73.マツボックとカーキを採った後は?
『ねぇねぇ、ペガサス様、あれってどういう事かな?』
『聞いちゃダメ?』
『待ってろ。まずはアルフがマツボックとカーキを取るのが先だ。俺も気になってはいるが、アルフが楽しみにしているんだ。アルフを優先するぞ』
『分かったぁ』
『アルフの楽しい取っちゃダメだよね』
「ペスさん! ここのとっていいですかぁ?」
『ああ、ちょっと待ってくれ。今行く!!』
パパ達が荷物を下ろし終わるまでお話ししていた僕とペスさん達。ペスさんはペガサスさんのニックネームだよ。僕が考えたの。ペルさんはペスのニックネーム、とっても気に入ってくれたんだぁ。
それで、パパ達が荷物を下ろし終わるのを待っていた時。ペスさんも他の魔獣さん達も、とっても変な顔をしていたんだ。魔獣園のみんなんはキッ!! って見ていたり、ぶすっとやしら~ってお顔をしていたでしょう。
森の魔獣さん達は、困った顔や、目と目の間をシワシワにして睨んでるし。後はちょっと慌ててる顔をしていて。やっぱり変なお顔をしていたの。それからみんなおんなじ方向を見ていて。
僕はお家の時みたいに、みんなが見ている方向を見ました。でもやっぱり何もなくて。時々ミル君は居たけど。なんか今日の魔獣さん達は、みんな変だよねぇ。
どうしたの? って聞いたら、みんなが一斉にいつものニコニコお顔に戻って、何でもないって。それからはどこどこに美味しい木の実があるから、案内してくれるって。木の実お話しをしたんだけど。
今、僕の前には、大きな大きなマツボックの木が。それから大きな木には、大きなマツボックがいっぱいなっていたよ。これ、とっても良いのかなぁ?
「ペスさん、これい?」
『ああ、良いぞ。それと向こうのカーキの木、分かるか?』
「うん!!」
『あそこのカーキの実を採ると良い』
「うん!!」
まずはマツボックから採ります。僕の背だとぜんぜん届かないから、いつもパパに肩車をしてもらうの、他の人達は梯子を使って登って採るんだよ。
魔法は使っちゃダメなんだ。魔法を使うとね、ボロボロになっちゃうの。どうしてボロボロになっちゃうかは、パパ達も分からないんだって。
「よし、今パパが肩車を……」
『俺の背中に乗せてやる』
ペスさんが僕の洋服の首の所を咥えました。
「パパ、ペスさんがせなかにのせてくれるって」
「そうなのか? 大丈夫だとは思うが」
グイグイ引っ張るペスさん。パパがゆっくり僕をペスさんに乗せてくれます。乗る時は危ないからミルくんはパパの頭に乗っておいて。僕がしっかりとペスさんに乗ったら、僕の頭に乗ってきたよ。
『やはり乗ってくるか』
「ペスさん、なぁに?」
『いや、何でもない。さぁ、マツボックを採ってしまおう』
パパがママと交代。ママが僕を支えてくれて、僕はペスさんの背中に乗ったから、目の前まできたマツボックを、クルクル回し始めます。ペスさんはとっても大きいから、パパの肩車よりも高い場所に届くんだ。
そっとそっと、ぐえってならないように。ブチッ!! 綺麗にぐえってならないで採れた!!
「ママ、とれた!!」
「そうね、うまく採れたじゃない」
「ミルくん、とれた!!」
『アルフ、凄い!! 傷が1つもないよ!!』
その後もどんどんマツボックを採っていく僕。僕は全部で5個のマツボックを採りました。2つだけ顔と首がぐえってなっちゃったけど、でも1個も落とさないで、綺麗に採れたよ! 残りはパパ達が採りました。
採ったマツボックは僕がカゴ車で2つ。残りはゴーリーさんが、馬車まで運んでくれたから、最後までしっかり運べたよ。だってせっかく綺麗に採ったのに、ボロッて壊れちゃったらいやだもん。
そしてマツボックをしっかり運んだ後は、今度はカーキの木の所へ行きました。カーキもペスさんが背中に乗せてくれて、全部で6個採ったんだけど。1つだけ失敗しちゃったんだ。
お顔がぐえってなって、その後落としちゃったの。カーキの実の端っこが、ちょっとだけグチャッてなっちゃって。
せっかくペスさんが教えてくれた、美味しいカーキなのに落としちゃって、僕はペスさんにごめんなさいをしました。
『大丈夫だ。そこのリリッスは昨日、完璧にグシャッと潰していたからな。みんな潰すんだ、気にするな。下手をしたらまとめて10個も潰したこともあるんだぞ。それよりも潰れた所以外は食べられるだろう。美味しいから食べてみると良い』
ふわわ!? 10個も!? 僕、そんなに落とさなくて良かったぁ。ママにペスさんのお話しを伝えたら、先にカーキを運んじゃいましょうって。それからマツボックとカーキを採っているうちに、お昼ご飯の時間になったから。お昼ご飯の後のデザートにしましょうって。
すぐにカーキを荷馬車に運んだ後、トロイがお昼ご飯の準備をしてくれました。魔獣さん達もみんな自分達のご飯を持って来て、みんなで一緒にいただきますをしたんだ。
ブラックベアーさんとゴーリーさんは、自分の体の3倍もある魔獣を持って来ていて、僕ビックリしちゃったよ。
「みんなでごはん、たのしいねぇ」
みんなニコニコ、僕もニコニコ。そうしてご飯を食べ終わったら、ママがさっき僕が潰しちゃったカーキと、他のカーキ2つを、綺麗に切ってくれて。カーキもみんなで食べました。甘くて、桃みたいな味で、とっても美味しかったです。
それでみんなニコニコ、カーキを食べている時でした。
『そういえば、聞きたい事があるんだが』
急にペスさんがニコニコをやめてね、僕に聞きたい事があるって。
「なんですかぁ?」
『いや、大した質問ではないんだが。そのウササは何故、ずっとアルフの頭の上に乗っているのだ? 魔獣園からこの森へ来た魔獣から少し話を聞いているが。このウササはもしかして、アルフと1番仲の良いウササなのか?』
「うん!!」
『そうか。だが魔獣園の魔獣がここへ手伝いにくる時は、大きな魔獣ばかりだろう? どうして今日はそのウササが来ているんだ?』
「あのねぇ、ウササじゃないよ。ミルくんだよぉ。ぼくとミルくんと、パパとママと、みんなかぞくになったんだぁ」
『は?』




