地下牢から追い出された
「……じ……アフォーディス第一王子っ! 起きてください!」
……なんかうるさいな……もう少し寝かせてくれよ……。
「アフォーディス第一王子殿下! 国王陛下がお呼びです! どうか起きてくださいよっ!」
なんか泣きそうな声が……ん?……国王陛下って
「……あ? 父上が呼んでる……ってそうだっ!」
そうだよ! ここ地下牢じゃねーか! 呑気に寝てる場合じゃない!
ガバリと地下牢の粗末な寝台から起き上がり声がする方を見たら、昨日ここまで案内させた騎士が半泣きで牢屋越しに話しかけてた。
「陛下がお呼びだというのだな?」
騎士に声をかけると、ホッとしたように
「左様です。なのでどうか、大人しく陛下の許までおいでください、いいですか?くれぐれも暴れたりなさいませんよう!」
と念押ししてくるんだが、俺は猛獣かなんかと同じ扱いなのか?
「はぁー……。 そんな真似するわけないだろうが、良いから早く連れていけ!」
思わずため息をつきながら寝台から立ち上がり、牢から出るために
「早く牢の鍵を開けてくれ」
と、騎士を急かしたが
「え? 牢に鍵はかかっておりませんよ?」
と何故か騎士は不思議そうに首を傾げる。
「は? なんで施錠されてないんだ?」
ビックリして騎士に尋ねる。
「現状第一王子殿下の自己申告による入牢でしたので、まだ罪状……というか罪なのかすら決っておりません。 ですので【上】の判断で第一王子は、自らの意思で牢の中にいるというだけだという判断なので、施錠はしなくて良いと」
「なんだそれ……あぁ、だれも責任取りたくないから知らないふりしとけってことか……まぁいいや、行くぞ」
そう言いながら、俺は騎士の後ろをついて歩く。……しかしやらかした俺(であって俺じゃないけど)が言うのもおかしいが、これが城の上層部の意思とは呆れたもんだな……。
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「失礼いたしますっ! ご命令通り第一王子アフォーディス殿下をお連れしました!」
「……入れ」
王城の中でも王家の者のみ入れるプライベートルームへと、入り口から騎士に声をかけさせて入室の許可を得た俺は
「失礼します!」
と声をかけ部屋へと入っていった。
「アフォーディスよ……いや、とりあえず掛けなさい」
父と母は濃い疲労の色を隠せないままに二人並んで部屋のソファへ腰かけていた。
「いえ、私にそのような資格はございませんのでここで………国王陛下、並びに王妃殿下にはこの度の不始末お詫びのしようもございません……」
そう言いながら俺はその場で膝をついた、その態度を見て父は苦しげな表情をしながら
「……なぜ今更なのだ……? そのような殊勝な態度ができるならこのような馬鹿な茶番など起こす必要などなかったではないかっ!」
と俺に問いかけてくる。
「……仰りたいことは重々承知しております……言い訳に聞こえるかもしれませんが、どうか一度だけで良いので私の話をお聞きくださいませんでしょうか」
そう言いながら覚悟を決めて顔を上げ、父母を見つめた。
「……なにか訳があったというのか?」
「……実は私こと第一王子アフォーディスとしての意識は3年前の13歳の時から封印されていたようなのです……今はその三年分の記憶……といっても断片的ではありますが、それと元の人格であった私アフォーディスが混ざった……とでも言いましょうか……そのような状態なのです」
その言葉に父は訝しそうな顔で
「……一体なにを言っておるのだ……ん?だがしかし三年前か……確かに昔の手を焼いていたころのお前に戻った上に余計ひどくなったのが確かに三年前であったな王妃よ」
そう言いながら横にいた母へ問いかける
「……左様でございますわね。しかし人格の封印とは、にわかには信じられませんがアフォーディスよ、一体どういうことなのです?」
その問いかけに
「私が【私】として最後に記憶しているのは、部屋に変わった装飾の大鏡が運び込まれた時までです。 たしかあの時新しい式典の衣装の仮縫いの為に運び込まれた大鏡で、それを見た瞬間の記憶から次に突然あの会場での婚約破棄の現場に立たされて何が何やら……そのせいで混乱したままなんとかあの場を収めようとしたためにあの茶番を引き起こしてしまいました……」
「……そのような事がありうるのか……? しかしなぁ……確かにアクマー公爵令嬢をないがしろにするような真似を突然始めた時は確かに気が狂ったのかと思ったのも事実だ、それを考えたら人格が封印されたというのも納得出来んでもないが……」
そう言いながら父は腕を組んで唸っている。
「今更何を言っても言い訳でしかない事は承知しております。 陛下がどのような判断を成されても甘んじて受ける覚悟はできておりますが、この度の茶番の真実だけはお伝えしたかったのです……次は弟が狙われないとも限りませんので……」
「……そうだな。その話が真実だとすれば次に誰が狙われても確かにおかしくはない」
父の言葉に、驚愕したように
「アフォーディス!? 其方は故意に王族を狙った事件だと言うのですか?」
「まだハッキリとした証拠があるわけではないので何とも言えませんが、用心するに越したことはございません」
キッパリと答える俺に、王妃は無意識なのか怯えたように父へ寄り添っていく。
「しかし、大鏡を見たことで人格が封印されると仮定してだが、鏡を運んだ者は無事でいられるものなのか?」
寄り添う母の肩を宥めるようにさすりながら父は俺に疑問を投げかけてくる。
「今はまだ情報が足りません。なので陛下、どうか私に神殿へ行かせてもらえませんでしょうか?」
「神殿? もしや呪いの類だとでも思っておるのか? しかし王城内には呪い除けの結界があるではないか」
「実は昨夜、ココ嬢が地下牢を訪ねてきてくれたのです。 その時に『神殿に元の私に戻るように何度も願いに行った』と教えてくれました。なので、なにがしかの方法で一時的に私の周りで結界が効力を失っていたという事も可能性として考えたいのです」
ちょっと恥ずかしかったが、正直に夕べの事をかいつまんで説明する。
「なるほどな……確かに呪いだと仮定すると神殿での祈りで解呪された可能性が出てくるか」
「ですので、どうか私に神殿へ行かせてもらえませんか?」
「ふむ……良かろう!アフォーディスよ、此度夜会を混乱させた上に王家の権威を損なった事に対する反省を促すために神殿で禊のために精進潔斎をするよう申し付ける事とする!」
「はっ! 承知いたしました! では御前失礼いたします」
そう言いながら俺は、颯爽と部屋を出るために立ち上がり部屋を出た瞬間足の感覚がない事に気が付いて廊下で派手にスッ転んだ……。
「……何をやっておるのだ全く……」
呆れたような父の声がドアの向こうから聞こえて泣きたくなった……。
更新遅くなりました。
雷テロでPC壊れた上にデータ飛んでしまった上にお盆で忙しくしておりました。




