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All For Love ~Serious love never ends?~  作者: 犬
第一冒険譚 ーInceptionー 《Suit ♡》
46/46

第42話 花霞(Blossom Haze)

話の内容が思い出せない方へ…

こちらを振り返って見ては…?

*特にこちら。

*夢之庭列車→第41話

PM 8:50

車両を移動していたラオン達は、パンフレットに載っていた施設を1つずつ確認していった。


1号車 ー ラウンジ

2号車 ー ダイニング

3号車 ー キッズスペース

4〜8号車 ー 一般客室

9〜10号車 ー スイートルーム

11号車 ー 遊戯室

12号車 ー 展望デッキ


「ざっとこんな感じだけど、どこから見て回ろうか?」

ラオンは2人の顔を見ながら、優しく提案した。

最初に口を開いたのはニアだった。

「とりあえず、先頭車両から見て回らない?

最後に展望デッキの方が距離近いし…」

アストロは頷いて、それに付け足した。

「ダイニングは飛ばそう。また飯食ったら太っちまうだろ」

ニアとラオンはそれに対し笑みをこぼし、アストロも笑って返してみせた。

そうして、先頭車両へと向かっていった。



ー1号車 ラウンジー


ラオン達はラウンジに入ると息を飲んだ。

それもそのはず。このラウンジ『ニュー・フロンティア』は高級なラウンジで、先頭車両ということもあって窓からの眺めは圧巻だ。

細部まで作り込まれたデザインと建築の美的センス。どれをとっても、反論する余地がないほどだ。

深紅のカーペットに木製のカウンター、大理石のテーブルが並び、柔らかな照明が全体を包んでいる。

そこでは旅人たちが談笑しながらグラスを傾ける姿が見られ、どこか優雅な雰囲気が漂っていた。


「わぁ…まるでどこかの国の宮殿みたいね。」

ニアが感心したように周囲を見渡すと、ラオンは

「確かに、少し親近感湧いたよ。僕も一応王族だからね。」

と笑って返した。

「王族の威厳ほぼないけどね。ラオン君はさ?」

アストロはそう冷やかしながらテーブルを見つけ、3人はそこに腰を下ろした。

程なくして、給仕(ウェイター)がやってきて3人の前に紅茶と小さな焼き菓子を置いた。

「サービスの一環としてお楽しみください。」

「こんなサービスまでいいんですか!?」

ラオンは驚きのあまり目を輝かせて、さっそく紅茶を一口飲むことにした。

芳醇な香りやフルーティーな味わいが体の隅々まで広がり、ニアもアストロもラオン同様に言葉を失った。

その美味しさのために語彙力を失ったのか。それとも思考力を奪われたのか。

しばらく経った後で、3人は「美味しい」と一言感想を述べた。

ラオン達はその後、「Ozone Baby」や「Lowdown」といったラウンジ限定の飲み物などを頼んで、雑談を続けた。

約30分が経過したことに気づいたラオンは、ニアとアストロに帰ることを提案した後で会計を済ませて、給仕(ウェイター)に挨拶しその場を後にした。



ー3号車 キッズスペースー


次にラオンたちが向かったのは3号車だった。

既に"ホープフルシティ"で夕食を済ませていたため、ダイニングである2号車はスキップしたのだ。

真ん中にはクッション素材で囲まれた円形のスペースがあり、それを取り囲むように絵本やおもちゃが収納された棚がある。

天井から吊り下げられたランプは、赤や青、緑といったカラフルな色で構成されていて、いかにも遊び場であるという雰囲気を醸し出していた。


真ん中のスペースでは既に子供たち何人かが遊んでいて、そんな様子をラオン達は見ていた。

「無邪気な子供たちって可愛いよねー。ほんとに。」

ラオンはそう言って微笑みながら子供たちを見る。それに続けてニアが言った。

「羨ましいわよね。あの無邪気さと元気。」

アストロはそんな2人の様子を見て優しく話しかけようとしたが、自分に向かってきている子供を視界に捉えたために、そっちに注目せざるを得なかった。

「どうしたの……っておいっ!!」

アストロはそう言った瞬間飛び上がった。

なぜなら子供に尻尾を急に触られたからだ。

そんな様子を子供たちは面白がったのか、次から次にアストロの方へと駆け寄ってきた。

「うわぁー もふもふだー」

「すごーい これほんもの?」

「やわらかくて、おもしろーい」

「お、おい… やめろよ… くすぐったいだろ…!」

子供は遠慮もせずアストロの尻尾を触り倒す。

「アストロはどう思う?…ってどういう状況だよ!」

ラオンとニアがふと視線を戻すと、そこには呆然としているアストロと、尻尾に群がる子供たちの姿があったために、ラオンもアストロのように驚いた。

やがて子供たちは、近くで見ていた親たちに引き剥がされ、親たちはアストロに謝罪した。

アストロは子供は無邪気だから仕方ないと言って笑顔で許した。

「もふもふちゃん、 ばいばーい」

「またもふもふさせてー」

「まっしろもふもふ、じゃあねー」

ラオンたちはそんな子供たちに手を振り返しながら、次の号車へと向かった。


ー11号車 遊戯室ー


ここはカジノのようになっていて、常に煙草と酒の匂いが充満している車両だ。

ラオンは王子という立場とニア達の安全を優先し、すぐに次の車両に移った。さすが機転が利く王子様だ。


ー12号車 展望デッキー


ラオン達がそこに着いた頃には、もう既に外は暗かった。時刻はPM 9:30頃だろうか。無数の星が空にちりばめられている。

夜風に当たりながら目を細めて気持ちよさそうにしているニアを見て、ラオンは安堵しつつ言った。


「ニアが元気になってくれて良かったよ。

戦争の跡地見てから、すごい落ち込んでたから心配しちゃってたけど、ニアが元気で嬉しいよ。」


その発言のせいか、一瞬ニアはラオンを見つめたが、すぐに外の景色に視線を戻して行った。


「別に、そんな落ち込んでないわよ…

ただ申し訳なかっただけ。不安だったってのも

アストロが勝手に話を大きくしただけだわ。」


「いや、ラオンがいなかった時、めっちゃ不安そうにしてたぜ。ニアは私と違って素直じゃないなぁ…」


「まあまあ落ち着いて2人とも。ほら、あれ見て。」


2人を仲介しながらラオンが指を指した先には、美しい夜景とその奥に青白く光る山が広がっていた。


「あれね、"繚乱鍾乳洞"って呼ばれる鍾乳洞が山の中にあるから、夜になるとその鍾乳洞の壁にある鉱石に、月光が反射して光るらしいぜ。」


ニアとラオンが不思議そうな顔をしていたために、アストロはすぐに2人に説明してあげた。2人はなるほどと頷き、アストロは得意気な顔をした。

そうしてしばらく風景を楽しんだ後、ラオン達は自分たちの客室に戻ってきた。


アストロはよっぽど疲れてたのか、客室に着くや否や狐モードに変身し寝台の上で眠りについた。ラオンはそんなアストロを見て呆れながら、毛布をかけてあげた。ラオンはやはり王子様なだけあって、優しい。

その後ラオンはソファに腰掛けて、窓の外を眺めてると、ニアがその隣に座りラオンに話しかけた。


「話したいことがある…」

今回のタイトルは

『Sonic Mania』の「Blossom Haze」

を参考にしています。

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