エピローグ
浮動機幹線が大陸全土に普及し、人の住む場所、街道などは浮動機関連の通行の影響で、魔物の出没はほとんどなくなった、魔物たちは人の入らない森の奥や、山の中に生息するだけになって行った
後日、バルドア王国を再訪し、王様専用の浮動機バスを届けて来た、その乗り心地に老齢の新王ゼネルが、涙を流して感激した
「これで国中何処でも行けます、ありがとうございます」
そう言って感謝された、ロイドの心配は老齢のゼネルの移動手段だった、護衛や付き人と、揺れもなく安全にどこにでも行ける、早く提供したかったに違いない、荒れた道を馬車で移動など、とても無理だったからだ、浮動機バスなら極端な話、ベットで寝たままでも移動可能だ、ロイドが余りにゼネルの健康を気にするので、侍従二人を治癒師として、高度な治癒が出来るよう育成した、二人の試験にゼネルの体を治癒させてみた、一人は腰痛、もう一人は肩こり膝の痛み、ゼネルさんガタガタじゃない、これで王様の公務は可愛そうだ、ふたりの侍従に
「俺の教えた通りやって見ろ」
2人の侍従は半信半疑だが、指示通り
「王様、失礼いたします」
指導通りに治癒を完了、すると
「何だこれは、諦めていた腰の痛みが無くなった、肩も軽い足も居たくない、どういう事だ」
治癒をした侍従二人が驚いている
「栄太、これで心配がなくなった、ありがとう」
「良かったな」
ゼネルが俺の傍に来ると、膝をついて平伏する
「矢張り神さまじゃ、ありがとうございます」
「王様がそんな事をしてはいけません」
「いえ、貴方にだけは、こうしないと私がおかしくなります、どうかこうさせてください」
問答を聞いていたロイドが苦笑いしながら
「栄太、爺は頑固でな、思い込んだらもう駄目だ止めない、やりたいようにやらせてやってくれ、そうしないと本当に具合が悪くなるかも」
王様がひれ伏すって、居心地の悪さに辟易としたものだ
久し振りに五人が揃って、しかものんびりと過ごしている、だがウィンだけは別だ、街が国になり、領主として休む暇がないらしい
「栄太、お前も少しは公的な職を受けろ、全部俺にやらせて、いい加減にしてもらいたい」
「俺は、やるだけの事はやった、後はお前の仕事だろう
「そうはいうがなぁ、言っても無駄か、諦めたすきにしろ」
黙って書類に印鑑をおしはじめた、愚痴を言うのも無理はない、クロードの街の事ばかりでなく、赤星の扱う製品、運用その他は赤星星団の各会社がやるが、それは領主ウィンの認可が無ければ出来ない仕組みになっている、大陸の各国からの、浮動機に関する申請は、全て都市国家クロードにすることになっているのだ、今まではロイドもウィンと同じかそれ以上に忙しかったのだが、俺の提案で総長ではなく会長に収まった、おrの説明で使った会社と言うものをそのまま使って、いくつかの専門分野の会社を作り任せた、お陰でたまに社長たちを集めて報告を聞くだけだ、グレンも警備関係守、守備係の会社を作り責任者に任せている、俺は相変わらずだ、何か事が起きれば忙しくなるだろうが、大陸全体が平和になった今忙しくはならないだろう、俺、シルビー、ロビン、グレンはそっと部屋を出て、それぞれの持ち場に帰ることにした
クロードの街は商店街、住宅街、工場地帯、農協地帯、観光地、全てに結界が張られ東西南北に門をかまえている、門には俺が造った正邪の石と言うのが置いてある、身分がどうあれ邪心を抱くものは、入門できない事になっている、人を傷つけるとか、盗みを目的に入ろうとするものは弾かれる、都合の良い石だ、身分が高いからと言って例外はない、浮動機幹線で入って来た人にも適用されるし、また浮動機船で入る人も同様だ、浮動機船の運航で、グロージン王国の物資は殆どがクロードを通過する、大陸中の物産が集まって来る、今まで自家用だけだった地方特有の産物が、大陸中に出回るようになった
発展して公害が出る事も無く、良い事ばかりだ、領土を増やそうとして戦争が起きたのだが、今は各国、今ある領土をいかに豊していくか、各国が協力し合って考えるようになった、足りないものを補い合える輸送力がそうさせるのだ、戦争の必要がないばかりか、仲良くしなければ損の方が大きい、大陸に戦争が無くなった、王様たちは国民が喜ぶことを、競ってするようになった、大陸会議と言うものが開催されるようになったのだが、王様達は顔を合わせれば
『我が国民が大陸で『一番幸せだ」
「いや、我が国の国民はこんなのとをしているから、我が国の国民が一番幸せなのだ」
そう言って競い合うのだ
大陸中の人々が交流するようになり、文化の交流が活発になって、大陸は飛躍的に進歩した、そして平和になった
もう一つ、これは事件だ、グレンが結婚した、奇跡に近い、相手はと言うとロイドの妹メアリー、そごとをしたいと言う事で、グレンの浮動馬部隊の事務を手伝ってもらっていたのだが、どうしてこうなった
「ロイド、分かるか、お前の妹ががグレンに、あんな美人なのに、考えられない」
「何が考えられないんだ」
いけねえ、グレンが居たんだ
「ンっ、いや、こっちの事、何でもない」
「どうせ、俺の悪口を言って居たんだろう」
「悪口なんて言ってないよ、不思議だとは言ったけど」
「何が不思議なんだ」
「まあどうでも良い事だ」
彼奴、最近カンかよくなったような、ロイドが小声で
「妹は姫様として今まで、グレンの様な素朴な人間にあった事が無かった、だから新鮮に見えたんだよ、其処え持ってきて、見かけはああだが中身は凄い優しい性格だろう」
「ああっ、見かけと違いがあり過ぎるくらい良い奴だ、それで参っちゃったって事かよ」
「そんなとこだろう」
「何を二人でこそこそと」
「奥様元気かグレン」
「なんだ、突然、元気だよ」
「そうか、そりゃあ良かった
「何なんだ、俺と居ると具合でも悪くなるとでも言いたいのか」
「そんな事は言ってないじゃないか、何ひがんでいるんだ」
「俺は幸せってやつが分からなくてな、なんか変なんだ、何時も隣で幸せだ、幸せだって言ってるんだが、俺なんか良いのか、まだ分からん、俺は嬉しいけどな」
「馬鹿野郎、お前、そう言うのを惚気てるって言うんだ、何が俺は嬉しいだ、聞いてらんねえよ、シルビー、お父さんとお母さんに会いに行くか」
外に出ると喧騒が耳に入る、シルビーは何時ものように腕を組んで来る、此処に来たばかりの時の街は、変わり過ぎて影もない、全く別の街になってしまって居る
工場に着くと、広い事務室を通り、工場長の部屋にたどり着く、今は事務職員だけでも三百人以上いるそうだ、工員は何千人なのだろう
「お父さん、こんにちは」
「やあ、よく来たね、シルビー元気か」
「うん、元気よ、お母さんは」
「そのうち来るだろう、もうすぐ昼だ」
「お父さん、最近何か新製品は」
「別に無いね、今までだって栄太さんの作った物を、改良してただけだよ、こっちが聞きたいね、何か新しい事考えてないか」
「今の処は何も」
「そうか、残念、新しいものを改良するのは楽しいんだがなぁ」
エリーが入って来た
「栄太さん、いらっしゃい、シルビーもっと顔を見せてよ、最近はそんなに忙しくないでしょう」
「ええ、そんなには、でも、私だって家の事とか、使用人たちの事とか、栄太さんの世話とか、お母さんが思うより忙しいのよ」
「そうだった、おっきなお屋敷だものねぇ」
「ガルトたちが遣ってはくれるけど、色々と私でなければの事があるの」
「まあっ、しっかり奥様になっちゃって」
みんな幸せに暮らせている、ウィンもロイドもグレンも、最終決断は俺にさせる、これだけは絶対やめない、だがそれが俺達の結束の証みたいなものだ、大きい事を言うようだが、大陸の平和のバランスは俺達がとっているような、そんな立場になっている、神様はこうなるよう力を貸してくれているのだと俺は思っている、何時までも平和が続くようがんばるしかないのだ
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