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序 ドストエフスキー式勃起が齎す予定調和の破滅について

 絶望のなかにも焼けつくように強烈な快感があるものだ。ことに自分の進退きわまったみじめな境遇を痛切に意識するときなどはなおさらである。 ――フョードル・ドストエフスキー


 こういう、冒頭一発目から、昔の偉い人の引用をすると(書き手側は)脳汁がドバドバ出るのは広く知られた事実である(読み手側はげんなりするかもしれない)が、そもそもこの名言なんて、見た瞬間にドバドバ脳汁出たからね俺。


 昔の偉い人が、筆者と同じ性癖(辞書的意味で言えば【その人が持つ気質・行動上の癖】を指すが、そんな意味で使っている人はいないだろうから、【平成・令和的意味合いの性癖】ね)を抱えていることへの歓喜。


 ひいては、もしかしたらこの性癖はわりかし普遍的なものであり、結構共感を呼ぶのでは?という期待。だって、これが名言として扱われているんだもの。大衆は一定のシンパシーを覚えたんでないの?


 つまり、「デブに騎乗位でガンガン逆レ×プ搾精された後に妊娠を告げられ人生が壊れる音を聞いたり、上位存在的なパワーを持った女性に【射精したら殺害する】と前置きされているのにうっかり放精してしまい予告通りさっくり殺害される」というシチュエーションは大衆皆大好きであり、こういったモノがイチジャンルとして定着するのではないか!?と筆者はハアハア言いながら期待に胸を高鳴らせている。


 冒頭で引用したドストエフスキー氏も、カマキリ的人生終焉交尾に思いを馳せて、「エフッ、エフッ~~!!」って涙を流しながら暗黒勃起していたに違いないのだ!!

 なんでドストエフスキー氏は純文学なんてやっていたんだ。みんなカマキリ的人生終焉交尾が大好きなんだから、小賢しいことを考えずに官能小説を書くべきだったのだ!!

 読者諸賢も、そう思うだろう。だいたい、「罪と罰」なんて、掲題からしたら明らかに官能小説ではないか!!素直になれよ、ドス。大丈夫、俺はわかってるから。みんなもわかってるって。来世では存分にエロ小説書こうな。


 そもそも、このジャンルに名前がないのがおかしい。「性的倒錯」はちと広義すぎるし、「タナトフィリア(殺してください!)」は状況が限定的すぎる。「この後に迫りくる破滅の音色」に突き動かされた勃起には、名前を付けてしかるべきだ。読者諸賢もそう思うだろう。ここはやはり、先駆者にして偉人、親愛なるドスの名を借りて、「ドストエフスキー式勃起」と名付けよう。


 ――ドス、見ているかい?我々の勃起は、君の名を冠したんだよ。


 ドストエフスキー氏いじりはこの辺にして、この性癖の源泉ってどこにあるんだろうな。

 この性癖があまり一般的でないことはまあ認める。が、投資界隈なんかでも、「持ってる銘柄が急落するといっそ気持ちイイ」みたいな声は聞く。性的部分から離れてもこういう性癖(これは辞書的意味合いのほう)を持っている人はまあいるし、そもそもドストエフスキー氏が言いたいのはどう考えてもこっちだ。


 なぜ、破滅はこんなにも気持ちイイのか?

 その答えを探るための探究者。それが私だ。

 破滅の味を確かめるため、あえて破滅に近い選択肢を選び続ける。

 なにも好き好んで、こんな袋小路人生を送っているわけではないのだ!!

 あえて!!あえてクソみたいな人生を送っているの!!あえて!!!!私は!!!

 そうだろ!!!!ドスゥ!!!!!!!!


 返事はない。筆者の叫びはクソみたいな薄暗い四畳半に反響する。


 誰か殺してくれ!!1111!!!!


 完

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