5話 栄典と過去と愛情と
俺たちはルアンの王宮に居る、「賊軍」を討伐したことで王女より表彰される事となったのだ、
王都に着いた時国民の歓迎ぶりは凄かった、艦隊を率いてパレードした時は、
山のような人だかりで驚いたものだ。
人族至上主義者の貴族たちはあまり国民からは好かれてなかったのも幸いした。
王女に対しての同情的な視点もあり、
今回の勝利は非常に国民の士気をあげるのに役立ったようだ。
「勇者マサト前に」 侍従長が声をかけ俺は王女の前に立つ、
礼をすると、王女は傍らの侍従の捧げ持つ勲章を俺の胸に付けて言った。
「マサト殿のおかげで王国は危機から脱しました、
森大陸への護衛任務の成功と共にこの功に報いさせていただきます。」
王女は完全に職務モードに入っている、
こうして見ると凛々しい王女の人となりに国民が心服するのも無理は無いと思った。
居並ぶ官僚や先だっての反乱で著しく数を減らした貴族たちから拍手が起きる、
これで少しは俺の評価も変わるのだろうか?
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「評価でしたら一番ですわ、あのグリーゼにも負けない英雄が現れたと国民も言ってるそうです。」
王女が太鼓判を押してくれた。
ここは、俺の作ったセーフハウスの浴室である。
行為の後の汗を流すために二人で入っているのである。
「もうすぐ、このように人目を気にすることなくお傍に居られるようになりますわ。」
そう言って体を俺に預けてくる、二人で入っても余裕の浴槽だが体を触れ合うことはいいものだ。
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翌日俺たちはカンクリンスタッドへ向った、転移魔法なら一瞬だ。
こちらに来ていた美月、はつゆき、しらゆきと艦隊の大半だ。
王女やヨウコたちに見送られて転移する。
出た場所はホテルの一室、俺の泊まっている部屋だ。
公式には俺たちはこの港町に居る事になっている。
首都に向う前に船旅で疲れた将兵の休養という名目で何日かここに止まる事にしたのだ。
神聖同盟側も受け入れ準備があるので問題は無い。
行動に矛盾がある?
その辺は情報伝達が遅い現状では誤差の内ということにしてもらいたい。
問題があるのはヒルマ女史のようだ、毎日押しかけてきて俺に会いたがるらしい。
熱意は凄いんだなと思いつつ、なるべくスルーである。
留守番していた亜由美や美奈も追い返すのが大変だったようだ。
どうしたものかとか言ってると腕を取って絡ませる者がいる。
「美月・・・・・・」
「ダーリン、今日はわたしの番の日ですょぅ。」
笑顔ですりすりしてくる、当たっている柔らかい感触、最終兵器だ。
いいものは、やはりいいものだ。
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ベッドの上で考え事をしている、
賊軍討伐が終った後、ヨウコに密かに聞いた話だ、
内容は美月の過去だ。
彼女の状態異常への耐性や諜報、暗殺に関しての能力は魔法とは関係ない部分があると感じたからだ。
彼女の前職は公務員であるということ、この辺は若林さんや美奈と同じだ。
ヨウコが仲間を集めるに当たって最初に能力者を調べたのが国家公務員だったからだ。
だが部署が問題だ、彼女は「調査室」という部署にいた。
そこから引き抜くに当たってそうとう抵抗があったらしいが、その辺を語ると長くなりすぎるとのことだ。
不審に思ったヨウコが{神の力}で{アカシック}を見たところ、
彼女の一族は先祖の時代から国の隠密を勤めて居たという事実があったのだ。
そして、場合によっては暗殺も。
そんな彼女は引き抜きの話をあっさりと受けてヨウコの協会に入り、
今度は異世界にもついて来た、
そして、今俺の隣に居る。
目を向けると視線に気が付いたのかこちらを向きにっこりと笑う、
「あの件が気になるんでしょぅ。」
「・・・ああ、俺に手を出させないようにあえて手を下したんだろう?」
「そうだよぉ、後顧の憂いをなくすためにねぇ。」
「どうしてそこまでしてくれるんだ、俺だって奴らを討つ覚悟はあった、無理をしなくても・・・」
「愛してるから・・・じゃあ納得してくれないかねぇ?」
「それは・・・」
「あたしの家は代々隠密として人のしない仕事をしてきたんだよぉ、
諜報暗殺、歴史の表に出ない仕事をずっとねぇ。」
「子供の頃からずっとそういうことを教えられて何にも疑問に思わなかったんだぁ。」
「でも、会長に会って魔法使いにならないかって言われて当たり前だと思ってた事が
違って見えてきたんだよぉ、だから、協会に入ったんだ、みんなの反対を押し切って。」
「そこで、正人に出会った、何でかな?初めて会ったときから気になっていたんだよぉ。」
「亜由美も美奈も自分に正直になった、あたしもそうしようって思ったのかなぁ。」
「それで、盛ったのか?」
「あはは、あの状態だとまともに入り込めそうになかったからねぇ。」
まあ、そうだよな、そう思っていたからな。
「それでね、あたしがダーリンに何か出来るのは小さい頃から教わった技かなと思ってねぇ。」
だから、俺に代わって貴族を殺ったのか。
「あたしが殺らなくてもはつゆきたちがしたかもしれないけどねぇ。」
俺は、手を伸ばし彼女を抱き寄せた、彼女はなすがままになりながら俺をじっと見ている。
「判ったから無茶はするなよ、俺より先にくたばるのは無しだぞ。」
「あい、ダーリン。」
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次回投稿は7月22日19時予定です




