17話 ギリル
途中から主人公視点でなくなります。
{アポトーシス}
魔法が発動するとギリルの様子が急変した、
顔色が悪くなり、大量の汗、そして・・・吐血した。
「ぐ、ああぁ、なぜ?わたし、裏切っていない、助けて!」
俺は、とっさに治療魔法を行使したが症状の進行は止まらない。
ディクズビィをにらみ、言った。
「なにをした?」
「くくく君たちが手を下さずとも良いようにしてやったのさ、
そいつの体を構成する理を破壊する魔法をね!」
「そんな・グッうう、死にたくない、助けて!」
遺伝子を破壊して、細胞レベルで殺すわけか!
治癒魔法の復元力では直せない類の破壊らしく、
苦痛や、症状をわずかに和らげることしか出来ていない、
何か治す方法を探す・・・一つだけある。
俺はギリルに話しかけた、相変わらず三人女が攻撃してくるが、
すべて防壁で防いでいる、
「お前は奴らに裏切られた、それでも助かりたいのか?」
血を流し、涙を流して苦しんでいたギリルは眼を見開くと、
「た・す・か・り・た・い・・・まだ死にたくない、生きたい。」
俺は、少し目をつむった、俺というよりグリーゼの気持ちの整理だ。
そして、眼を開けた俺は、ギリルに言った。
「助ける方法が一つだけある、そのためにお前がお前でなくなるかも
知れないが、それでも良いのか?」
ギリルは眼を見開いたが、すぐに、うなずいた。
「判った。」
俺はギリルにも{結晶結界}の魔法を掛けてやった。
結晶結界はその中の時間をとめることが出来る。
本来なら神の持つ力なのだがなぜか俺は使える。
眼下の魔獣たちは進撃を再開している。
(あたご、魔獣が進撃を再開した、フォーメーション通りにやれ!)
(了解しました!)
そして、ディクズビィに向き直り言った。
「死にたい奴からかかって来い!」
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自由貿易都市コリントはルアン王国とレーヴェ獣王国連合の国境にある。
大陸の二大王国は大陸中央を貫く大山脈によって分けられており、
その山脈が終って二国のあいだにわずかな平野がありその部分が
コリントを形成しているのである。
両国の緩衝地帯としての役割と交易の地の利、さらに他の大陸への
貿易港としての面をもつこの町の経済力は強く、
ここで各国の紛争解決の会談が過去にも開かれていて、
今回の会議の開催も自然とここで行われることになっていた。
各国は、魔獣の襲撃に備えて一定の警護の部隊を率いてはいるが、
さほどの数ではない、
今回獣王国で捕縛された魔族の情報から、獣王国側は、
その備えに各都市に動員された国軍を配しており、
最大戦力のグリーゼ(正人)たちはクローネンベルグにいる。
ルアン王国も事情は一緒であるが、こちらにはヨウコ率いる魔法少女部隊と
はつゆきたちがいるので見かけよりも戦力としては厚い。
森林神聖同盟はまだ使節が到着していない、彼らは転移でこちらに来ることを
伝えてきている。
鉄鋼王国は兵力は少ないが、その部族の特性上新型魔道具のお披露目を
兼ねた部隊を連れてきている。
都市自体は、川や海を利用した三重の堀と四重の城壁を組み合わせた、
大都市を形成している、流石にこの世界で一番裕福な都市だけはある。
そこの、第三城壁内の演習場で鉄鋼王国の自慢の新兵器のお披露目が
行われていた。
「で、あれって{ゴーレム}てやつなのか?」
「そうですね、このパンフでは新型の機動性を高めたものらしいですよ。」
若林と、木ノ花が話しているそのゴーレムは、良くファンタジーに出てくるものとは
明らかに違うものであった、
というよりも彼らの世界にあるものとの類似が著しいのだ。
大きさは十五、六メートルはあり見上げるような大きさである。
「大きいねえ、でもすごくあれに似てるんだけど。」
「というかそっくり?」
美奈と亜由美もそう漏らす、
パンフの紹介記事には、「ゴーレム世界に新時代到来!」とか
「君は新しい刻を見る」とか怪しさ満点の文字が躍っている。
「あの、二本のアンテナみたいなのは飾りみたいね。」
「なぜにカラーリングがトリコロール?」
盾と魔動銃を持った姿はそれなりに強そうではあるが、
自分たちのいた世界にあった「あれ」と似すぎているのにドン引きする二人、
向こうではヨウコが技術者らしい人物になにか食って掛かっている、
「背中に{ランドセル}が付いていない!」
「そんなものはお飾りです、国の偉い人たちはそれがわからないんですよ!」
どこかで聞いたような会話だが、あくまで形にこだわるヨウコと実用性から
無駄な装飾は省きたい技術者、平行線である。
「おい、いいかげん、文化汚染するのはやめておけよ。」
と若林がヨウコに注意する、私が作った世界だから勝手にすると言おうとしたので
手で口を押さえ、拳固を落とす、だんだん遠慮がなくなってきていた。
「酷い、嫁入り前の娘に、父さんにもたたかれたことないのに!」
「ネタにも程がある!で、どこに嫁入りするんだ(神の癖に!)」
「あーもちろん正とヘゲッ!」
ドヤ顔で言おうとしたヨウコの後頭部に紙を折りたたんだもの、
いわゆるハリセンが振り下ろされる、おろしたのは亜由美と美奈だ。
「正人は(({私たち}))のです!」
そこに走ってきたのははつゆきである、いつもよりあわてているのが良くわかる。
「魔獣が出現した、山脈から、数は推定十万以上!」
「な!本当なのか?」
「偵察に出していたヘリが捉えた。」
コリントの攻防が始まった瞬間だった。
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次回投稿は6月14日18時予定です




