89.変な格好に変な歩き方
若いヒットベアーさん達と若いキックモンキーさん達が、サッ!! とその場にしゃがんだり座ったりしました。だからもっとよく、1番大きなヒットベアーさんとキックモンキーさんが見えて。やっぱり2匹は変な格好をしていました。
えと1番の大きなヒットベアーさんは、右手の手のひらを頭の後ろにくっ付けて、左手は腰の所に。それから右足の前に左足を出して、交差するみたいに立っています。
それから1番大きなキックモンキーさんは、ヒットベアーさんの逆で。左手の手のひらを頭の後ろにくっ付けて、右手を腰の所に。それから右足を左足の前に出して、交差するみたいにして立っていました。
あとね、とってもとってもニコニコ……、じゃなくてニヤニヤ? してるんだよ。僕達の方を見て。たぶんニヤニヤ。
『何、あの格好。それになんか凄いニヤニヤしてない?』
『うん、ニヤニヤしてるねぇ。時々会う、コケコ親分やグーちゃんやグリちゃんも、ニヤニヤしてるよね』
ミル君もお兄ちゃんモルーも、2匹がニヤニヤしてるって。ね、ニヤニヤしてるよね。それに、そういえば他のみんなも時々ニヤニヤしてるかも。でも今の2匹は、みんなよりもモヤモヤが強い気がします。
『それにしてもさ、本当にあの格好何? 何であんな格好してるのさ』
『あのねぇ、この頃1番強いママ達は、いつも変な格好の練習してたよ』
ミル君がずっと変な格好って言ってたら、子ヒットベアー達と子キックモンキー達が、色々教えてくれました。
なんかね、この頃2匹は、ずっと変な格好の練習をしていたんだって。今やっている格好だけじゃなくて、他にも色々な変な格好をしてたみたい。
それでみんなもどうして変な格好してるの? って、大人に聞いたんだ。そうしたら、練習してるって。だから何の練習? って聞いたら。みんなはまだ大人じゃないから、分からないって言われました。
それから大人になると、あの変な格好は、とっても大切な格好で。みんなが見た練習の変な格好以外にも、色々な格好があって。みんなが大人になると、大切な好きな格好が見つかるかもしれないの。
そう聞いた子ヒットベアー達と子キックモンキー達は、1番大きなヒットベアーさんとキックモンキーさんの連練習を見ていたんだけど、好きな格好はなかったみたい。ずっと変な格好ばかりだったって。
『大人になると、好きな格好が見つかるの? 何で大人?』
『分かんない。あっ、でも。アルフが遊びに来てくれるまでに、いっぱい練習しなくちゃって言ってたよ』
『アルフが来るまで? 何でアルフ? アルフが来るまでって、アルフに見せるために練習してたの? でもアルフだって子供だから。変な格好にしか見えないはずだよね? それとも今日までに練習しておかないといけない、他に何か理由があったのかな?』
『分かんない』
『でも、パパ達はそう言ってた』
『う~ん』
みんなで変な格好の事を考えます。でも考えている時でした。1番大きなヒットベアーさんとキックモンキーさんが、スッ、スッ! と歩き始めたんだよ。その途端、近くで見ていた若いヒットベアーさん達とキックモンキーさん達が、一気に騒ぎ出したの。
歩き方は普通に片方の足を交互に、まっすぐ出すんじゃなくて。右足の前に左足を。左足の前に右足をって。立ってた時と同じみたいな格好で歩いたよ。だからかなぁ、なんかちょっとよろよろに見えました。
それから他にも変な事をしたんだ。歩くのに合わせて、腰を右に左に揺らしたの。くねくね、くねくねって。何でくねくね? 足のよろよろとくねくね、歩きにくくない? こう、くねくね、くねくね……。でも僕、この変な動き、前に見た事あったかも?
あと手は、頭の後ろに付けていた手のひらを、時々右と左で変えたり、腰の所の手も左と右で変えたり。他には片方は腰に、片方はピンッと伸ばしたり。う~ん、やっぱりこれも見た事あるような?
『ねえ、あの変な歩き方は?』
『うんとねぇ、変な格好と一緒に、ああやって歩く時もあるって言ってたよ』
『歩かない時もあるけど、歩かない時は、さっきお話しした他の変な格好をやるんだって』
『何それ?』
ミル君が目を細めて、じとって1番大きなヒットベアーさんとキックモンキーさんを見ます。
ちょっとずつ進んでくる1番大きなヒットベアーさんキックモンキーさん。そんな2匹を見て、騒いでいる若いヒットベアーさん達とキックモンキーさん達は、時々の僕達にそっくりです。
僕やミル君、他の小さな魔獣さん達、お兄ちゃんモルーやちーちゃん達もね。みんなとっても楽しい時は、『ひょ~!』とか『おひょ~!』って、みんなで叫ぶの。それに若いみんなはそっくりなんだよ。
『ひゅ~!!』
『ふぉー!!』
『ひゅうひゅう!!』
って騒いでるの。ね、そっくりでしょう? 後は頭の上でパシパシ手を叩いたり、手じゃなくて足をパシパシ叩いたり。他には手を振り回したり、足を振り回したり。みんな色々、とっても喜んでいました。
『大人でも若い大人が喜んでるね』
『本当だ。おじさんやおばさんは普通だね。騒いでない』
『好きな格好じゃないのかな? みんな好きな格好が違うんでしょう?』
『たぶん? う~ん、でも僕達もよく分からないから』
『『『う~ん』』』
みんなでう~んってやります。僕達がう~んってしてる間に、1番大きなヒットベアーさんとキックモンキーさんは、どんどん歩いて来て。
でも時々とまって、色々な格好をして。パンチする前の格好や、キックしてる格好、それから片腕のガッツポーズしたり、両腕でガッツポーズをしたり。
う~ん、やっぱりこの歩き方、どっかで見たことあるよ。それにあの止まって格好つけるのも、見たことある気がするし。
歩く、格好、大人の人は楽しい。う~ん、う~ん。パパとママも楽しいのかなぁ? 僕はパパとママを見ようとしました。ん? パパとママ? 楽しい? あっ!!




