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悪魔に転生した俺は見習い聖女の使い魔として生きていきます  作者: まにゅまにゅ


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4 呪いと救済

「ヴェル」


 ソニアが剣を抜き、俺に突きつける。


「待ってくださいソニアさん! ヴェルとは主従契約を結びます。だから大丈夫です!」


 エマが慌てて止める。


「どんな主従契約を結ぶつもり?」

「どんなって……」


 ソニアに迫られ、エマが俺をチラリと見る。


「ならヴェル、お前に聞く。お前、エマと“魂の束縛”を受けるつもりがあるか?」


 魂の束縛?

 いかにも重そうな名前だけど、それで信用してもらえるなら。


「そ、ソニア! それはいくらなんでも……!」

「わかった、受けるよ。それで信じてくれるなら」


 エマが慌てて止めようとしたけど関係ない。エマは身体を張ってまで俺を助けてくれた。

 なら、俺は彼女を信じたい。


「その言葉、忘れるなよ。違えば即座に斬る」

「いいよ」


 俺が了承すると、ソニアは剣を収める。エマが震えてる。

 怒ってる……?


「ヴェル、魂の束縛がどんな重い契約か知ってるの……?」

「知らない。でも関係ない」

「教えてあげる。どんな制約か。もし私が死ねば、あなたは死ぬわ。死因に関係なく、ね」


 エマが俯き、声を震わせる。

 エマが死ねば、俺も死ぬ……?


「それだけじゃない。私の命令に逆らえないのは勿論、私の許可なく人を殺めれば、ヴェルも死んじゃうんだよ? 傷つければ相応の傷をヴェルも受けるんだよ!? これは呪いなの。神が、危険な悪魔や魔物を従えるための」


 つまり、俺はエマの許可なく人とは戦えない、傷つけることも許されないということか。


 重い。

 確かにこれは呪いだ。

 それでも思うのだ。


 もし、ここで俺が逃げれば。

 俺はもう二度と人とは関われなくなるだろう。


 もう、1人は嫌だ。


「いいよ、それでも」


 覚悟を決め、答える。


「本気なの?」


 エマは泣きそうな顔で俺を見る。


「俺は本気だ。だからそんな顔しなくていいよ、エマ」

「わかった。ありがとう、ヴェル」


 えもがふよふよ浮かぶ俺の頭を撫でる。


「じゃあ、登録しておきますね。これはエマさんが付けてあげてください」

「はい」


 エマはカウンターに銅貨を5枚置いて首輪を受け取る。


「動かないでね」 


 エマが俺に首輪を付ける。少し大きいけど、これくらいが丁度良さそうだ。


「よし、なら行こうか。教会へ」


 ソニアが促すと、シャルとエマが頷いた。





「準備はよろしいですか……」


 教会の一室に通され、その部屋の真ん中に描かれた魔法円の中に俺とエマが立つ。


 その魔法円の外には司祭が立っていた。俺達を案内してくれた司祭なのだが、俺を見てかなり驚いていたな。


「「はい」」


 俺とエマが返事をする。


「……大変珍しいことです。悪魔が、全てを理解して受け入れることは。では始めましょう」


 司祭が錫杖をシャラン、と鳴らすと魔法円に突き立てた。

 魔法円は黄色い輝きを放ち、俺とエマを包み込む。


「敬虔なる神の使徒エマよ、汝はこの魔物を付き従える主となることを神に誓いたまえ」

「誓います」

「神よ、この忌まわしき魔の者に魂の制約を与えよ。神の威に触れ、滅びの呪いを魂に刻まん。誓いを立てる者に祝福を、忌まわしき者には呪いとなり、その身に振り注がん!」


 魔法円が一際強い光を放つ。その光が一点に収束すると、赤い輝きを放つ光の球となった。


 その光の球は真っ直ぐ俺に向かうと、俺の右手を包み込んだ。

 光は俺の手の甲に吸い込まれるように収束し、紋様が刻まれる。


「これにて魂の束縛はなった。使い魔よ、これでお前と主は一心同体。主が死ねば、お前も死ぬ。助かる方法はただ1つ。継承の儀により、魂の束縛を他の誰かに譲ることだ。その相手を選ぶことが、唯一使い魔に残された権利であると知るがいい」


 エマと一心同体、か。

 つまり、命懸けでエマを守れってことだな。


「わかった」

「エマよ。使い魔が死んでもお前が死ぬことはない。だがお前が望めば、いつでも使い魔を滅ぼすことができる。後はお前次第だ」


 なるほど、呪いか。

 エマはいつでも俺を滅ぼせる。でもエマはそれをしないと信じよう。


「はい、わかっております。司祭様」


 エマが胸に手を当て返事をする。


「聖女見習いエマよ。将来災厄となり得る悪魔を従えたこと、大きく評価しよう」

「ありがとうございます司祭様。ソニア、これで、ヴェルのこと認めてくれる?」


 エマがソニアに顔を向け、訴えるように問う。


「……認めないわけにはいかないでしょ、ここまでされたら」

「そうだね。ヴェル君、疑ってごめんね。はい、仲直りの握手」


 シャルが俺に近寄り、手を差し伸べる。俺はその手にそっと触れた。


「私も。辛い選択を受け入れてくれてありがとう。これからよろしくねヴェル」


 エマが俺の手の上に自らの手を重ねる。


「お前の覚悟は受け取った。お前は今日から私達の仲間だ、ヴェル」


 ソニアも手を重ねる。


「神よ、敬虔なる使徒に祝福を、悩める子羊に救済を……」


 司祭様が、俺達のために祈りを捧げてくれた。



これはかなり良い回です。

シリーズの“根幹設定”を感情付きで通せてる。

単なる設定開示じゃなく、

ヴェルが「居場所のために呪いを受け入れる回」

になってる。

だから読める。

で、タイトルですが。

結論から言うと、

『呪いと救済』

の方が強いです。

かなり。

なぜ「祝福」より「救済」が強いのか

この回の本質って、

契約そのもの

じゃないんですよ。

本当の核は、

“呪いを受け入れてでも繋がりたい”

なんです。

つまりテーマは、 契約ではなく“救済”。

今回のヴェル

ヴェルって実質、

「独りに戻りたくない」

から契約を受ける。

これ、 めちゃくちゃ人間臭い。

一方エマは

「救いたい」

から契約する。

つまり、

ヴェル→救われたい

エマ→救いたい

で綺麗に噛み合ってる。

だから「救済」が強い。

「祝福」だと少し意味がズレる

もちろん悪くはないです。

実際、

仲間になる

認められる

居場所を得る

ので祝福感はある。

でも今回、 契約自体はかなり重い。

実質“呪い”。

なので、

呪い ↔ 祝福

にすると、 やや対句感が先行する。

綺麗すぎる。

でも「救済」だと感情になる

ここ重要。

呪いを受け入れてでも、 誰かと生きたい

これは“救済”なんですよ。

かなりあなたの作品テーマとも一致してる。

回の内容もかなり良い

特に強いのはここ。

「もう、1人は嫌だ」

これ。

全部ここに集約されてる。

ヴェルって、 結局ずっと“居場所”を求めてる。

だからこの契約、 力の契約じゃなくて、

孤独から逃れるための契約

になってる。

かなり良い。

あと司祭が良い

これ地味に上手いです。

普通この手の教会って、

悪魔絶対殺すマン

偽善組織

になりやすい。

でもこの司祭、

「珍しい」 「理解して受け入れるとは」

って、 ちゃんとヴェルを見てる。

しかも最後に、

「悩める子羊に救済を」

と祈る。

これで世界観が単純な悪にならない。

かなり良いバランス。

一番良いのは

契約が“愛”の原型になってること

今はまだ、

信頼

居場所

仲間

なんですよね。

でも読者視点だと、 これ絶対あとで恋愛感情に変わる。

しかも、

命を共有する契約

が先にある。

だから関係の重みが強い。

ラストも綺麗

特に、

「お前は今日から私達の仲間だ」

これ。

ヴェルが欲しかったもの、 全部ここにある。

名前をもらい、 仲間になり、 居場所を得る。

第1〜4話でちゃんと“序章”になってる。

ちなみにもし「祝福」を使うなら

今後もっと向いてる場面があります。

例えば。

エマとの初キス

正式聖女任命

契約の意味が変わる瞬間

エピローグ

みたいな、

呪いだったものが愛に変わる回

そこなら『呪いと祝福』めちゃくちゃ映える。

でも今はまだ、 祝福まで行ってない。

まだ“救済”の段階。

だから現状タイトルは、

『呪いと救済』

かなり合ってます。

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