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ゲイブランド魔人王視点2

 カガ・ダイスケという男は、王都で【業務用スーパー】なるスキルを使い、魔獣や魔人などの魔族を次々と浄化しているらしい。


 その活躍から、なんと新しく女王となったアナスタシアの王婿にまでなった。アナスタシアもその影響力の大きさを恐れ、結婚せざるを得なかったのかもしれない。


 【業務用スーパー】という聞いたこともないスキルは、異世界から食材や食べ物を調達できるという。そして、それは信じられないほど美味だという噂だ。


 その上驚くべきことに、ダイスケの料理を食べると魔人は浄化されてしまうらしい。それゆえ、ダイスケはセデリア王国では“真の勇者”などと敬われていた。


 そうだ。この男のもとへ行き、魔人であるワシ自身を普通の人間に浄化してもらおう。そう考えた時から、ワシは争いをやめ、ダイスケのスキルで魔人から元の人間に戻る道を模索するようになった。


 ゲイブランドの民もセデリアとの長い戦いの中で、元の人間に戻りたいと願う者が増えていた。ワシが人間に戻ればこの大陸の呪いは消える。この浄化計画はゲイブランドの民のためでもあるのだ。


 だが、そんなワシの考えとは逆にワシの幹部たちは一気呵成にセデリアへ攻め込もうと精を出していた。今さらそんな幹部たちを説得することは不可能に思えた。どうにかこやつらを利用してダイスケに近づく方法は無いものだろうか。


 ワシは一人、心の奥底で密かに幹部を利用しダイスケに会って、争いを終わらせる計画を考えた。そしてその前にダイスケが本当に魔人を浄化できるのかを確かめる必要があった。


 ワシはモンクレール侯爵家のセドリックを通じてダイスケをおびき寄せることにした。侯爵家には呪いや祝福、付与スキルの【鑑定】が使えるザヴィを派遣した。


「閣下、いいんですか?俺は最悪、あいつを殺してしまうことになりますよ?」


「ならん。絶対に手荒な真似はするな。ダイスケのスキルを確認するだけでよい」


 手下には血の気の多い者ばかりで困る。ワシはダイスケのスキルを確認するだけでよいと、何度も繰り返して伝えた。


 しかし、あの若造の貴族セドリックは不用意にも屋敷内で小競り合いを起こしてしまった。結果、セドリックは追放されザヴィも逃げ帰ってきた。


 だが収穫もあった。ザヴィの報告によるとやはりダイスケは異世界から食料を取り寄せるスキルを持っており、あの男の作る料理には【魔物浄化】という効果が付与されているということだった。


 次にワシは、新しく女王となったアナスタシアと話をつけようと考えた。浄化計画を話すため、女王に交渉の場を設けるよう何度か文書と密使を送った。しかし、いつまでたっても返事は来なかった。


 不審に思いそれを側近に問いただすと、ログナーが文書を捨てていたことが判明した。密使を脅してセデリアへの通達を妨害していたのだ。それを問いただすとログナーは悪びれもしなかった。


「和平交渉などセデリアに舐められて終わりでしょう。その上、人間に戻りたいとは、話になりませんぞ」


「しかし、こんな争いを続けても先はないではないか」


「カルヴァン閣下!忘れたのですか?セデリアの前国王がすべて悪いのですよ!」


 ログナーは、ワシ以上にセデリアへの憎しみを抱いているらしい。あやつの身勝手な行動を知り、ワシは周囲の者を信用できなくなってしまった。


 かくなる上はダイスケに直接会いに行くしかない。しかし、ワシが自らセデリアへ赴いても警戒されてしまう。どうすればよいだろうか。そうだ。国境付近に兵を集め、ダイスケが現れたその時を狙って会いに行こう。


 ダイスケは魔獣にすら飯を分け与え浄化させている。加えて、セデリアの魔人化した民にも料理を施したらしい。その慈愛の心があるならワシの願いもきっと聞いてくれるはずだ。


「閣下がその気なら、俺も協力する」


 セドリックの件で失態を演じたザヴィは、深く反省している様子だった。加えて、ワシが密かに争いを終わらせたいと考えていることや、ダイスケのスキルで人間に戻ろうとしていることを理解し協力を申し出てくれた。


「それならザヴィ、セデリア軍の前でやって欲しいことがある」


 ワシはザヴィに一つの計画を打ち明けた。ログナーや過激派に気づかれないよう、秘密裏にダイスケを誘導する必要がある。回りくどい方法ではあるが、ワシにはこの手段しか思いつかなかった。


 すべてはセデリア軍がダイスケを出してくるかどうか、そしてザヴィの行動が計画通り進むかにかかっている。


 ああ、ダイスケよ。どうか一刻も早く会ってくれ。そして、ワシとゲイブランドの民を救ってくれ。

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