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最終日

「あの……」

「何?」

「何で弥生お姉ちゃんは俺の膝の上に乗っているんでしょうか?」

「ほら、一応タイトルの事もあるから、ね」

「いや、十分序盤でタイトル回収したでしょうが!あとなんでまたバスガイドの制服着てんの!?」

「転職したからに決まってるじゃない」

「はやっ!!そんなんできるの!?」

「ほら、タイトル考えたら……」

「メタい話はいいんすよ!てか、学校までこのままなの!?」

「ええ、このままよ」

「…………」

「やっと、二人きりになれたね」

「いや、なってないから!何いきなり変な雰囲気出してんの!?」


 最終日、バスに揺られながら、俺はツアコンからバスガイドに再転職した弥生お姉ちゃんに膝を占領されていた。おちおち眠れやしない。あともう誰もツッコまないどころか気にしてもいない。

 ちなみに今回の修学旅行をきっかけにクラス内でカップが3組ほど成立したらしい。何だ、この最終発情期。


「最終発情期に乗り遅れないようにしないといけないわね」

「いや、その辺は焦ってないので大丈夫です。ゆっくりいきましょう」

「それもそうね。これからはずっと一緒にいるんだからね」


 ずっと一緒という言葉がやけにずっしりと響くのを感じながら、窓の外に目を向けたると、その風景はどこか見慣れていて、もうすぐ修学旅行が終わるという実感がわいてきた。


「そういや、弥生お姉ちゃんはいつからこっちに戻ってたの?」

「3ヶ月前からちょくちょく戻ってたわよ。こっちには1人で戻ってきたのよ」

「へえ、ていうか今更なんだけど何で普通に訪ねてくれなかったの?」

「色々根回しとか、君がどんな日常を送っているのかを確認をしておかなきゃいけなかったから……彼女がいるか、とか」

「あ、わかりました。もう大丈夫です」


 きっとこの期間に色々やってたんだろうな……弱みを握ったり……。


「バスガイドは続けるんですか?」

「しばらくは続けようかな。割と面白いから。ああ、でも君が毎日乗るわけじゃないものね。どうしたものかしら」

「…………」


 まあ、この人ならどうとでもなるような気がする。

 すると、弥生お姉ちゃんはさらに体を預けてきた。ぶっちゃけ長い髪やら何やらで呼吸しづらい。


「ねえ、翔太くん。あんまり修学旅行らしいこと出来なかったね」

「十割あなたのせいなんですが……」

「じゃあさ、当面の目標は修学旅行をやり直すことにしない?」

「……いいっすね。じゃあバイトでも始めますか」

「何か紹介してあげようか?」

「それはいいです」


 もう視界には校舎の屋根があり、何とも言えない脱力感がしてきた。

 こうして俺の修学旅行らしくない修学旅行は終わりを告げた。


「あ、この後反省会ね」

「え?」



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