないんだからね!?」
リンはジト目のまま微動だにせず、文句を言い続ける女神を完全にスルーしたのだった。
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### 覗き見る勇者とドワーフのクラフトビール
乾燥野菜を作る機械を用意するため、リンは事前にGoogleで見つけた『半自動クラフトビール醸造機』の設計図を携え、地下鉱山へ赴いていた。
酒を何よりも愛するドワーフたちは、近代的な醸造システムの設計図を見た瞬間、号泣しながらリンの足に泣きつき、あっという間に『魔法式産業用減圧乾燥機』を作り上げて魔王城へ設置してくれたのだった。
だが……魔物やドワーフたちが忙しく畑を耕し、種を蒔いている最中。
はるか遠くの丘の上の茂みで、**勇者レオン**が潜伏していた。彼は両手を合わせ、遠くを観察するために応用した『探知魔法』を展開し、冷や汗を流しながら魔王領の畑を窺っていた。
*(一体何が起きているんだ……? なぜオークやゴブリンたちが、あんなにも必死に畑を掘り返している!? まさか、人類を滅ぼすための古代の生物呪いを錬成する儀式なのか!? リン……君は一体何を企んでいるんだ!?)*
その時、現場を仕切っていたガスカルが、丘の上からの探知魔法の波動に気づいた。ガスカルは慌ててリンのもとへ駆け寄る。
「魔王様! 丘の上から勇者レオンが探知魔法で我々を覗き見ております! すぐに部下を率いて首を撥ねてまいりましょうか!?」
リンは温かいお茶を一口すすると、スマホの画面越しにチラリと丘の方へ視線を送り、心底どうでもよさそうに言い放った。
「知っています……放置しておいてください。気にする必要はありません」
「は、ははっ!」
ガスカルは素直に従い、残されたレオンは混乱と頭痛に苛まれながら探知魔法で見張り続けるのだった。
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### 結末:乾燥野菜の完成
数週間後、用水路からの水と高品質な有機肥料のおかげで、キャベツ、ネギ、ニンジンなどの新鮮な野菜が見事に実った。オークたちは収穫した野菜をドワーフの乾燥機へと運び込む。
減圧乾燥機能により、水分だけが完璧に抜け、甘みと栄養が凝縮された色鮮やかな乾燥野菜が出来上がった。
リンは完成した『乾燥野菜パック』を破り、カップ麺の中へ投入すると、熱湯を注いで三分待った。
蓋を開けると、そこには完璧なカップ麺が完成していた。色鮮やかに復元されたキャベツとネギが、濃厚なスープと絡み合っている。
リンは麺と野菜を口に運び、満足そうに目を細めた。
「ふむ……栄養バランスも完璧で、合理的な味です」
魔王領の農業革命とカップ麺の完成は、こうして見事に成し遂げられたのだった!
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ここまでお読みいただきありがとうございました!
ついに「かやく」付きの完璧なカップ麺が完成しました(笑)
次回は、このカップ麺を持って人間との国境で出店(?)を開くお話の予定です!
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