29.明日の予定、ママとドラゴン(前半アルフ視点、後半親モルー視点)
「あのねぇ、ことりさんと、ホクホクとニニンをとったの!!」
「そうかそうか。じゃあ明日はそれを持って、モルーの所へ行こうな。それから次の日はシップの小屋の掃除だ」
「うん!!」
帰ってきたパパと夜のご飯を食べて、それからソファーでゴロゴロしながら、小鳥さん達のお話をした僕。明日はしっかりとニニンを持って行かなくちゃ。それから明後日は、シップの小屋のお掃除だって。
シップは羊さんに似ている魔獣で、毛がモコモコでとっても気持ちが良いんだ。時々毛を刈って、お店に持って行ったり、僕のお家のクッションの中に入れたり、いろんな事に使うんだよ。
あと、シップの毛はモコモコばっかりじゃなくて、サラサラ~って。毛がサラサラのシップもいるんだ。サラサラもとっても気持ちが良くて。サラサラの毛を刈ったら、こっちは糸にするの。
この糸で作ったお洋服は暑い日はサッパリ、寒い日はポカポカになる、不思議な洋服になって。他にも帽子とか靴にも使われるんだよ。何でも使えちゃう凄い糸です。
「それにしても、どうしていつも魔獣達はアルフを手伝ってくれるんだろうな?」
「昔からそうよね。私も手伝ってくれれば良いのに」
「俺なんて蹴られるんだぞ」
「あなたは知らない間に、何か魔獣達にしているんじゃないの?」
「おい、俺は何もしれないぞ? コッコなんていつも蹴ってくるしな……。今度はアルフが教えてくれたように、しっかり挨拶してみるか?」
「まぁ、アルフがみんなと仲が良いのは良いことだわ。良すぎて逆に心配なくらいよ」
「仲良すぎるよな」
「だけど何かがあって、『魔獣は嫌い』なんて事になる方が問題だわ。世界には魔獣が溢れているのに、そんな事になったら生きづらくなるもの。危険な魔獣は危険と理解して、他の魔獣とは良い距離で付き合っていってもらいたいわ。その辺は見守っていかないと」
「そうだな」
「さぁ、アルフ、そろそろ寝ましょうね」
「うん!!」
僕は寝る準備をして、ママと一緒に自分の部屋に。それでベッドに入ると、ママが絵本を持って来てくれます。ママはいつも僕が寝る時絵本を読んでくれるんだ。
「こうしてドラゴンは、たくさんの子供達とお友達になれました。おしまい」
「ねぇ、ママ」
「なぁに?」
「ママはドラゴンさんにあったことある?」
「2回会ったことがあるわよ」
「すごい!! えほんみたいに、おともだちになったぁ? おはなしいっぱいしたぁ?」
「お友達にはなれなかったわね。すぐにどこかへ飛んでいってしまったから」
「そか。おともだちになれたらよかったのにね」
「そうね。ママはお友達にはなれなかったけど、アルフはいつかお友達になれるかもしれないわよ」
「ドラゴンさんにあいたいなぁ」
「さぁ、もう寝なさい。明日はモルーの所へ、忘れずにニニンを持っていかないとね」
「うん!!」
ママにおやすみなさいを言って、僕は目を瞑りました。ママが部屋から出ていく音がして、部屋の仲がし~んとなります。僕はモルーのことを考えながら、すぐに寝ちゃいました。
「もう寝たのか?」
「ええ。様子をみていたけれどすぐに。ドラゴンかモルーのことでも考えながら、寝たんじゃないかしら」
「ドラゴン?」
「今日はドラゴンの絵本を読んであげたのよ。それで私にドラゴンのお友達はいるかって。それでいつかドラゴンに会いたいと」
「ハハハッ、君にドラゴンのお友達か。ぶっ飛ばして使いっ走りにしたドラゴンはいた……」
「あなた? 私が何か?」
「い、いや別に何とも。さぁ、俺ももう1回風呂に入って寝るかな」
「もう!」
*********
『まずいな、誰も気づいてくれない』
『だが、今やれることは、呼び続けることだけだ』
『後はあの穴を、もう少し広げることができれば』
『顔さえ入ってしまえば、その後噛むのは楽なんだが』
『確かに楽にはなるが、すぐに削れるかと言えば』
『そうなんだよな。小屋のあの部分はには、小屋を丈夫に建てるために、オーリオと普通の木と交互に使われているからな』
オーリオとはとても硬い木で、俺達でも齧るのがとても大変な木なんだ。この魔獣園の小屋は、土台をしっかりさせるために、小屋の下は木とオーリオを交互に使い建てられている。
今回穴が空いていた部分は普通の木の部分で、それが子供達が通れる幅しかなく。俺達がしっかり通るのは、もっと幅を広げなくてはいけないのだが。
顔がまだ半分もその穴に入れられていないんだ。何しろオーリオを削らないといけないからな。今交代で、みんなんで頑張って穴を広げている。
それと同時に、俺達は外にいる人間や魔獣達に助けを求めている。が、子供達がいなくなってから、勿論ずっと休まずに助けを求めているが、今のとこと気づいてくれた者達は……。
俺達の声はとても小さいとよく言われる。俺達はそうは思わないし、なんなら今だって、できる限りの声で、外へ助けを求めれいる。しかし。
前に大声で隣の小屋にいる、ファイヤーホースに声をかけたが、何故か気づいてもらえず。アルフに抱いてもらって、ファイヤーホースのかなり側に行き話しかけると、やっと気づいてもらえ。
どうして最初無視したのか聞いたら、ただ単に俺達の声が小さくて聞こえなかっただけだと。信じられず、それからも会う機会が会った魔獣達に聞いてみたが、皆同じ答えで。そんなに俺達の声は小さいのかと、みんなでショック受けたくらいだ。
それほど俺達の声は、外に届きにくい。だからと言って、助けを呼ばないなどそんなことはありえない。
『今は、できる限りのことを。もしかしたら明日、アルフが来てくれるかもしれない。もし来てくれなくても、小鳥が俺達の所へ来てくれたら。その小鳥にアルフに伝えてもらうこともできるはずだ』
『ああ、アルフは俺達の言うことを、よく分かってくれるからな』
『じゃあ、俺は向こうを手伝ってくる』
『俺達は引き続き外に助けを』
どうか、皆無事でいてくれ!!