9-2
「何⁉何が起きてるの⁉」
僕たちが昨日買い物をしたところも火が広がっていた。
僕は急いで向かおうとする。
「ダメよ。ビス。」
「なんで⁉何でダメなの?みんな危険にさらされているんだ。こういう時に力にならないと。」
「今から行っても間に合わないわ。
それに何が待ちうけているかわからない。私たちがいっても邪魔になるだけよ。」
「でも‼」
その言葉を発して、シェーンを見るとそこには両手を強く握り込んでいる姿が目に入る。
血をたらしながら。
「っ‼」
僕は唇を噛んだ。
「ぐああああああああっ」
城の中で悲鳴が響いてきた。僕の足は自然と動き走り出していた。
「ちょっ、ちょっと待ちなさい。待ちなさい。ビス。」
シェーンの声が遠ざかっていく。声がした方に向かう中人が増えていく。
そして人だかりができているところに辿り着く。僕はそれをかき分けて進んだ。
「退けて、退けてよ‼」
そこには、すでにディグニ、クラフト、ペルがいた。
そしてその奥に目をやるとツァールともう一人の男が立っていた。
ツァールは剣で刺され、血だらけになっていた。
「なんで。どうして。なにやってるのよ。フィロ兄様‼」
後ろからシェーンの叫び声が聞こえる。
どうやらツァールを刺した男はモーヴェ王国を出ていったフィロらしい。
「なんだ。シェーンも来ていたんですか。」
「あんなにツァール兄様を慕っていたのに。なんでそんなことしたのよ。」
「うるさいですね。あなたには関係のないことです。黙っていなさい。」
「黙らないわよ。人が殺されかけているのよ
。それに、殺そうとしている方も殺されかけている方も血のつながった兄弟なの。
黙っていられるわけ、ないじゃない‼」
「はあ、まあ、いいでしょう。どうせ早かろうが遅かろうがあなたも死ぬんです。
冥土の土産に教えましょう。ツァール兄様が無能だとわかったんです。
だから排除する。それだけです。」
フィロはその言葉を真顔で言っていた。
「あんたはいつもそう。無能はいらないって。
なんでそんなに人を見下して人の言うことに耳を傾けないの⁉
完璧しか許せないから?完璧しかいる意味がないから?」
「そうですよ。だから、あなたを見ているといつもイライラしていました。
失敗しても、失敗しても、諦めず挑む姿。見苦しくて見ていられませんでした。
それに、失敗しても嬉しそうな顔、虫唾が走ります。
そしてできたらそれ以上に嬉しそうにする。何を当たり前のことを喜んでいるのです。」
横目で見えたシェーンは少し震えていた。
「っ‼・・・私のことは嫌っていてもいいから、こんなことはやめて。
今ならまだ間に合う!だから、私の声に耳を傾けてよ‼」
「もう、口を開かないでください。この無能が。」
ああ、ダメだ、僕はこの人が嫌いだ。
それにディグニたちに会う前に会っていたら僕は潰れていただろう。
誰よりも早く僕は声を出していた。
「シェーンのことをそんな風に悪く言うな‼」
「誰です?あなたは。うるさいですね。ウジ虫どもが、すぐに口を開けないようにしてあげます。」
フィロが僕に向かってくる。正確には隣にいるシェーンの方に向かってきている。
カキンっ。




