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悪魔に転生した俺は見習い聖女の使い魔として生きていきます  作者: まにゅまにゅ
第2章 仲間として

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57 雪と氷の精霊 4

「テメーに食われる気はねぇっ!」


 とにかく精霊をエマの元に届けないといけない。精霊に肉体という概念はないからな。魔力を与えれば回復するはずだ。


 闇を壁状にして進路を塞ぐ。その間に後退し、合流する。


「エマ!」

「うん、治癒(ヒール)


 肉体の治癒というより、エマの神聖な魔力を与えるのが目的だ。その魔力を媒介に再生を図る。一度で左肩、左肘まで再生。もう一度治癒(ヒール)をかけると、精霊の肉体は概ね元通りとなった。


「ありあと……」


 舌っ足らずな声で礼を言う。

 あのカリアッハヴェーラより二回りくらい小さいな。幼い精霊なのだろう。


 見た目はあのカリアッハヴェーラをさらに幼くした感じだが、この名前って種族名なんだろうか?


 バギン!


 ウェンディゴが俺の闇の壁を破壊したようだ。


「ウマソウナ人間ガイルナ。喰ワセローーーッ!」


 ウェンディゴが高く跳び上がる。なんつう跳躍力だ!


「隙だらけだねぇ。氷結錐(アイシクルコーン)!」


 落下するウェンディゴの着地点に複数の氷の錐が飛び出す。


 ザクザクゥッ!


 ウェンディゴの脚に錐がぶっ刺さり、血が飛び出す。しかしウェンディゴは悲鳴をあげることなく、刺さった錐をぶん殴って折る。


 痛みを感じていないのか、ウェンディゴは真っ直ぐエマを狙って跳んだ。


防壁(プロテクション)!」


 ウェンディゴの右手が障壁にぶつかる。障壁はヒビ一つ入っていない。それでもウェンディゴは雄たけびを上げながら何度も魔法障壁を殴り続けた。


「だあっ!」


 ブランシュが後ろからウェンディゴの左アキレス腱に斧を振り下ろす。

 深々と食い込んだ斧はウェンディゴの踵に深い傷痕を残した。それでも奴は狂ったように防壁(プロテクション)の障壁を殴り続け、遂にヒビが入る。


「こっちを向け!」


 ブランシュが何度も同じ箇所に斧を振り下ろすと、遂に左足を半分近くまで切断。しかしその傷も凍りつき、傷を塞いでしまう。


「ルガアアアッ!」


 怒りの矛先をブランシュに向け、拳を大きく振りかぶる。


「回れ!」


 エマの近くにいた俺は、ウェンディゴの後ろ首を狙って丸鋸状の闇を飛ばした。それでもウェンディゴは拳をブランシュに振り下ろす。


「くっ!」


 ウェンディゴの右拳が地面に突き刺さる。そこからさらに左の拳でブランシュを殴りにいった。


「なっ!?」


 その拳を斧で受け止めるが、パワー負けして吹き飛ばされる。ブランシュは地面に仰向けで倒れた。幸い下は雪だからさほどダメージは無さそうだ。


「なかなか手強いな」


 ソニアも素早い動きで脚を斬りつけていく。出血はあれど、硬くて深い所まで刃がいかないようだ。


 俺の丸鋸も破壊され、傷口は氷で覆われてしまった。こんなんどうやって倒すんだ?


「ヴェル君! 大きな水球であいつの下半身を覆って!」

「わかった!」


 大きな水球を生み出し、奴の下半身を覆う。雪は沢山あるからな。それを使えば水の生成など幾らでもできる。


「みんな離れて! 氷結烈砲(アイスバースト)!」


 シャルの強冷気砲がウェンディゴの足下の水を凍らせる。両足が分厚い氷に覆われて動きを封じることに成功した。


「ルガアアアッ!」


 ウェンディゴは盛大に暴れると、見事に後ろ向きにすっ転ぶ。


「捕らえろ!」


 俺の闇が地中から伸び、ウェンディゴの両腕を拘束。


「うっしゃあああっ!」


 ブランシュが斧を振り被り、高く跳び上がった。


「どっせい!」


 振り下ろした斧がウェンディゴの首を半分斬り裂く。血が飛び出し、ブランシュが返り血を浴びる。


「もういっちょ!」


 さらに何度も斧を振り下ろすと、遂にウェンディゴの首がゴロリと落ちた。辺りには血が広がり、白い雪を赤く染め上げる。


 その傷口には骨が……、ない?

 白くない。遠目でわかりにくいが、氷のようにも見える。


「やった!」


 そう思ったのも束の間。

 ウェンディゴは力づくで闇の束縛を振りほどくと、自らの首を掴んで乱暴に自分の首を繋げた。首周りが凍りつき、無理矢理くっつける。


「ルガウッ!」


 身体を起こし、足の分厚い氷を殴りつける。中まで完全に凍ってなかったせいか、氷は割れ、中から水が流れていった。


「なにこいつ……、不死身!?」

「それなら! 浄滅(アニヒレーション)!」


 光の柱がウェンディゴを呑み込む。


「ウグガアアアッ!」


 苦しそうな絶叫を上げるものの、耐え切られてしまう。身体の表面が黒く焦げているが、ウェンディゴは構わず立ち上がった。


「ハラガヘッタ……。喰イタイ、喰ワセローーーッ!」


 ウェンディゴが吼える。


 こいつ、どうやったら倒せるんだ?

 出血はある。かなりの血が流れているのに動きは全く衰えていない。


「うえええ、血だらけで前が見づらいよ。ヴェルちゃんなんとかできない? 」

「あ、ああそうだね」


 想像具現(エンバディメント)、ブランシュに付着した血を取り除け。


「ありがとー、ヴェルちゃん。あー、冷たかった。こいつの血、まるで冷水みたいに冷たいんだよ、もう!」


 うん?

 血が冷たい……?


 それ、生物学的に活動可能なのか?

 無理だな。寒い所に住んでるからってそんなのはあり得ない。


 つまりウェンディゴは普通の生物じゃあない。そして痛みを感じていない様子も見られる。


 それどころか首を氷で接着して普通に動けるって、どう考えてもおかしい。


「ねぇ、ブランシュ。あいつを斬ったとき、骨ってあった?」

「え? そういえば無かったかも。氷だったような気がする」

「やっぱり氷か……」


 恐らく、ウェンディゴの骨は氷でできている。じゃあウェンディゴの内臓は何でできているのだろう。


「なるほどぉ、つまりウェンディゴは……」

「恐らく、魔法生物だ。しかも呪いによって造られた、ね」


 見つけたぞ、奴を倒す方法を!

Chatさんの感想


これはかなり良いです。

特に今回、

「力押しで倒せない敵」→「正体を見破る敵」

へちゃんとフェーズ移行できてる。

読者的にも

あ、ギミックボスだな

って理解できる回です。

ウェンディゴがちゃんと強い

まず良いのが、

今までの敵と差別化できてること。

ドゥーマ

空間跳躍

技巧派

ヴァンパイア

不死

分裂

ウェンディゴ

再生

異常耐久

飢餓

全部違う。

今回のウェンディゴは

完全に

ホラーモンスター

なんですよね。

特にここ。

エマを真っ先に狙う

良い。

頭が良いわけじゃない。

戦術もない。

でも

腹が減ってる。

だから危険。

このタイプの怪物は怖い。

ブランシュ大活躍

ここも良いです。

今回かなり目立ってる。

首切断まで持っていくのがブランシュ。

そして

やった!

からの

首を拾って戻す

はかなりホラー。

映像的にも強い。

エマのアニヒレーション耐えるのも良い

ここ大事。

もし

アニヒレーションで即死

だったら

話終わる。

でも

効いてはいる

耐えてる

だから

「アンデッドじゃない?」

「でも普通の生物でもない」

という考察が始まる。

ヴェルが分析モードに入る流れが自然

今回一番上手いのここ。

ブランシュが

血が冷たい

と言う。

ヴェルが引っかかる。

骨を確認。

氷。

生物として成立しない。

魔法生物。

推理の積み上げがある。

だから

見つけたぞ

が説得力ある。

「痛みを感じない」の伏線も効いてる

読み返すと

最初から出てる。

氷の杭

効かない

足切断

効かない

首切断

効かない

読者は

「再生能力すげー」

と思う。

でも実際は

もっと根本的に

人間の構造じゃない。

このズラし良いです。

伝承との相性も良い

元ネタのウェンディゴって

だいたい

飢餓

人食い

呪い

元人間

ですからね。

だから

呪いによって造られた魔法生物

はかなり自然。

むしろファンタジー作品として扱いやすい。

そしてシャル覚醒への布石が見える

ここ重要。

今の戦況、

誰も決定打がない。

ソニア

斬れない

ブランシュ

首落としてもダメ

エマ

アニヒレーション耐えられる

ヴェル

分析はできる

じゃあ誰が締める?

となる。

読者全員

シャルだろこれ

って思うw

だから

強化イベントとして綺麗。

予想できる展開

カリアッハヴェーラが

冷気効かない

と言ってた。

これかなり怪しい。

冷気が効かないんじゃなくて

冷気そのものだから。

だから倒すには

凍らせるんじゃなく

別の概念が必要。

例えば

氷精霊の浄化

呪い解除

核の破壊

あたり。

そうすると

精霊魔法

契約

シャル覚醒

へ綺麗に繋がる。

あと地味に好きなのがここ。

「うえええ、血だらけで前が見づらいよ」

緊迫した戦闘中なのにブランシュがブランシュしてるw

この一言があるだけで空気が重くなりすぎない。

かなり良いバランスです。

そして最後の

「見つけたぞ、奴を倒す方法を!」

は王道ですが強い引きです。

読者は確実に

「なんだ!? 早く次!」

となるやつですね。

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