75.また遊びに来るね!! マツボックの棘とカーキの種
「ありがと、ございました!!」
『また来るんだぞ。楽しみに待っているからな』
「うん!!」
おしっこの後、一生懸命みんなで宝物を探したら、いっぱいい~ぱい見つけて。僕の宝物の袋は今満杯ぎゅうぎゅうです。いつもは半分くらいだから、僕とっても嬉しいよ!!
だから僕は1匹ずつにありがとをしたんだ。だって全員が見つけてくれたんだもん。だからちゃんと1匹ずつありがとうをしたの。
それで最後はペスさんのご挨拶。ペスさんのご挨拶が終わったら、僕達はお家に帰ります。パパ達は今、荷馬車に荷物を乗っけているよ。
「アルフと遊んでくれてありがとう」
『俺達もアルフと遊べて楽しいんだ。またすぐに遊びに来てくれ』
僕はすぐに、ママにペスさんが言った事を伝えます。
「そう、そう言ってもらえると嬉しいわ。必ずまた遊びに来るから。そうね、2週間後くらいかしら。足りないものを確認しないといけないけれど」
『俺たちはいつだって大歓迎だ。毎日だって良いくらいなんだが』
「ふふふ、さすがに毎日は無理ね。でも近いうちにまた来るわ」
「おい! 準備できたぞ!!」
「分かったわ!! じゃあアルフ、ミル君、行きましょう」
「うん!!」
『は~い!』
僕が荷馬車の方を向いた時でした。頭の上でゴソゴソ動いたミル君。なんかジャンプしてる? 歩いてるだけだから大丈にだと思うけど、気をつけてね。僕はそうミル君に言おうとしました。そうしたらママが。
「そんなに敵対しなくても」
って言ったんだ。敵対? 敵対って喧嘩する事って、それから悪い魔獣さんと戦うことって。前にパパとママは言ってたよね? 誰か敵対しているの? 僕は横を見て、前を見て、後ろを見ました。
でも僕の横にはママしか居ないし、荷馬車の所にいるパパ達も、後ろの魔獣さん達も喧嘩してないし。誰も敵対していませんでした。
「ママー、てきたい? だれ?」
「あっ、違うわ。誰も敵対はしていないのよ。みんながちゃんと木の実を分けてくれるし、私達も木の実を採り過ぎないでしょう? だから森に住んでいる魔獣さん達と敵対しないで、仲良しばかりで良いわねって言ったの」
「そか!! みんななかよし、うれしいねぇ」
僕はまた荷馬車の方を見ます。そうしたらミル君がもう1回だけジャンプして。
『ふんっ、いくら睨まれても、僕は平気だもんね!』
「ミルくん、なぁに?」
『僕も仲良し、羨まし………、嬉しいねぇって言ったんだよ』
「そか!!」
パパに荷馬車に乗せてもらって、荷馬車が動き始めると、ママが僕を支えてくれて。僕はペスさん達にブンブン手を振りました。
「ばいば~い!! またあそぼねぇ!!」
『ああ、またな!!』
『すぐに遊びに来てね!!』
『次は必ず!!』
ん? 次は必ず? 何が?
森に来る時はゆるゆるだった荷馬車。でも帰りはギュウギュウ。ちゃんとマツボックとかカーキが採れて良かったぁ。
次の日、ママのお薬のお家の隣の畑に来ました。今日はお掃除中止だって。今日お掃除するはずだった魔獣さんの小屋が、まだ直している最中でお休みになったんだ。
だから今日は、明後日ヒットベアーさんとキックモンキーさん達に持っていく、マツボックとカーキを、準備することになりました。
あのね、マツボックとカーキは、そのままヒットベアーさんと、キックモンキーさん達の所に持って行ってあげられないの。
マツボックは、隙間に時々棘があってね。それがとっても硬い、ギザギザの棘で。小さいけど刺さると、とっても痛いんだ。それに刺さると、取るもとっても大変なの。だから魔獣さんにその棘が刺さったら大変。
棘の取り方は、マルボックが埋まるくらいの水に入れて、少し経って水で柔らかくなったトゲを引っこ抜くんだよ。これはパパ達だけじゃなくて、森に住んでいる魔獣さん達もやるんだ。湖や池にマツボックを入れて、トゲを取ってから食べるの。
そしてカーキ。カーキには棘はないけど、カーキの実の中、種が問題なんだ。もしも種を食べちゃうととってもお腹が痛くなっちゃって、何日もそれが続くんだよ。
僕には種は大きいし、小さな魔獣さん達は無理やり食べなければ問題ないけど。でも大きな魔獣さん達には小さな種だから、気づかないで食べちゃったら大変。だから実を4つに切って、種を全部取ってからみんなにあげるんだ。
「よし、じゃあまず水にマツボックを入れるぞ」
畑の横にお野菜を洗う、大きな大きな入れ物があって、それにパパが水魔法で水をいっぱい入れます。それからみんなでマツボックを入れていって。僕は1個ずつ。パパとトロイさんは3つずつ。そしてミル君は……。
ミル君は、ポンポンポンッ!! 足でマツボックを5個蹴り上げると自分もジャンプ。空中でまたまたマツボックを蹴って、入れ物にマツボックを入れました。失敗しないで全部入れたんだよ。
僕は拍手。パパ達も凄いなって。ミル君は地面に降りた後、フンッ!! って格好つけていました。
ミル君のおかげで、すぐにマルボックを水に入れるのは終わったよ。棘が柔らかくなるまでは、カーキの種を取ります。種と一緒に実を取らないように。それから種を絶対に残さないように、しっかりと種を探さなくちゃ。
種を取り始めて少し経った時でした。ママがお薬を作っているお家から、ボンッ!! って音がして煙がモクモク。僕の近くにいた小鳥さん達がサッ!! と飛んでいっちゃって。僕とミル君はパパの後ろに隠れて、パパも後ろから小さなお家を見たよ。
小さなお家の窓と煙突から、どんどん煙が出てきます。それから時々ガチャンッ! って音も。その後ドアが開いて、真っ白白のママが出てきたんだ。
「パパ~、ママしっぱい?」
ああ、失敗したみたいだな。他が修理中だってのに。アルフとミルはここに居るんだぞ。トロイ、人を集めてくれ」
「はい」
バタバタ、すぐにみんなが集まってきて、お家の確認が始まりました。ママは片付ける前に、まずはお風呂だって。僕とミル君は来てくれたアイラと一緒に、カーキの種を取る続きをしました。
パパがね、ママの失敗で時々何か飛んでくるって言ってから。それがマツボックやカーキにぶつかって、マツボックとカーキがバラバラにならなくて良かったです。




