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後編

ご覧いただきありがとうございます!

短編小説『離れていても同じ空』の後編(完結編)となります。

島根から東京へ駆けつけた紬と、夢を追う新の切ない恋の結末を、最後まで見守っていただけたら嬉しいです。

※本作はnoteにて先行公開した作品です。

 『ピンポーン ピンポーン』


 東京の新のアパートに着く頃には午後2時になっていた。

 「はい。」

 元気のない声が響くがその声は明らかに新だった。

 「え?どうしたの。」

 玄関のドアを開けると新はびっくりしていた。

 「風邪引いたって言っていたから心配して来ちゃった。行きがけにスーパーに寄って色々買ってきたから。」

 「え?夢じゃないよね。」

 新は頬を撫でる仕草をして、この状況が夢ではないことを確認した。

 「夢じゃない……ね。」

 その様子が面白く、とても可愛く二人で笑いあった。

 部屋に入ると物が散乱していた。

 「最近、掃除も出来ていないから……ごめんね。電話で来ること言ってくれれば良かったのに。」

 「別に大丈夫だよ。それに驚かせたかったし。」

 その後は二人で話続けた。

 すっかり夜になり、二人で買ってきたうどんを啜った。

 新は折角だから、どこか外食しようかって言ってくれたけど、新の部屋で食べるうどんは新鮮で美味しかった。

 「今日はベッド使っていいから。綺麗……ではないけど。」

 「ううん。大丈夫だよ。」

 「そういう訳には行かないでしょ。」

 「じゃあ、一緒に寝てもいい?」

 「いいけどシングルベッドだから狭いよ。」

 二人でシングルベッドに横たわると自然と距離が近くなった。

 「風邪、うつりそうだね。」

 と、二人で笑い合った。


 翌朝、日曜日になり、月曜日から仕事があるので私は東京を去らないといけなくなった。

 新に言った。

 「新、東京に来て2年が経つけど、そろそろ、島根に帰ってくる気はないの?」

 「うーん……。」

 新はお世辞にも脚本家として芽が出ているわけではなかった。

 新の部屋を見渡すと脚本家になるために読んだ本やシナリオライターのガイドブックが本棚から溢れて山のように積まれていた。

 「もう少し、こっちで頑張ってみようかな。」

 「そっか……。」

 本当は新が島根に帰ってきて農家を継いで一緒に畑仕事をしたり、一緒に暮らしたかった。

 だけど、現実の新は夢を追っている。

 新の夢を邪魔する権利は私にはない……けど……。

 シーンとした二人っきりの部屋で私は不意に新にキスをした。

 「紬、どうしたの!?風邪うつっちゃうよ。」

 私は伝えたかった。

 『寂しい……。』

 と。

 だけど、言えなかった。


 帰りの新幹線に乗るために東京駅へ向かった。

 新は、

 「駅まで一緒に行こう。送るよ。」

 と言ったけど、私は断った。新の風邪がこれ以上酷くならないように。

 いや、それは口実だ。

 駅まで一緒に行くと新をそのまま島根に連れて帰りそうだったからだ。


 私は翌日も窓口業務をしていた。

 新と私は将来、一緒に暮らせるかどうか分からない。

 新は脚本家として有名になってほしい。でも、そうなると私のことは忘れてしまうかもしれない。

 将来の夢と私を天秤にかけてほしいとは言えないが、これからもこの葛藤は続くのだろうか。


(了)

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

遠距離恋愛のもどかしさと、お互いを想い合うが故の葛藤に、少しでも胸をキュンとさせてもらえたら幸いです。

もし「良かったな」「切ない余韻に浸れたな」と思っていただけましたら、ぜひページ下部の★評価(評価ポイント)やブックマークで応援していただけると、今後の執筆の大きな力になります!

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【注釈・補足】

※本作はnoteにて公開した原稿をベースに投稿しております。

※本作は欅阪46の楽曲『青空が違う』の世界観からインスピレーションを受けて執筆したフィクションです。

(とても素敵な曲ですので、気になった方はぜひ検索して聴いてみてください!)

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