早くも異世界ライフ 崩壊
目の前には 大きな花畑 その先には たくさんの民家 空には 天空のラ○ュタ並みの浮遊大陸がいくつもっきりとわかる。 それを一通り見渡して 俺は口を開く。
「陣内。 いるか?」
「はい。 隣に....」
陣内は体を起こすとそう言った。
「これは あれで良いんだよな?」
「ですね........」
二人はそう言うと息を大きく吸い 大声で言った。
「「フラグ回収だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」」
俺達は気付けばその花畑から連なる山々 そしてその上に浮く浮遊大陸を呆然と眺めていた。
どうやら本当に陣内の言った通り 『異世界に転生』してしまったらしい。
記憶には確か フラグ回収の話をしていたら 居眠り運転のトラックが歩道に突っ込んで来た。という内容が刻み込まれている。
まさか居眠り運転に短い人生を消されるとは 本当に最悪の世界だったな。
そう頭に言葉を流しながら陣内と道端で座り 黄昏ている俺たちである。
一応あと少しで街?らしき場所には着くものの 案外遠く 陣内が文化部所属の意味もあり 一旦休憩している。
一応俺は運動部をやっていたので何の心配もない。 むしろ 部活動停止中だったので嬉しいくらいだ。
(なんで部活動停止なのかは言いたくない)
さて ところで陣内はというと そこらへんにある 綺麗な水で喉を潤わせている途中だった。
「ふぅ すみません先輩 僕のせいで....」
「いや 気にすんな 俺も疲れていたからな。.......俺にも飲ませてくれ。」
その言葉で陣内は安心したのか 少し笑うと どうぞ と場所を陣内が譲ってくれたので 川に手を入れる。
ひんやりとしていて 冬の水か。と少し思ったが そういうわけでもなく これまた美味しかった。
「にしても 異世界だな。」
「ですねぇ。」
そんな変なやりとりをした後 俺達は立ち上がり
街へと足を踏み入れた。
街は俺達がいた世界とは打って変わって 文明の発達が遅く レンガ状の家が立ち並んで 服もジャンパーや制服のような服はどこにも無く 布で作られた物だけだった。
「なんか 俺の想像とだいぶ違うな。 なんというか ここはゲームの世界の様だ。」
「ですねぇ ラノベでも 大体こんな感じなので...」
「なんでラノベとこの世界の感じが一緒なんだよ...... 誰だこんなの作った奴....」
作「ごめんなさい」
「ん?なんか言ったか?」
「いいえ?」
「そうかなら良い。」
そんな話をしたがら歩いていると やたらと周りの目線が気になった。
「なぁ 周りからめっちゃ見られてる気がするんだが......」
「まぁ 見たことも無い服装を着ていたらかなり怪しいですから......」
「........そうだな。」
そう言うと二人は 服屋を目指し歩いた。
(勿論 目線はいつでも刺さってました。)
「カラーんカラーん」
そんな鈴の音が鳴り ドアを開ける。
そこは たくさんの服が無造作に置かれていた。
「あぁ いらっしゃい。 久しぶりの客だなぁ。 まぁ 好きなの取って行っていいぞぉ。」
「「え?」」
お金はここでも使えるか と話していた二人にとっては それはそれは 驚いたことだった。
「え?いいの? ここの奴だよ?」
陣内が恐る恐る聞くが答えは同じだった。
「やったぁ 先輩 僕達ラッキーですね!!」
そう言い はしゃぐ陣内を置いて 俺はそう言った定員......店長に聞いた。
「あんた 店長だよな。」
「あぁ いかにも 儂はここ 【ルーズベルト】のオーナー『だった』 店長の ルーズじゃ。」
だった という言葉に俺は反応する。
「だった とは?」
それを言うと その店長は顔をうつむき 語り始めた。
「儂のここは元々は良い店じゃった。 定員は日々働き お客様は 笑顔で帰って行っていた。 じゃが ある日 魔王にここの店の本部を壊されてなぁ もう生産が出来なくなった。 それを境に お客様と定員は減り とうとう 明後日でここを閉じることになったんじゃ。」
いつの間にか、はしゃいでいた陣内もうつむき その話に耳を傾けていた。
魔王 ゲームで初めてRPGをした時に そんな話を聞き 冒険者はそいつを倒すために旅立とうとする 普通ならば 「よし行くぞ!!」 そんな軽い感じで良いのだが 本物の世界だと その声も重く こんな事を言い出せる雰囲気ではなかった。
そんな空気の中 一人の影がその店長に近寄った。
勿論 陣内しかいない。
「店長さん 僕と先輩に任せて下さい!! きっと 必ず!! 魔王に土下座させて店を立て直しますから!!!」
え?
「ほ、本当かね!?」
「はい!!」
え? ちょっと え?
「必ず 土下座させます!!」
「ありがとう!! 本当にありがとう!!」
ちょっと 陣内君? なんでそんな事を言っちゃうの? 俺は異世界に来ただけで驚きなのに 来ていきなり魔王倒すとか 無理じゃないかい? 嘘だろ?
という言葉も叶うわけがなく 陣内と店長は二人でとても盛り上がりを見せ とうとう 陣内は店長と指切りすると 服を何着か取り そのまま気絶しそうな俺を押しながら店から出て行った。
「てめぇアホかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「すみませぇぇぇぇぇん!!!!」
俺の怒鳴り声に陣内は頭を下げる。
「せっかく 嫌な現実から逃げて異世界に来たってのに 魔王は土下座させるわ 店は立て直すわ 異世界ライフ完全崩壊じゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「本当にすみませぇぇぇぇぇん!!!!!!」
そんなやりとりをしているので人の視線が当たるが気にせず怒鳴る俺に 謝る陣内
この先の異世界生活が思いやられるわ。 そう思い 自分はさっきの店で貰ったリュックサックのようなバッグを見る。
中には 飲料水(川の水)少量の食材 少しのお金が入っており あとは 転生した時に握ったままだったスーパーの商品が入っている。
この量で はじめに何をするんだ..........謝り疲れた陣内の隣に怒り疲れた俺が座り惚けていると。
「おい そこのあんた。」
薄汚い笑い声が重なり合い ヘドロのように低い声が俺に掛けられた。その方向には。
「良いもの持ってんな? 身ぐるみ全部置いてけ けっけっけっ。」
盗賊がいた。




