なんでこのタイミングなんだよっ!
「ココ・アクマー公爵令嬢! もう私はガマンの限界だっ!今日この場でお前との婚約を破棄するっ!」
たまりに溜まった鬱憤を晴らすための一言を放った瞬間の得も言われぬ解放感を感じた瞬間
【はぁー……こんなしょうもない事でハイになれるなんてドパガキよりひでぇな】
とどこからか声が聞こえる。
【ドパガキとはなんだ?聞いたこともな……いや……そうだ、ドーパミン中毒のガキのことだよな……え……なんでそんな言葉を……そうだ……俺は……】
『思い出した!』
頭の中でまるで閃光がはじけるかのように記憶が蘇ってくる。
『そうだ、俺は日本人だった……ていうかそんなことより、今のこのシチュエーションなんなんだよ……バカ王子が婚約破棄だって言ってる時点でもう詰みじゃねぇか……このままだと断罪コース一直線なのは間違いないよなぁ……ん? 断罪? っ⁉ そうか! なら自分で断罪すりゃ良いじゃねぇか! よしこの線で行こうぜ!』
こうして前世の記憶が戻ったショックと自分が断罪コース一直線だと悟った衝撃に、直前までハイになってたのがごちゃ混ぜになった勢いで、アフォーディスは自分で自分を断罪しちゃおうぜ作戦へと突っ走ることにしたのであった。
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こうして、なんとか有耶無耶にして向かった城の地下牢の粗末な寝台に、一人腰掛け腕を組んでアフォーディスはため息をつく。
「はぁーなんとか断罪会場からは脱出できたな……あ、そういえば右腕にくっついてたピンクの女置いてきちまった……まぁいいか、帰りたきゃ勝手に帰るだろ」
うんうん、と頷きながら独り言を呟くアフォーディス。
「そんなわけありませんでしょう!」
「え? ってココ嬢!? なぜこのような場所に!」
驚き立ち上がるアフォーディスへ
「殿下が一人で勝手に出て行ってしまわれたからでしょうに」
と呆れたようにアフォーディスを見ながら言うココ・アクマー公爵令嬢。
「そ、それは……改めて謝罪が必要ならいくらでもするし、首が欲しいというならしょけ……」
「そんな話はしておりませんわっ!」
「はい! ゴメンナサイ!」
ピョコンと飛び上がりそのまま土下座の構えに入るアフォーディス、その様子を見て
「やっぱり……殿下、前世の記憶が戻ったのですね……?」
と涙ぐみながらココ・アクマー公爵令嬢はアフォーディスを見つめた。
「え? ココ嬢なんで俺に前世の記憶があるって知って……」
「その呼び方……わたくしを『ココ』と呼んでくださる殿下をずっと……ずっと待っておりましたのよ……ある時から急に人格が変わってしまった殿下がいつか……わたくしを『俺の未来の大事なお嫁さん』って言ってくれた殿下に戻ってくれるって信じて……何度も神殿に行って神様にもお願いして……」
そう言いながらポロポロと涙をこぼすココ・アクマー公爵令嬢に仰天するアフォーディス。
【お嫁さんて…………あぁ、そうだ……俺は……今よりもっと子供の頃に、すでに前世の記憶が戻っていたよな。あのときは前世の記憶があるからってクソ生意気な態度のガキでどうしようもなかったけど、あのとき……婚約者を決めるための初めての顔合わせの時にココ嬢に一目惚れしたんだっけ】
甘酸っぱい記憶と気恥ずかしさと共に、当時の記憶を思い出したアフォーディス。
「ココ嬢……本当にすまない……どうやら俺は一部の記憶を封じられていたらしい、恐らくその影響で人格にも影響が出てたようだ……あの時、土下座までして婚約してもらったというのに何をやってたんだろうな俺は」
そう言いながらポケットから出したハンカチを、声もなく涙を流すココの頬へと当てる。
「殿下……? もしかして」
「あぁ、ココ嬢のおかげで子供の頃の記憶も戻ってきたよ」
「良かった……」
「まぁ良かった……のかなぁ……」
ココの涙をぬぐいながら、これからどうしようかと密かに思い悩むアフォーディスであった。




