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31.あれ? いつも僕を見てくるみんながいない?

「あのねぇ、きょうはぁ、モルーのところにきたの。ぼくがほった、ニニンをもってきたんだよ」


『ヒヒヒン?』


「あ、ごめんね。ことりさんがてつだってくれたけど、みんなのぶんはないんだぁ。こんどほったのをもってくるね」


『『『ヒヒンッ!!』』』


 僕達のは? って聞かれたんだ。僕がホーさん達のニニンを用意するのは大変。小鳥さんがお手伝いしてくれても、ぜんぜん足りない。


 だから今度、別の大きな畑に行った時に、パパ達のお手伝いをして、みんなにニニンを持ってこようと思って。それでみんなに今度持ってくるって言ったら、みんなが分かったって。


 ホーさん達と話しをしながら僕はチラチラ、モルー達の小屋を見ます。う~ん、やっぱりみんないない。どうしたんだろう? あれ? なんか向こうの方、お父さんお母さんモルー達が集まって何かしてる?


『ヒヒン?』


「あのねぇ、モルーが、おにいちゃんモルーとちーちゃんがいないんだ」


『ヒヒヒン』


「でもむこう、おとうさんたちモルーがあつまってるの。へんだよねぇ」


『………ヒヒン』


 どこ見てるんだって聞かれたから、ちーちゃん達がいないって言ったら、そういえばって。それから最後は、確かに変だなって言ったんだよ。たぶん。


「アルフ!! 準備ができたぞ!!」


 お話ししている時でした。パパに呼ばれたから、ホーさん達にバイバイをしてパパの所へ。僕は自分で掘ったニニンを持って、モルー達の小屋のドアの所に行ったよ。それで中に入ったんだけど。


 いつもは僕を見てるから、僕が小屋に入るとすぐに寄ってくるみんな。でも今日は誰も僕のことを見ていなかったから、誰も寄ってこなくて。そして向こうの方、やっぱりお父さんお母さんモルー達が集まって何かをしていました。


「何だ? いつもはアルフが来ると、すぐに集まってくるのに」


「それにあそこで集まって、みんな何をしているんだ?」


 パパ達もおかしいと思ったみたい。持って来た荷物をその辺に置いて、とりあえずみんなの所へ行ってみることに。僕もニニンを置いてパパ達と一緒に、みんなの所へ行ったよ。

 それでみんなの後ろに立ったんだけど、誰も僕達の方を見ません。パパとライアンおじさんのお顔が、ちょっと怖い顔になりました。


「おい」


 ライアンおじさんがモルー達に声をかけます。それでも誰も振り返らなくて。次はパパが少し大きな声でみんなに声をかけました。


「おい!! どうしたんだ!!」


 その途端、モルー達が全員一緒に飛び上がりました。僕もそれを見て思わずジャンプ。それから一斉に僕達を見て来たモルー達。ライアンおじさんを見てパパを見て、最後に僕を見て? 

 

 僕を見た瞬間、みんなが僕に集まって来て。僕の足にくっついたり、お尻にぶら下がったり、洋服にしがみついたり、肩に乗ったり。僕はモルーだらけになっちゃいました。

 ウササの時と同じです。でもモルー達はお兄ちゃんモルーとちーちゃん以外、いつもくっ付いてこないのに。それにね、みんなが色々言ってくるの。


『チュチュ!!』


『チュチュッチュ!!』


『チュキィー!!』


 えと、俺の息子が? みんな穴から? ぜんぜん広くならない? 他にも、かなり時間が経ってるとか、誰にも声が届かなかったとか。それで最後にお母さんモルーが、私の可愛い子が可愛い子が!! って言ったんだ。


 みんなどうしたの? そんなにいっぱい一気にお話しされたら、僕分からないよ。僕が困っている間に、それから話を聞いている間に、パパとライアンおじさんがモルーを取ってくれました。


 ふぅって息を吐いた僕。それで1番近くにいるモルーに、もう1回お話しを聞こうとした時。


「おい……、隊長、あれを見ろ!」


「何だ? どうしたんだ……って、何だあの穴!?」


 パパとライアンおじさんが、さっきまでモルー達が集まっていた場所へ。パパ達はとっても慌てていて、気になった僕は1番近くにいたモルーを手に乗せて、お話ししながらパパ達の方へ。


「どうしたの?」


『チュチュ!! チュチュチュ!!』


 今のは、大変なんだ!! 俺達の息子達が!! って言ったのかな? 息子……、お兄ちゃんモルーとちーちゃん達のこと? 

 僕は話しを聞きながら、パパとライアンさんの間に首を突っ込ませて、それから何とかモルーを乗っけている手も出して、モルー達は見ていた所を見ました。そうしたら……。


「あなっ!!」


 小屋の下の所、小さな穴が空いていました。それから齧った後もついていたよ。


「何でこんな穴が。普通の木の板が腐ったか?」


「それでみんなで外に出ようと思って、オーリオを無理やり齧って、穴を大きくしようとした?」


『チュチュッ!!』


「……え?」


『チュチュチュ!! チュッキィー!! チュチュチュ、チュチュウゥゥゥ!!』


 え? え? え? た、大変!?


「今までモルー達が逃げようとしたことが?」


「いや、1度も。だが穴を見つけて、出られると思って……」


『チュチュチュッ!! チュッキィー、チュチュッチュウ!!』


 わわわ、そんなに前からなの!? 大変だ、大変だ!!


「早くここを塞いじゃわないと」


「そうだな、それと外に出たいと言うのなら、準備をして外の世界へ戻してやろう」


 パパ、違うよ!! 大変なんだよ!! 僕はパパを呼んで、パパ達の間違いを教えようとします。


「ぱぱ!! ちがう!!」


「じゃあ、とりあえず木を持って来て、応急処置をしてから……」


 もう!! パパは僕の声に気づいてくれません。僕はもう1回、大きな声でパパを呼びました。


「パーパーッ!!」


 これでやっとパパが僕の方を向いてくれたよ。


「何だアルフ、ちょっと今、パパ達は忙しいんだ。話なら後に……」


「パパ、ちがう!! パパまちがいだよ!! あなからでたけど、あなからでられなくて、みんなでいっしょうけんめい、あなからでようとしたの!!」


「は? 何だって?」

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