織田信長誕生日記念SS
信長兄上の生誕記念ということでTwitterで呟いたお話です。
細かいところはスルーしてください(汗)
なんと、今日、五月十二日は信長兄上のお誕生日だ。
おお! 信長兄上、お誕生日おめでとう!
戦国時代に誕生日が分かってるっていうのも珍しいな。ほら、数え年ってやつで、みんなお正月に一斉に年をとるって形式だからさ、自分の誕生日を知ってる人の方が少ないんだよ。
俺も誕生日がいつか知らないんだよな。嫡男の信長兄上と違って、八男の俺は正室腹といえども、生まれた時に誰も注目してなかったからさ。
もしかしたら母上が知ってるかもしれないけど……。
まあ、別にいいや。
「あっ、信長兄上! お誕生日おめでとうございます。誕生日プレゼントは何がいいですか。そうだ。信長公弟記っていう本なんてお勧めですよ。私と信長兄上の兄弟愛を描いていて……。兄上も読みますか? はいどうぞ。って、どうして本で頭を叩くんですか!」
そんなに痛くなかったけど、本で頭を叩くの反対!
結構厚みがあって、角が当たったら危険じゃないか!
「ほら。見てください、この真ん中のイケメンが信長兄上です。で、左奥が信行兄ちゃんで、左下が市姉さまです。はう。市姉さまが可愛すぎる。……俺も、こんなに美少年に描いてもらえて有難い事です。それでこの本の信長兄上は、ツンデレだけど家族思いの優しい人で――って、どうしてまたゲンコツなんですか!? 暴力はんた~い!」
頭を押さえて逃げ回っていると、信長兄上はフンと鼻を鳴らした。
「え? そんなに言うなら読んでやる? あれ、信長兄上、ちょっと耳が赤いですよ。――ぎゃぁ。どうしてゲンコツが降ってくるんですか!? って、あれ? 信長兄上、どこに行くんですか?」
あ~あ。本を持って行っちゃったよ。じゃあもう、誕生日プレゼントはあの本でいいってことかな。
でもそれだけじゃ寂しいから、これからバースデーケーキでも作ろうかな。兄上は甘いのが好きだから、クリームたっぷりのケーキを作ろう。
イチゴのショートケーキを作りたいところだけど、この季節にはないし、桑の実もまだ熟してない。
まあこの時代は甘いものがないし、クリームだけでいいだろう。
「喜んでくれるといいなぁ。あ、信長兄上がホールケーキを独り占めしても良いように、たくさん作っておこう。市姉さまたちにもおすそ分けできるといいなぁ」
その日、バースデーケーキを食べた信長兄上はとってもごきげんで、俺も砂糖を大量に使った事を怒られたりしなかったのである。
めでたし、めでたし。