第8話 表裏一体
「何!!誰、あんた!!」
ゲストルームに怒号が響き渡った。
ラオンは、慌てて少女から離れた。
少女もあたりを見回して、慌てて言った。
「ここどこ!?えっ…」
そして、数秒間、謎の沈黙が続き…
そこでラオンが口を開いた。
「ここは、王都ライカルルの城だよ。
あのぉ、さっきのやつはごめん…
ちょっと、バランス崩して…」
それを聞いて、少女も口を開いた。
「私こそ、ごめん。
蹴っ飛ばしちゃって…
ここは城?なのね…」
そして、気まずい時間が流れ…
ラオンが、おもむろに口を開いた…
「えぇっ、と…
まず、君について教えて欲しい…
迷惑かもしれないけど…」
それで、少女は一息ついて、話し始めた。
今から、約15年前のこと…
煙の街、スチームチムニーで、ある少女が生まれた。
そういえば、この大陸にはある特徴がある…
その特徴とは、この大陸で生まれる人間は、生まれつき何かしらの超能力を持つということだ。
例えば、浮遊とか、回復とか…
大抵、魔術が使えれば補えるものが多いが…
そんな中で、魔術でも補えない超能力がある。
確率はかなり低いが…
そんな超能力の一つ…
それが、この少女の持つ“フィール・インテリジェンス”である。
この超能力は、簡単に言えば…
何かに触ると、そのものに関する情報が全て分かるというものだ。
つまり、誰かに触れば、個人情報が全てわかってしまう。
だから、魔術でも補えないのである。
少女はこの超能力と一緒に、この世界に誕生した…
両親から「ニア」という名前をもらい、可愛がられて、
長い年月が経った…
そこで悲劇は起こる…
急に誘拐され、宇宙船に連れ込まれてしまったのだ…
眠っていたところを襲われ、拉致されたのだ。
幸い、両親は無事だったが、この事件はかなり話題になった。
もちろんラオンも知っていたが…
誘拐したのは、有名な宇宙海賊団の“ルナ・マフィア“で、
この事件は、ニアを含めて、10人ほど拉致されていた。
なぜ、何もしていないニアたちは、拉致されてしまったのか…?
それは、この超能力にあった。
この超能力は、良い点だけではなく、悪い点も存在する。
ニアの能力のように、魔術で再現できないものは、価値が高い。
つまり、いろんな人が欲するということ。
特にこのような悪党にとっては、“フィール・インテリジェンス”は、
かなり必要としているケースが多い。
現に、この事件で拉致された人の半分以上が、この能力の持ち主だった。
だからこの能力は、良いところも悪いところも「表裏一体」。
あるものにとっては、人生を豊かにするもので...
また、あるものにとっては、不条理な災いだった。
バレンタイン最悪だぁ…
もう、いろいろと嫌ですよ…
でも、投稿はするよ~