閑話1 独白 はつゆき その1
内容的には5話の後正人が意識を失った後の情景をはつゆき視点で書いてます
注意! 連続2話投稿です。
私の名前は「はつゆき」 2210号艦としてこの世に人の手によって生み出された。
進水式のときに「はつゆき」の名前が与えられ言霊の力によって、「私」が生まれた、
いや、正確には「転生」したと表現したほうがいいのだろう、
なぜなら「私」には前世の記憶があるのだから・・・
正確には「私」は3代目になる、初代と2代目は「駆逐艦」と呼ばれる小型の軍艦を駆逐する役割を持っていた。
3代目は「護衛艦」と呼ばれている、敵から味方を守るのが主な仕事だ。
2代目の「私」は世界大戦を戦っている、多くの戦いに臨み、たくさんの敵を屠り、たくさんの仲間を失った。
乗り組んでいた人たちも大勢死んだ、そして自分にも最後の時が訪れた。
沈んでいくとき、もう戦わずにすむ、「死」を見ずにすむという妙な安堵感に包まれていたように思う。
そして又3代目として「転生」した「私」だったが、今度は戦争もなく平穏な一生を送ったように思う、
共に生まれた姉妹たちも前世の記憶を持たぬものが多く、唯一3代にわたってのもはや腐れ縁ともいうべき
「しらゆき」を相手に昔語りをするのが楽しみであったりした。
そうしてついに「廃艦」という最後が訪れる、「しらゆき」は練習艦という艦種に変更になりもう少し「この世」に
止まることになったらしい、そのことに対して感傷はない、なぜなら「私たち」は人に作られし「物」なのだから。
だが?・・・この気持ちはなんなのだろうか?
廃艦になり、装備をはずされて解体を待つ「私」に語りかけてきたもの。
仮初の人の姿を与えてくれた人。
魔法使いを名乗る「正人」という若者。
彼と初めて会って、とりあえず一緒に行くことを承知してから、「私」の周りの世界が変わったような気がした。
人の持つ暖かさに魂から震えてしまった。
それに気が付いたのはあの「戦い」。
「魔法少女」との戦いだ。
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それは、いきなり始まった、「プラチナ」と名乗る魔法少女は問答無用の攻撃を仕掛けてきた、
正人は持てる魔法で防御を試みるが初級の魔法しか使えない正人の防御シールドは、
銀色の槍で貫かれてしまう、
「ぐぅぅ」
「正人!」
倒れる正人、初級とはいえ身体強化していた正人は即死はしなかったものの重傷だ。
すぐに「ヒール」を唱えて治療をする、
向こうではプラチナが更なる攻撃を仕掛けようとしている、
そのとき「私」の中の何かが弾けた、「正人は死なせない!正人を護る!」
そして「私」は固有魔法である「兵装」を起動させる。
「CIWS(近接防御火器システム)起動!」
虚空から現れたのは白く細長い半球のドームを上につけた6つの銃身をもつバルカン砲である、
毎分4500発発射できる兵器、まともに使えばいかに魔法少女でも一瞬でボロキレにしてしまうだろう。
だが、ここで人を殺すのは正人の意思に反する、「攻撃をしのいで隙をみて逃げるのが」このミッションだ。
そこで弾種を「魔空弾」にする、空気に魔力を込めて半実体化すれば威力によっては
殺傷しなくても無力化できる、麻痺を起こす属性の魔力を込めて発砲する。
ドリュリュリュリュリュリュリュリュリュリュリュリュリュリュリュリュリュリュリュリュリュリュリュリュリュ、
回避させることなくプラチナを打ちすえる魔力の弾、プラチナは意識を失ったようだ。
仲間が駆けつけてこないうちに撤収だ、 「煙幕・チャフ散布!」
煙幕を張り 魔法で探知されないように魔力の素 魔素を撒いていく。
そして建物の陰に正人を連れて行く、出血は止まったが意識は戻らない、治癒魔法をかけながら、
ここから逃れるために乗り物を呼び出す。
「SH60J起動」
艦載ヘリに正人を乗せて東H市まで飛び立つ、魔法で作ったものなので音もせず風も起こさずふわりと飛び立った。
いつも読んでいただいてありがとうございます。
2回分連続投稿しますのでご注意ください。