82.グーちゃん達お手伝い隊到着!!
『我らの周りを見ても分からぬぞ』
『あ、じゃあやっぱり上』
ミル君がグーちゃんに言いました。上?
『そうだ。上というか、正確には背中の上だな。アルフもお前も小さいから見えんだろう。だがお前は匂いで分かった』
『僕の気のせいじゃなかったんだ』
『ああ。最初は内緒にして、驚かせようと思ったのだ』
「ビックリ?」
『そうだ、ビックリだ。でもアルフが嫌いな怖いビックリではないぞ。アルフにとっては楽しいビックリだ』
「たのしビックリ!!」
楽しいビックリだって! 僕ねぇ、怖いビックリ嫌いなの。僕が魔獣さん達と遊んでて、後ろからわっ!! ってされるのが嫌いだし。
夜起きて、おトイレに行った時、廊下の曲がり角から急に誰か出て来たり、おトイレからも誰か出て来たりするのも嫌い。おしっこ漏らしちゃうかもしれないし。
後は、その日は僕の大好きなご飯だったはずなのに。僕の嫌いなニニンがいっぱい入ってたり、美味しそうって思って果物食べたら、とっても酸っぱかったり。嫌なビックリは嫌い。
「ははっ、アルフのそれは、何とも言えないビックリだけどな」
「本人は嫌なのよ。笑っちゃダメ」
「君だって笑っているじゃないか」
「パパ、ママ、なぁに?」
僕が嫌いなビックリをミル君にお話ししてたら、パパ達が何かお話ししてたんだけど。何かなぁ? パパ達も嫌いなビックリがある?
『ハハハッ、大丈夫だ、心配するな。楽しいビックリで間違いない。グリ、見せてやってくれ』
『ああ』
グリちゃんが僕の洋服を咥えて持ち上げようとして、ミル君が急いで僕の頭の上に乗って来ました。ママが抱っこするって言ったけど、グリちゃんがブンブン首を振ったよ。だから僕はぶらんぶらん、いつもよりも揺れて面白かったです。
『ほら、それで喜んでいないで、我の背中を見てみろ。ちょうど皆、こっちに用事があってな。その用事は終わったからアルフと遊ぼうと、そのままここへ来たんだ』
ご用事? 終わり? 遊ぶ? ぶらんぶらんが止まって、しっかりお顔を上げたグリちゃん。それでグーちゃんの背中を見たら、グーちゃんの背中にコケコおじさんと、それからお兄ちゃんモルーとちーちゃんが乗っていました。
「コケコおじさん!! おにいちゃん!! ちーちゃん!!」
あのねこの前、コケコ達の小屋の前を通った時、親分コケコに呼ばれたんだ。それで親分コケコに、ニックネームを考えて欲しいって言われたの。だから僕は今、親分コケコのニックネームを考え中です。カッコいい名前が良いんだって。
それからニックネームが決まるまでも、少し違う名前が良いって言われて。ミル君がおじさんなんだから、ただのおじさんで良いよって言ったんだ。そうしたらどうしてか分かんないけど、ミル君と親分コケコが喧嘩を始めちゃって。
ママにとっても怒られたんだ。それでミル君はおやつのクッキーが2枚あったのに1枚になっちゃって。親分コケコは他の名前が良いって言ったんだけど、僕が本当のニックネームを考えるまで、コケコおじさんのままって言われたんだ。
「おはよ、ございます!! みんなあそびにきましたぁ?」
『おはよう。我はどちらでも良かったんだが、皆が遊びたいと言ったんでな』
『アルフ、おはよう!! え~、親分コケコも、一緒にあそ……』
『コケッ、コケケッ。ちー、早く挨拶しろ』
コケコおじさんが咳をして、途中でお兄ちゃんモルーのお話しを止めて、ちーちゃんにそう言いました。
『アルフおにいちゃ、おはよ、ごじゃましゅ!! あのね、ぼく、アルフおにいちゃと、あそびちゃい。い?』
「ごようじ、おわり?」
『うん、たぶん? あのね親分コケコがご用事が終わって、遊びに来たって言いな……』
『コケコッ!! そうだ、用事は終わった!! が、ちょっと待ってくれ』
コケコおじさんがまた咳をして、お兄ちゃんモルーのお話しを止めちゃって。それからお兄ちゃんモルーと、何かお話しをし始めました。
ちーちゃんは2匹の体の間から首を突っ込んで、お話しを聞いています。でも途中で分かんないって言って、頭を引っこ抜いた後、お兄ちゃんモルーのお隣でゴロゴロしていました。
「ねぇ、ママ~」
「どうしたのアルフ?」
「コケコおじさん、おかぜかなぁ? おせきコンコンだよ。あとでママみてあげて」
「そうね、咳をしてるわね。分かったわ。後で診ておくわね。……ブルーノ、今のって」
「止めるための空咳ですね」
「やっぱり、何となくそうだと思ったのよ」
コケコおじさん、大丈夫かな? お風邪引いたら、すぐにママが治してくれるからね。
『おい、余計なことは言うな。我らが遊びたいからここへ来たなどと』
『何で? だってコケコ親分、遊びたいって言ってたでしょう?』
『アルフは掃除をしにここへ来ているのだぞ。遊びはそのついで、時間が余ったら遊べるだけだ。アルフはいつも、掃除頑張る!! と言っているだろう。そして頑張って我らの小屋を掃除してくれる。そんな頑張っているアルフに、ただ遊びに来たと言ってみろ。お掃除なのに遊ぶの? そんなのはダメ。しっかりと掃除する。お掃除邪魔する我らのことは嫌い、などと言われたら』
『わわ!? アルフ、僕達のこと嫌い!?』
『そういう可能性もあるということだ。そうならないためにも、我らはアルフの手伝いをしに来たと言っておけ。手伝いをするのだって、本当のことだからな』
コケコおじさんとお兄ちゃんモルーのお話しは、すぐに終わりました。それでお話しの後は、お兄ちゃんモルーがとっても元気になってたよ。
『アルフ!! 僕ね、アルフのお手伝いに来たんだよ!! 遊びに来たんじゃないからね、お手伝いだよ!! でもお掃除が終わったら、遊んでも良いからね!!』
「うん? ぼく、おそうじかんばるから、あそぶよ?」
『はぁ、何だその言い方は。言い訳をしているみたいではないか』
『まぁ、アルフも分かっていないから良いだろう。それよりも、そろそろ掃除を再開するぞ』
「がんばる!! おー!!』
『『おー!!』』
『がんばりゅ!!』