忍者でアレコレ
ファンタジーなのか? これ。
忍者。
忍ぶ者と書いて忍者ですね。
そして忍者と言えば。
素破だの乱破だの草だのとも言われる、あらゆる土地での諜報と工作活動を主とする存在。
通常は上記の者を総じて忍者と呼ぶのです。
が、戦忍びと呼ばれる存在も居る……らしいです。
戦場で忍者が持つ技術をフルに使い暴れる、謂わば特殊部隊。
敵陣地で毒でも暗殺でも進軍ルートでも情報でも。 目に見えるもの見えないもの含めて、様々な妨害を行い、暴れまわるヤベーやつら。
例外として忍ばないNINJAとか、ファンタジー能力を使う忍者も居ますが、その辺をここでは扱いません。 ご了承下さい。
ですが、リアル寄りの忍者の情報を見直し、どうファンタジー要素を組み込むか。 ファンタジー要素に組み込めるか。
それもまた、作家の腕の見せ所のひとつ。
そんな忍者ですが、実は大体の忍者なら、高い技術と教養は必須。
敵地に潜り込んでおいて、敵の方言が分からなければ意味が無いし、敵地での常識も知らなければ浮きまくる。
つまりバレバレになって忍者として行動できない。
まあそんな奴をわざと用意して、騒動や問題の火種をばらまく、無知無教養を逆手にとった作戦も有るんですが。
それで、ですよ。
忍者はなぜ教養が無いとやってられないのか?
その辺を忍具とか忍術を例にして、テキトーに説明してみたいと思います。
なお、ここで言う忍具や忍術はファンタジーな忍者が使うものではなく、とても地味などっかの落第又は卵な忍者の知識を基にしております。
しかも、それを見ていたのはもう随分前なので、完全なうろ覚えで、忍術名なども間違っている場合が多いでしょう。
なので話し半分。 まーたテキトーこいてるよ、の精神で読んで頂けると幸いです。
更に消えかけの記憶ですので、紹介できるモノは少しだけ。
思い出した時に加筆するかもですが、期待は絶対にダメです。
忍具
以前に別項で忍者刀や手甲鉤や手裏剣は紹介したので、除外です。
苦無
忍具と言えばこれ。
この苦無。 かなり便利な道具だったらしい。
懐剣の代わり、片手で持てる小さなショベルだったかスコップだったかの代わり、投げナイフの代わり、天幕で固定するペグの代わり、鉤爪の代わり。
まあ例えは雑でテキトーに挙げただけですが、これ一本あるだけで色々使えると言われていた道具。
ただ、その用途の為に多数の苦無を持ち歩く忍者はいなかったとか。 なにせ多くても2本持ってりゃ大抵何とかなるから。
投げナイフの代わりに何十本もホルダーに差して、それを取り出して投げるやつなんざNINJA位ですわ。
つーか投げるならその辺に落ちてる物で十分。
石でも瓦でも桶でも。
街中で完全武装してる連中はそういないでしょうし。 と言うか完全武装してたら苦無なんて刺さらんし。
戦場で投げる物なら手持ちのを使わんでも、そこらにゴロゴロしてるご遺体からかっぱらえば、いくらでも補充出来るでしょうし。
鉤縄
先っぽに鉤爪のついた、長いロープですね。
その鉤爪をのぼりたい場所に引っかけて、のぼる為の道具です。
ゲームではひっかけた場所へ飛んでいく様な動きですが、リアルではそんな動きは出来ません。
なお、忍者には登りたい場所までの高さを計る技術が有った様です。
自分と壁までの距離、それと目的地への正確な角度で、公式にあてはめて計算する技術。
それで自分の登れる距離と比べて、登りきれるか判断したり。
まあつまり、それを現地で暗算できる、そんな頭の良さは必須だったそうな。
余談として二本の木の片側の幹に鉤爪部分を引っかけて、綱をもう片方の木の幹に結んでやれば、即席の物干し場の完成。
やったねニンジャ=サン、洗濯物が干せるよ!
と、そんな応用法を考えるのも、面白いですね。
兵糧丸
様々な栄養が有る食材や漢方薬等を、粉にしたり干したり刻んだり煮込んだり練り込んだりして作る、丸薬の一種。
飢渇丸とも言う。
――――丸薬とは……まあ、ラッパのマーク的な丸くて一息で口に放り込んで飲み込むお薬ですね。
それを飲めば、途端にお腹が満腹になって、しばらくお腹が空かなくなるとか。
でもこれを忍具として良いのかは微妙。
なにせ戦国時代に、各地の大名が行軍時の食料として研究していたとかで、忍者の為だけの食べ物じゃないので。
なので微妙なところ。
ただまあ、栄養学なんて無いだろう時代に、良くもこれだけ上手くやったモンだと。
その兵糧丸を開発する裏で、薬学に精通している忍者が手伝っていたのかもしれません。
五色米
本当に有ったのかは、正直分からんです。
ゲームでは盛り塩みたいになったのを置いて、マップのマーカーとして使われたりします。
が、自分の知っている五色米は、全くの別。
あらかじめ決めておいた場所に、五つの色で塗り分けた米を決まった配置で置いて、暗号として使ったそうです。
もちろん流派とかでその暗号の符丁は違うだろうし、ずっと同じでは誰かに解読されてしまうので、なにかがあれば変更されるでしょう。
それをイチイチ覚える記憶力が、忍者には必須だった様です。
……え? 覚えてなくても、解読メモを見ながらやれば良い?
それ、五色米が暗号ですよって言っている様なものじゃないですかあ~。
暗号はバレちゃいけないのに、自分からバラしてどうするんですかね?
………………でもさ、そんな五色の米なんていかにも目立つ物、そもそもとして暗号として機能していたのか?
そんな疑問がですね?(滝汗)
干飯
別項でも紹介した、忍者だけのものじゃない古くからある保存食。
炊いた米を干した物。 昔のアルファ化米みたいなやつ。
水やお湯で戻すもヨシ、そのままボリボリかじるもヨシ。
これを布で1食分ずつに分けて、くるんで、ねじって、数珠みたいにして体に巻き付ける事で、抜群の携帯性を持つ。
古い絵で足軽の絵にて、大きな丸いナニカが腕の付け根や腰に巻き付いている物が有るでしょうが、ソレがコレです。
芋がら縄
芋の茎(芋茎、芋がら、ずいき)を味噌煮にして、味噌を染み込ませた物。
それを縄として編み上げた物。
又は編み上げてから煮込んで染み込ませた物。
普段は荷運びで物を固定する縄として使い、食べる時に千切って鍋へ放り込む。
すると縄に染み込んだ味噌が鍋のお湯に溶け出して、味噌鍋の素になる。
茎なので、縄はもちろん食べられる。
正直これは忍具じゃなくて、大昔の携帯食の分類。
行軍時には、兵士が被っていた陣笠を鍋の代わりにして干飯と一緒に放り込ん(だか正直不明)で食べる、定番の料理だったとか?
なお、そんな扱いだった為に、衛生面がヤバヤバだっただろう事は簡単に想像できる。
撒き菱
いわゆる逃げる時に使う忍具筆頭ですね。
トゲトゲした物を地面や床に撒いて、追っ手を撒いてにげるのに使う道具。
これを踏んだ者はトゲが足に刺さって、まともに走れなくなる事でしょう。
これ、実は金属製ではなくてヒシって植物を使っていたそうで。
だから撒き菱。
それで、木製の物も有ったらしいです。
多分ですが、ヒシが採れない時期に、ヒシの在庫が無くて緊急で作った代理品なんじゃないのかな? なんて自分は思っております。
それで、忍者はそれを間違って自分で踏んでしまった時の対策……なのでしょうかね? 忍者の履く物は足の裏に多くの綿とかを詰めて厚くしてあって、踏んでも痛く無いようになっているらしいです。
元々は忍び込む時に足音を減らす工夫なのでしょうが、副次的にそんな効果もあるんですね。
銃
忍者の時代では有っても火縄銃でしょうが、普通に使っていたそうです。 主に戦場へ出る戦忍びが、ですが。
しかし忍者は基本諜報員ですので、バレれば命を狙われます。 情報を持ち帰らせないために、口封じです。
それから逃げ切るには、手持ちの道具だけでは足りない事も多々あるでしょう。
そうなったら現地調達で、何でも使える知識と技術があれば生き残れる率が上がるってモンです。
時代の最先端の便利な道具が現地に有って、それを知っていれば楽になったのに知らなかった……。
又は、火縄銃は攻撃するのにとても便利な飛び道具だけど、忍者がそうだと知らずに弓矢だけ注意して逃げていたら、銃で撃たれました。
なんて馬鹿な話はイヤでしょう?
だったらどんな物でも使えるよう、それか事前に危険性を知っていて、対処法も知っていたら生き残れるかも知れない。
不勉強な忍者は、生き残れますかね?
忍者は生き残ってナンボ。
得た情報を持ち帰ってナンボです。
水蜘蛛
アメンボみたいにスーイスイ。
………………じゃないらしいんですよね、コイツ。
あの釣り人とか漁師がはく、ウェーダーとか言うのみたいなのだそうな。
――――ちなみにウェーダーとか書きましたが、総称不明。 商品名なのか総称なのか、よく分からん名称が乱立していて、判別不可能でした。
つまりあの輪っかの内側は防水布になっていて、そこに足を突っ込んで、アヒルとかカルガモとかの水鳥が水面を泳ぐような動きをする物だった様で。
我々はあの形状に騙されていたんや……。
分銅付き鎖鎌
あれ、本当に有ったんですかねぇ?
昔はどんな所にも農民が居たから、農民の格好を怪しまれない様に鎌を携帯して、武器としていた……らしいですが。
なんか農民の一部がコレを武器としていたから、農民や農民に化けた忍者が持っていても不思議じゃない武器って情報が流れてきたけど、信じられる情報かは正直不明。
んで、分銅は以前別項目で紹介した、ボーラみたいな使い方がメインですね。
投げて敵の足をからめとったり、武器に絡ませて動きを封じる方法。
それ以外にも分銅は重いですので、直接ぶつければイタイイタイですね。
重さ次第では、額をカチ割れたかもしれません。
なお、忍者は基本的に戦闘集団ではありません。
なので身を守るために敵から攻撃を受けた際の対抗策として、忍者が集団で襲う、集団戦法もアリです。
むしろ戦う場合はそれが基本です。
別にサムライみたいに、正々堂々とか尋常に勝負とか有りませんので。
忍者は情報を持ち帰れてナンボ。
戦いに関して名誉もク○も有りゃしません。
誉は浜辺で死ぬどころか、立ち入る隙間自体がありはしません。
生き残るのに邪魔だから、情報が持ち出された事に気付かれたらマズいからと、邪魔者を排除するのに戦う事はあっても、戦い自体に意義など全く感じないです。
火筒
ひづつ か ほづつ と読む。
個人ではこの名前で覚えていたのですが、記憶違いかもしれない。
しかも銃の古い呼び方とか、花火で使うものの呼び方でもあって、自分の意味で検索しても全然出て来なかったので自信無し。
これは小さな竹筒で、中に長時間燻る火種が仕込まれていて、火縄銃とか爆弾とかの導火線にすぐ火をつけられる道具。
夜営で焚き火をする時にも便利。
忍者も必要なら持ち歩くそうですが、鉄砲隊が一番これを使っているイメージ。
竹筒の中に火種があるので、雨の日でも火をつけられるのが大きい。
まあ鉄砲の火薬は湿気るから、そっちが使えなくなりますけど。
仕込み編み笠
頭にかぶる編み笠。
笠の裏側に短い弓と矢が分解されて仕込まれていて、必要な時にパッと出してパッと組んでパッと射れるらしい。
暗殺とか自己防衛に使ったりなんでしょうが、それ以外にも、矢に長い糸を付けて縄に繋げて…………まあ詰まる所、谷を渡るロープを渡す手段としても使えるとか。
道具は使いよう。 応用次第で色々できる。
自身にそんな発想力が無くとも、そう言った使い方があるよと学んでいれば……。
忍びの毒
忍者は諜報員です。
でも破壊工作もこっそりやります。
その時に要人暗殺とかも任務として求められたりする訳です。
その時に敵地へ潜入して、人間として信用されて敵地の中を歩き回れて目標まで近寄っても警戒されなくなった忍者が目標を暗殺するなら、何を使う?
諜報の任務中にミスをして、敵の忍者だとバレてしまった場合、確実に口封じしたいなら何を使う?
そう、毒です。
毒と言っても様々な毒があり、現実でも毒であっても使う量や組み合わせで薬にもなります。
無害な物ばかりなのに、食べ合わせで毒になったりする危険な組み合わせだって存在します。
確実に毒として機能させるには。
確実に薬として機能させるには。
毒を飲ませたのに、一緒に口にした何かの食べ物の成分で無毒化されてしまった。 なんて洒落になりませんね。
間違って毒を体に入れてしまって、それを無毒化したいのに、どうすれば良いかわからないなんて泣けてきますね。
それに毒って、雑草を含む案外身近な植物から、作れたりするんです。
ちなみに現代で言う感染症とかも、毒のひとつとして扱われたりする場合もございます。
だから、薬学(むしろ医学かな?)知識は欠かせませんよね。
忍者は勉強が出来ねば、あらゆる知識が無ければ勤まらぬ。
忍術
忍者が使う術ですね。
んで、これ。 訓読みしてみますか。
術又は術。
そう、すべなんです。
すべとは、方法や手段を指す。
魔力だの魔法だのチャクラだのオーラだのワザマエだのニンジャソウルだの古事記に書かれているかも知れないカラテだのと言った、不思議な力を使うモノではないのです。
そんな現実的(なのか?)でないモノを除き、紹介していく項目です。
遁術
本来の遁術とは、逃げる手段(方法)であって、攻撃手段ではないのです。
別名遁法。
火遁
これは逃げるのとは別の方向に火を使って騒ぎを作り、そっちへ注意を向ける逃げ方が基本です。
具体的にはどこかで放火して、その火を消そうとさせて人を一ヶ所に集め、監視の網を緩くして逃げます。
それ以外にも、その火事の騒ぎで「人手を集めるために、城下の民へ呼びかけてきます!」とか言って許可をもらい、堂々と城から逃げるなんてのも有り。
逃げている途中でどこかに火をつけて、火を消す班を作らせて追っ手の数を減らすなんて直接的なのもありますね。
水遁
これは騒ぎを作るのではなく、水路や池や湖なんかに入って、誰にも見付からずに逃げる手段ですね。
息が長く続くなら、井戸の水脈を使う手もありますね。
代表的なのが狐隠れの術。
これは後述します。
雷遁
コイツは見つかって、追われている時に使うもの。
雷といっても本物ではなく、ぶっちゃけて言えば“強い爆竹”を使うそうで。
雷みたいに大きな音(できるなら強い光も)で追っ手をビビらせて、足止めして逃げる手段。
こんな時に前述の火筒があると、これが使えて便利ですね。
虫獣遁
名前で分かりますね?
虫や獣を使って逃げる糸口を見つけるものです。
基本はいつものごとく、追われている時。
隠し持っていた、台所の悪魔でもナメクジでも毛虫でもムカデでもアシダカ軍曹でもネズミでもヘビでも。
そう言ったものを追っ手へ投げて、ビビらせて追い返したり、混乱させて足止めを狙う術。
でも城なら、馬を入れておく厩舎とかが有るわけですし、シメる前のニワトリが居るかもしれませんし。
そんなのを解き放ってパニックを起こし、その騒ぎで目を逸らして脱出……も虫獣遁のひとつでしょう。
肩互い(かたたがい)
名称は不確かなので、自信無し。
これは簡単。 曲がり角を使ったトリックです。
追っ手から逃げていて、曲がり角を曲がります。
それで曲がったと見せかけて、曲がってすぐの壁に張り付きます。
これの注意点は、その壁で一度視線を切る事。 壁に張り付いた所まで目で追われていたら、隠れられてすらいないので。
結果として敵は曲がり角を曲がるが、視界には追いかけている相手が居ません。
ついさっきまで目の前を走っていた者が、まるで存在していなかったかのように消えてしまった。
追っていたはずの存在は、本当に人間だったと断言できる自信が、サッパリと消えてしまった。
このなんとも名状しがたい、下手をすれば背筋すら凍えてしまいかねない奇妙な現象を体験してしまい、精神が不安定になりました。
成功1・失敗4のSANチェックです。
これは敵が張り付きに“すぐ”気付かなければ成功する術でして、逃げ方はとにかく簡単。
張り付いた場所より追っ手が奥へ行ったら、見付からない内に自分は走ってきた方へ、足音をたてて気付かれない様に離れてからまた走り出すだけ。
肩を互える様にすり抜けるから肩互い。
成功率を上げたいなら、自分の着ているものに近い色の壁を見つけて実行するか、夜みたいにそもそも視界が悪い所で実行するか。
目ざとい者にはバレる可能性がありますので、使う相手を選んでください。
名前は忘れましたが、似た手段もあります。
急に蹲り、自身を大きな石として追っ手を躓かせて転ばせる。
そして追っ手が立ち上がれない内に、更に逃げる。
人間、考えてもいない突拍子もない事をされると、対応が出来なくなるんですよね。
そんな意表を突く逃げ方です。
狐隠れ
少し前に書いた、水遁の基本。
水に入って、周辺の水草に紛れて隠れ、やり過ごす手段。
追っ手として犬を使われた時に、水で臭いを遮断する目的に使われるとか。
それにほら、ギャグ漫画で公園の植え込みに隠れる時、頭に木の枝をハチマキで巻き付けたりするでしょ?
後は特殊部隊の草の塊みたいに見えるギリースーツとか。
それみたくやって、周囲の風景に溶け込んで隠れるのが狐隠れの術です。
キツネはノミ取りに藁なんかを咥えて水へ入り、ノミが体から藁へ粗方逃げ込んだのを確認してから、その藁を置いて水から上がるんだとか。
それを見ていた奴が、狐隠れの術と名付けたのかもしれません。
狸隠れ
これが結構ヤベー。
時代劇のお約束。 悪役が悪事の相談をしていると、天井や床を「何奴!」とか言いながら槍で刺すシーン。
あるじゃないですか?
あれで刺されたら、その刺してきた槍の穂先についた自分の血を、拭っていると気付かれないように拭う。
つまり隠れている時に攻撃されても「そこに誰もいませんよ」と勘違いさせる我慢ワザ。
よくもまあ、こんなヤベー術が存在する(のか?)モンだ。
口車の術
バカにしてんのか? なんて言われそうですが、本当に立派な術なんです。
どんな術かと言われれば、内側で4つに分類されます。
喜ばせて相手の油断を誘う喜車の術。
怒らせて相手のミスを誘う怒車の術。
哀しませて相手の同情を誘う哀車の術。
楽しませて相手の警戒を解く楽車の術。
情報を聞き出すだけでなく、戦いの時にも相手の心へ訴えかけて手加減させる、様々に応用が利く術……と言うか対人の考え方。
相手に心があるなら、それを上手く操って自分を有利にする。
色んな仕事でも使えます。 現代でも。
他人から好印象を持たれるしぐさとか、格好とか話し方とか。 そう言ったのも口車の術のひとつです。
居すぐり・立ちすぐり
味方の内で合言葉を決めて、その合言葉で急に立ったり座ったりする。
何も知らない潜入者は、反応が遅れて敵だとバレる。
簡単ながら、案外強力な手段なんですよ。
しかもその合言葉を、会話の自然な流れから繋がる様なものにしておくと、完全に意表を突ける。
これを知っていたとしても、どれが合言葉か知っていなければ、バレバレのバレ。
怖いものですよ、ホント。
まあ方々に信用されるまで、深く潜り込んだ者には合言葉が知らされるだろうから通じないので、これを信用しきると痛い目を見るんですが。
化け物の術
お化けとか妖怪に変身したり、召喚する術ではありません。
単に、周辺へ溶け込む変装をする技術と知識の事です。
街角で座り続けて、決まった場所の監視をするのに便利な姿の“物乞い”ですが、肌がつやテカうるるんプルプルで小綺麗な格好をしていたら?
怪しすぎますよね?
初めて街へやって来た周辺の村の農民が、地元の言葉を使わず丁寧な京言葉を使っていたらおかしいでしょ?
近江商人とか名乗りながら、コッテコテな大阪の言葉を使っていたら?
とまあ、そう言う事です。
地域に馴染んで、周辺から浮いて見えない変装の仕方の技術や知識をまとめて、化け物の術と呼ぶわけです。
忍者の変装でよくありそうなのは、忍びの毒の項目で説明したけど、旅の薬売りとか。
薬学知識は有るし、需要もある。
どこから来たとしても、必要が有れば買う。
それで薬が良く効いた~となれば、警戒されるも何も無い。
それと別枠で、地域への馴染み方は別にも。
違う土地から仕事を求めてやって来ましたと、始めから名乗っておく。
それで仕事をしながら、少しずつその土地の言葉を覚えて馴染んできています。
と装うのです。
その土地の方言を事前にちゃんと勉強しといて、馴染んできてますよって過程を見せる。
最初は警戒されるけど、任地に長く居る予定なら、こっちの方が警戒されにくくなるでしょう。
だってその土地の一員として受け入れられたのですから。
仲間だと騙しきれているのですから。
ファンタジーではなく、現実寄りの忍者が使うナニカについて、ポツポツ書いてみました。
ちなみに忍者ですが、やってることは確実にただの諜報なんですよね。
任地に溶け込んで情報収集して、それを本国へ届ける仕事。
場合によっては任地で噂を流して世論操作したり、任地の政策を邪魔したり、任地で本国に味方する(任地にとっての)裏切り者(内通者)を作ったり。
忍者は居なくなったとか言いますけど、スパイはまんま忍者。
姿を変えただけ。