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ヒロインの代わりに魔王討伐しちゃったわ  作者: ChaCha


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祝福と恋愛初心者の報告

公爵邸の一室。

リディアは杖をぶん回しながら、全力で“気合いの祝福”の人体実験を続けていた。

手に入れたスキルだが、治癒効果があるわけでもなく

ただのキラキラするエフェクトが発動するだけ

なんとなくなにか大切な魔法のような気がする。

しかし、どんな効果があるのかサッパリわからない。


神と精霊の愛し子


誰かに相談しようものなら

間違いなく大変なことになるわけで…


ここはこっそり試してみるしかないじゃない?

気軽に試せる被験者―そう、勇者タロウだ。


「もうちょっと!もうちょっとだから!」

「おい待って!?“もうちょっと”が一番危ないからな!?」


リディアの祝福魔法は、詠唱と優しさと――気合いで構成されている。

そのため、どうしてもテンションが上がると――魔力出力が振り切れる。


「……まさかこの歳で魂が召されるとか、無いよな……?」

「気合い、足りてないよ?」

「うっわ……リディア公爵令嬢の圧よ……これが婚約フラグってやつ……?」

「アイキム、……なめてたわ」

「わかる。めちゃくちゃ根が深そう」

「こわいねぇ」

「ねぇ」


ふたりは実験そっちのけで、アイキムの怖さについて語り合った。

婚約お祝いの名目で来たはずなのに――

結果は“愚痴大会”になっている。


「タロウはいいよね。

 ボンキュッボンの美女とお茶デートを目前にしてて

……リア充乙よ」

「いやいやいや、俺は恋愛初心者だから。

むしろパニックだよ。

 でも――いける気がする!」

「なにその顔!むかつく!」

「しっかし、リディアが王族の仲間入りかぁ。無理ゲー」

「あんなの反則じゃない?」

「……がんばれ」

「うるさい!!」


そしてリディアは、締めに杖を高く掲げ――

「気合いぃぃぃィィ――!!!」

「魂がぁぁぁああああああああ!!」


部屋中が光で包まれた。


「どう!?なにか感じた!?」

「全身の筋肉痛が和らいだ気がする」

「ほかには!?」

「今なら気合いで宝くじ当てれそう」

「え~なんだろう。やっぱりただの運気upスキルかぁ」



その後。

タロウは妙にスッキリした表情で公爵邸を後にした。

「……あれ? 何か……軽くなった?」


歩きながら、タロウは気付く。

いつも胸の奥で渦巻いていた“ちいさな鈍い痛み”――

戦場から持ち帰った、“黒いもや”のようなもの――

それが、消えている。


さらに、耳の奥で

時々響いていた、悪意の声のようなものも――ない。


「……もしかして。

 リディアの“気合い祝福”で……浄化された……?」


風が、そっと吹き抜けた。

タロウは振り返り、公爵邸を見上げる。

無邪気な笑みで、ぽつりと言った。


「やっぱ……リディアってすげえな」

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