表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢、物申す!  作者: Nihonmusume
20/20

救出作戦の始まり

キャサリンの周囲では、不穏な空気が膨れ上がり、それを収拾させるために、影の実力者は動き出す。

ママンとのお話し合い(女子会)


 ”キャッシー、周囲の男性陣が阿鼻叫喚地獄なの。何があったのか、ママンに話してくれない?”


いつでも、直球勝負なマリーザ。外では完璧な貴婦人な彼女も、家族の前では本性を出す。全勝姫は、回りくどいことは一切しない。単刀直入が基本である。


 ”ママン、私、男性に生理的な嫌悪感を抱くようになってしまって、もうどうしたらいいのか.........”


 キャサリンは、言おうか言うまいか、目が右往左往している。少し挙動不審。


 先読み...は、......ダメでしょう。前世の乙女ゲームも、......ダメ。...う〜んと、......やっぱり、夢?、悪夢?......それ...しかない。


 ”ママン、悪夢というか、一人の女の子、彼女がいつも酷い目に遭わされているのだけれど、......その子に起こったこと、それに対する彼女の感情が、夢の中で私を覆い尽くすの。その彼女が抱える感情が、意識がまるで私のものであるかのようで、......そのせいで、男性に対して、嫌悪感が出てしまうの。私の周囲の男性は彼女の周囲にいる男たちとは違うのは分かっているのだけど、.....でも、ダメなの。どうしても、嫌悪感が......”


 私はママンを直視できず、うつむいてしまった。


 そんな私をママンは優しく、でも力強く、抱きしめてくれた。そして、頭をなでてくれた。まるで、私は悪くない、頑張っているのはわかっているのだと、伝えてくれるように。


 少し涙が......


 ”その子の名前は?”


 ”アリーシャ。”


 ”そう、アリーシャというの?とても良い名前ね。”


 ここで、女神の微笑み。ママン、美しすぎる。そして、


 ”アリーシャが聞いたら、喜ぶよ!彼女にとって名前は宝物みたいだから。”


 ”そうなの。なら、今度、彼女に会ったら、そう伝えておいてね!”


 私はとても嬉しくなって、ママンに抱きつく。


 キャサリンは全く気付かなかった。マリーザが真実に気づいていることを。ただの夢ではなく、アリーシャに会っていることに。マリーザの直感力は凄まじいのだ。この直感力こそ、マリーザの最大の強みである。彼女はいつも真実に辿り着く、決して見誤らない。


 ”アリーシャさん、日常的に、男性に対してどのような感情を抱いているの?”


 ”いつもは、悲しい、哀しい、寂しい、辛い、苦しいで、男性には、気持ち悪い、触らないで、そして、まるでミミズや虫が体を這い回っているような、ゾッとした感じ。”


 そのことを思い出して、つい両手で自分を守るように庇い、身震いしてしまった。


 ”そうなの......”


 先程と同じ言葉。でも、なにか黒いものがママンから......(別の意味で、震えが...)。


 ”キャッシーはどうしたいの?”


 ”助け出してあげたい。出来るなら。でも、私には話を聞いて、寄り添うことしか出来ない。彼女の居場所さえ分からない。どうしたらいいのか、分からない。”


 女神の微笑み、再び!


 ”その子について分かっていることを、ママンに教えてくれる。一先ず、探してみましょ!”

 ママンがメモをとっていく。



家族会議(アリーシャを探せ!)


 マリーザがメモを公開することから始まった。


 アリーシャ

12歳。キャサリンと同じ。

双子姉妹の妹。姉と瓜二つ。チェリーブロンド、空色の瞳。母親も同じ色合い。

父親は商人、裕福だったが、9歳のときに(事故で、殺害された可能性大)死亡。

母親と姉から日常的な虐待、冷遇。男性からの性的虐待あり。

離れに閉じ込められている。外には出られない。

誰も、彼女の名前を呼ばない。使用人も会いに来る男性らも、姉の名で呼ぶ。

彼女の姉が暗示で彼女の言動をコントロールしている。だから、男性らを拒否する言葉さえ言えない。

これを聞いた家族の反応は、’激怒。’ 憤怒のオーラ(でも、鉄壁の貴族スマイルをキープ)で、周囲は冷え冷えとしていた。

”キャッシーの友達を傷つけ、ひいてはキャッシーを傷つける下劣な輩には鉄杭を!”

次の日に、キャッシーではなく彼女の友達が被害者であるということが周知された。放置しておくと、キャサリンの周囲の男性が被害に遭いかねなかったから。

その日から、アリーシャの捜索が全力で行われるようになった、ことは言うまでもない。

アリーシャ救出作戦の火蓋が降ろされた瞬間であった。この事が未来の危機を瓦解する布石であることに気付くことなく。



アリーシャ発見から救出まで


 アリーシャからの情報(特に、双子、商人の父親、その父親の事故死など)を元にアリーシャ探しを行った結果、あれほど困難を極めたヒロイン母娘探しは、あっという間に呆気なく終了した。


 アリーシャとヒロインの関係性は確定までは行っていないが、週1の夢での会合により、そして、アリーシャの心のモヤが少しずつ晴れて来たお陰で、彼女の視界がクリアになり、彼女が見たものが、キャサリンにも夢を通じて共有されるようになり、アリーシャの目を通して、少し若いヒロインの姿を確認出来るようになったから。


 週1の夢の会合で、キャサリンはいつも聞き役に徹し、彼女の名前を呼び、彼女を肯定し、寄り添い続けた。その成果か、アリーシャの心のモヤは少し晴れていき、気力を取り戻しつつある。


 そんなある夜、キャサリンはふと疑問に思ったことを聞いてみた。


 ”アリーシャ、あなたの姉と母とこの先も一緒にいたい?”


 救出作戦を練りながら、虐待された子供はどんなに酷いことをされても、親と一緒にいたい、と望む子が一定数いることを思い出した。そして、不安になった。良かれと思ってしたことでも、もしかして、私がしようとしていることは、独りよがりの迷惑行為かもしれない、と。


 その質問に、彼女が息を飲む。そして、相反する感情が鬩ぎ合いを始める。ザワザワする。

 少し経ってから、決意を固めたように、少し固い声で、


 ”......出来るなら、父さんのように、母さんからも、姉さんからも、家族として接してほしかった......愛されたかった......っ...愛したかった............でも、.........それは......決して叶わない......夢だともう、分かっているの......でも、それでも......”


 彼女の魂が慟哭。夢の中で、彼女の感情がそのまま直接私に響く。ままならない、どうにもならない、悲しみ、苦しみ、辛さが私を貫く。私は彼女を包み込むように、抱きしめるように、光のイメージを思い描く。


 四半刻(30分)くらいで、彼女が落ち着いてきた。まだ、薄暗い夢の中だけど、”ありがとう”と彼女が今までで一番晴れやかな笑顔を見せたように感じた。彼女の闇がまた少しだけ、薄くなった。

 落ち着いた後、彼女は迷いのない声で、宣言した。


 ”あの人たちは、私の家族ではない。私の家族は亡くなった父さんだけ。......私は、彼女たちから離れたい!そして、アリーシャとして生きていきたい!”


 見えないのだけれど、なぜか、清々しい表情の彼女を見たような気がした。


 ”分かった!それなら、アリーシャ、私と家族になろう!”


 私はまだ子供で、家族の助けが必要だけど、私は彼女の心の支えになりたい、と強く思い、そういう意味での家族になろう、と言ったのだ。


 モヤがまた少し薄くなった。彼女の満面の笑顔?が見えたような気がした。


 その後、救出作戦の存在と、現状維持で(少しでもアリーシャに変化が出たら、あのヒロインなら絶対に気付く。そして、妨害もしくは最悪の場合、アリーシャの殺害までやりかねない)、母と姉に気付かれないよう、気を付けることを示唆した時、彼女は力強く頷いた。

    〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・


 一ヶ月の準備期間中、新たな事実が浮上した。


 彼女の所在は分かったのだが、彼女、アリーシャは死亡届が出されていて、死んだことになっていた。9歳の時に。父の死亡と同じ時期に。彼女の家族は、母と姉は、彼女の存在自体を消していたのだ。


 キャサリンがそのことを伝えた時、アリーシャは涙をこぼしつつ、でも、納得の表情で一言、”(そういえば)...誰も、私の名前を呼ばなくなったのは...” 涙一滴、ポロリとこぼれた。


 使用人に落されてから、’あんた’’お前’’そこのクズ’と周りから呼ばれ、姉の身代わりにされだしてからは、姉の名前で呼ばれていた。アリーシャ、という名前も、この時、消滅していたのだ。アリーシャ、そのものが消滅させられていたのだ。


存在を消されていたアリーシャの救出作戦は如何に!ヒロインからの妨害が入るのか、それとも、用無しとして無関心なのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ