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ヒレイスト物語  作者: 瑛
第2章 ”別れ”と
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9-1 襲撃

小鳥のさえずりが聞こえてきて僕は起きた。珍しくディグニはまだ寝ていた。

そうこうしていると、部屋の扉をノックされる。扉越しにペルの声が聞こえる。



「ディグニ様、ビス様。」



僕は扉を開けて挨拶をする。



「おはよう。ペル。どうかしたの?」



「おはようございます。ビス様。そろそろ朝食の時間ですので、呼びに来ました。」



ペルはここでも使用人の仕事をしているらしい。



「うん。わかった。ディグニを起こしてすぐ行くよ。」



「ディグニ様はまだお休みでしたか。相当お疲れだったのでしょう。

ディグニ様はまだ寝かせておきましょう、ね。」



たしかに、ディグニはモーヴェ王国を出てからずっと気を張っていたように感じた。



「そうだね。じゃあ、少し準備してからすぐいくよ。」



「承知しました。食堂でお待ちしております。」




食堂にいくと、ディグニ以外全員集まっていた。ペルは昨日の言った通り、立っている。



「おはよう、ビス君。」



「おはよう。ツァール。」



そのやり取りを不思議に思ったのか、不機嫌そうにシェーンが話しかけてきた。



「あら、なんだか仲良さそうね。なにかあったの?」



ツァールの方に目を向けると、人差し指を口に当てていた。



「ううん。何にもないよ。」



「ふーん。怪しいの。」



不満そうにそう言い放った。 



「はははっ。男同士の秘密ってやつか。」



なんでそういうところは勘がいいんだよ。




ディグニは僕たちが朝食を食べ終わる頃にやってきた。



「ビス。なんで起こしてくれなかったんだよ。」



「だって、疲れてるみたいだから。」



ペルが近づいてくる。



「私が言ったんです。もう少し寝ていてもらおうと。」



「あ、いや、怒っているわけじゃないぞ。ただ、部屋にビスがいなかったから驚いただけで。」



なんとなくそれはわかっていた。






僕たちは、ディグニを残して食堂を出た。

 シェーンに声をかけられた。



「ビス、一緒に図書室行かない?

 こっちにはモーヴェにない本がいっぱいあるってツァール兄様に聞いたの。

 べつに行きたくないならいいんだけど。」



 そんな表情をされたら断れないじゃないか。

 僕はちょっと城の中を回ってみようかなんて考えていたが、

 図書室に行くのも悪くないと思い返事をする。



「うん。いいよ。行こう。」



 シェーンと一緒に図書室に向かう。



「そういえば、昨日買ってきた本はどうしたの?」



「ん?ああ、昨日のあれね。全部読んだわよ。まだ読み足りないのよね。」



 あれだけの本を⁉驚きしかなかった。



「そ、そうなんだ。なんか目当ての本があるの?」



「ううん。そういうわけじゃないんだけど。何読もうかしらね。」





 図書室に着くと驚きの光景が広がっていた。

 モーヴェ王国の図書室よりも本が多く並んでいたのである。



「思っていたよりもすごいわね。どれを読むか迷っちゃうわ。

 うーん決めるのに時間を割くのはもったいないし、

 あっちの方から見ていきましょう。」



 そういってシェーンは本棚の方に向かっていった。




 本棚に着くと、シェーンは徐に本をとる。



「魔法に関する本が多いわね。それも、どれも高度なの。」



 シェーンが手に取った本を覗き込むと難しい文字が並んでいた。



「”イゾラント・コスト”。・・・裏切った者を罰する魔法ですって。

 発動したら裏切った者は消滅するみたい。」



 なんとも怖い魔法だ。



「ああ、私が魔法使えたらビスにかけてたのになぁ。」



 ものすごく怖いことを言う。



「や、やめてよ。」



「冗談よ。それにあなたは・・・」



 シェーンはこっちをじっと見てくる。



「僕が何?」



「な、何でもないわよ。ほら、あなたも何か本をとって読んだら。」



 そう言われて僕は、本棚を見渡した。

 どれでもいいやと思って僕は本棚に手を伸ばす。

 とったのは”アナスタシス・フルム”という本だった。




 その本は一人の少年が大切な人をなくし悲しみに暮れていた。

 ある日、少年はある噂を耳にする。この世に復活の魔法が存在すると。



 少年は大切な人を蘇らせたくて復活の魔法を探す旅に出る。

 この世界では、魔法は本に記録されている。

 そしてその本を読めば誰でも使えるようになれる。



 ただ、そんな簡単な話ではなかった。

 その本はダンジョンに隠されていて、難しい魔法ほど、

 ダンジョンは強いモンスターが出てくるようになる。



 少年は何度も挫かれるが、その度に起き上がる。

 仲間もでき、ともに様々なダンジョンを攻略していく。

 そして遂に復活の魔法が書かれた本の情報を手に入れ、そのダンジョンに向かう。



 しかしそこは地獄であった。屍が無数に転がっている。

 ダンジョンの難易度も格段に違う。逃げ帰ることもできない。

 もし、背中を向けようものなら、一瞬でやられる緊迫した状況に陥っていた。



 それでも少年と仲間たちはその本を手に入れる。

 そして少年は大切な人に魔法をかける。



  “アナスタシス・フルム”






 次のページを開こうとしたら、遠くバァン、バァンと爆発音がなる。

 驚いて僕とシェーンは外に出た。町のあちこちで火事が起きていた。



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