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藤城皐月物語 3  作者: 音彌
第8章 修学旅行 準備編
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344 下鴨神社のルーツ、御蔭神社

 藤城皐月(ふじしろさつき)たちの班は下鴨神社について調べていた。無言で何かを調べていた二橋絵梨花(にはしえりか)が有力な情報を見つけたようだ。


御蔭(みかげ)神社の起源なんだけど、神社にある立札の画像があってね、そこに凄いことが書いてあったから、みんなも見て」

 絵梨花の見つけた制札板(せいさつばん)の画像には御蔭神社に伝わる御生神事(みあれしんじ)のことが書かれていた。その情報によると、御生神事は第2代天皇の綏靖(すいぜい)天皇の御世(BC581)に始まるとあった。


「うわっ! めっちゃ古っ! これって何時代?」

「弥生時代が紀元前10世紀から紀元後3世紀中頃までだから、弥生時代だね」

 皐月は弥生時代の期間のことまで知らなかった。学校で教わった記憶がなかったからだ。絵梨花は歴史をよく勉強している。

「わかった。じゃあ下鴨神社のウィキペディアにあった社伝ってのは、この御蔭神社に伝わる話のことだね。納得」

「じゃあ、下鴨神社の起源をまとめるね」

 皐月は神谷秀真(かみやしゅうま)の代わりに、これまでの情報をまとめる役を買って出た。


「下鴨神社の起源はウィキにあるとおり、神武天皇の御代に御蔭山から始まった。その根拠は下鴨神社の奥宮の御蔭神社で紀元前581年に御生神事が行われていたこと」


「神武天皇ってどんな天皇だっけ?」

「神武天皇は初代天皇で、即位したのは紀元前660年。下鴨神社も御蔭山も、祀られているのは神武天皇のお母さんの玉依姫命(たまよりひめのみこと)賀茂建角身命かもたけつぬみのみことという玉依姫のお父さん。神武天皇のおじいさんになるわけだな」

 このあたりの事情はちょっとややこしい話なので、授業の時間を考慮して割愛した。

「で、下鴨神社の公式にあるように、紀元前90年に神社の瑞垣を修理したから、それより前には今の場所に下鴨神社があったってことだろうね」


 皐月は起源を調べていて、八坂神社よりも下鴨神社の方が感覚的にすっきりしている感じがした。だが、神秘的なのは下鴨神社だ。あまりにも古過ぎる。

 皐月は平安京以前の京都のことをよく知らない。大和政権の支配下にあったことはわかるが、それ以前はどうなっていただろうか。

 八坂神社を調べていた時、渡来人がやって来たことがわかった。八坂神社より賀茂御祖神社に祀られている賀茂建角身命かもたけつぬみのみことは賀茂氏の始祖だ。


秀真(ほつま)、賀茂氏って渡来人じゃないよな?」

「違うと思う。ウィキペディアには賀茂県主氏(かものあがたぬしうじ)の祖の賀茂建角身命は天神系って書かれている」

「ああ……なるほど。でも、それって天孫降臨を渡来って考えない前提だよな?」

「まあ、そういうことになるね」

「ちょっと、あんたたち。何言ってんのか全然わかんないんだけど」


 栗林真理(くりばやしまり)が秀真と皐月にいら立っている。さすがに専門用語が多過ぎた。いくら真理が利発でも、普通の小学生に初めて聞く神話時代の話なんか分かるわけがない。

「悪い。下鴨神社の起源の確認をするだけだったな。これでこの話は打ち切るから、次に行こうか」


 皐月は秀真からの事前のレクチャーで日本の神々の大雑把な系譜のことを聞いていた。

 天神系というのは天津神のことで、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が天孫降臨した際に付き随った神々とその子孫。

 賀茂建角身命は神武東征の時に神武天皇の先導をした。賀茂建角身命には八咫烏鴨武角身命やたからすかもたけつのみのみことという別名がある。八咫烏は神武東征の際、高皇産霊尊(タカミムスビ)によって神武天皇のもとに遣わされた。


 これで下鴨神社の予習は終わった。調べれば調べるほど興味深いということは、ここにいる6人全員が感じていた。もっと調べたい気持ちを抑えながら、皐月たちは次の訪問地のことを調べ始めた。


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