婚約破棄パーティー?1
「みなさん、今日はお集まり頂きありがとうございます。」
みんなが一斉に会話をやめ、ユウキ兄さんの方を向いた。隣には涙目で唇をかみしめるセレーナ様。
どういう状況だ?
親族のパーティーじゃなかったのか。
でも、婚約者だから親族か。なんでセレーナ様は泣いているんだ?
周りもざわざわとし始める。
そんな中、ユウキ兄さんが深呼吸をし、辛そうに言った。
「俺はセレーナと婚約破棄します。」
会場に緊張が走る。
誰もが息を飲んだ。
セレーナはこらえていた涙を流し、絶叫する。なんと声をかければ……今、声を上げるのは……食堂中が反応にこまったように静まり返る。
「……っ、ん、ぐすっ、ユウキ様、私は守っていただいたのにユウキ様を助けられなかった……ぐすっ、ごめ、なさい。」
その言葉に胸が苦しくなる。
俺もキサラギを助けられなかった……
痛いほどにわかる。
セレーナ様は食堂から走って出ていく。
「セレーナ!」
アイラはセレーナの名を呼び、追いかける。
思わず声をかけた。
「アイラ、どこ行くんだ!」
「アイラ!」
キサラギもアイラを呼ぶだが振り向くことはなかった。
セレーナ様のことを想っているから止まるはずがないとはわかっていた。
こうやって、行動に起こすのは俺には出来ない。
「兄上、アイラのこと追いますか?」
「いや、俺たちはユウキ兄さんの方だ。」
「えっ?あ、そうだね。」
キサラギを連れてユウキ兄さんに近づく。
兄さんは膝から崩れ落ち、ペタンと座ったままだった。
「ユウキ兄さん、どうして婚約破棄を……」
「それは……」
傷心しているから、本当はそっとしてあげたいが……
「ユウキ兄さん!」
語気を強めて言うと、体をビクッと強ばらせてポツリ、ポツリ話し始めた。
セレーナ様が周りの人に当たりが強いこと、それが嫌だったこと、サクラ王女に話したこと、セレーナがサクラ王女を傷つけたと聞いたこと。
「でも、聞いたのはそのチャラ男だけだろ。なんで信じたんだ!」
「そ、それは、普段の行いを見て」
「それでも、婚約破棄はないんじゃないのか!」
「いや、だって」
「だってじゃない、セレーナの境遇を聞いて、俺が守ると言っていただろ。どうして」
「俺は、サクラ王女に惹かれていたんだ。」
「そうか。……でもまだ、セレーナ様を思う気持ちがあるのなら、幸せな道を2人で選べよ。」
ユウキ兄さんにこんなことを言ったのは、キサラギにされたら嫌だと思ったから。
アイラはセレーナ様が好き。
ごめんな、アイラ。
ダメな兄で……でも、お前が好きなのはセレーナ様じゃないだろ……




