限界突破と白銀王
遅くなってしまいすみません。
それから十分後、今までの経緯をクロアに話し終えた。
そして、白夜の話を聞いた彼女の反応は、
「アッハハハ! 道理で見覚えがないわけじゃ。まさか百年も寝ておったはニュハハハハッ!」
何処が面白かったのか、腹を抱えて大笑いしていた。
……魔族とって百年は大笑いする程のことだろうか?
困惑する中、僕はあることに気が付く。
「あれ? クロアって百年も寝っていたのならクロアの年齢って3びゃ――」
「217じゃ! 目が覚めたら、いつの間にか百年経っていただけの話じゃ! だからノーカウントなのじゃ!」
地面から立ち上がったクロアは笑うのをやめて、僕の言葉を強く否定してくる。
そして僕を珍獣を見るように爪先から頭にかけて、ジロジロと眺めてきた。
「……………」
そんなクロアの視線に、気恥ずかしさ感じ、自分の手に持つ少し冷めた串焼きを口に運ぶ。口の中に歯応えのある塩ささみのような味が広がった。
僕が串焼きを食べていると、クロアは再び地面に座った。
「………それにしても異世界人とは、人族とそう変わらんのう?」
「クロアだってその角以外、見た目が人族のように見えるよ」
「そうじゃな。魔族でも人族に似ている奴もおるからのう」
僕がそう言うと、膝を立てて座るクロアがそう呟いて頷く。
……もっとも、今の姿はどう見ても地面に膝を立てて座る美少年にしか見えないけど。
そんな事を考えていると、クロアが尋ねてきた。
「それよりもじゃ小僧。ディアの奴がそのオルレアンとか言う国に攻めたとは本当か?」
「ディア? 誰のこと?」
「〈憤怒〉のことじゃ。ほれ、言っておたじゃろう赤髪に大剣を持った女と」
憤怒の魔王ってディアと言う名前なのか、と心に刻みつつ僕が頷く。
すると、頭のアホ毛がハテナマークを作りクロアは小首を傾げる。
「やはりか……しかし、おかしいのう? あの戦闘狂が人族のような雑魚相手に戦いを仕掛ける奴ではないんじゃが?」
さりげなく人族をディスてるねこの子、と呆れてしまう。
う-ん、と唸りながら考えていた事をクロアは口にする。
「まあ、頭のネジが吹き飛んでおるあやつの事じゃ、どーせ何も考えずに挨拶代わり魔導技をブチ込んだんじゃろう」
うんうん、と一人で納得するクロア。
その様子を見て訳が分からない僕だった。
「……さっきから聞いてるとクロアって随分親しく憤怒の魔王の事を話すけど知り合いなの?」
「うむ、ディアとはわりと親しいぞ。我が統治する領地と隣でのう」
スーとクロアの顔から表情が消えて物騒な笑みだけを浮かべる。おまけに内に秘めた感情に、呼応するかのように頭上のアホ毛からバチバチと静電気が弾けていた。
「………会うたびに胸の事をネタにされてのう、よく殺し合っていたのじゃ。
所謂、殺し愛い友達――殺友なのじゃ」
親しい部類なのそれ? あとクロアにとって胸の話題は禁句のようだ。
「……ケンカ友達じゃないの?」
「我とディアにとって殺し合いなど喧嘩と同義なのじゃが、小僧は違うのか?」
僕がそう指摘すると、クロアが目をパチパチさせ、首をひねる。
「そんな認識、貴方達だけだよ!」とツッコミが自分の口から飛び出しそうになる。
ゆっくりと否定するように僕は首を振る。
「僕的には違うと思うよ」
「うむ、そうか……」
心当たりがあったのか、すぐに納得したクロア。すると……。
「しかし、相変わらず人族は自分勝手じゃのう。異世界から喚び出した小僧達にディアを含めた七罪魔王全員を倒せなどと無謀な挑戦をさせるのぅ」
そう言って僕に憐れみに満ちた瞳を向けてくる。
……一応、その中に貴方も入ってるんだけど。
同情してくれるクロア。その意外な優しさに僕は苦笑い浮かべる。
「そうかな? 下級クラスの僕と違って和馬君は王者級クラスだし聖王具もある。他のみんなだって英雄級クラスだから、七罪魔王とだって意外と戦えるかもしれないよ」
僕がそう答えると、厄介そうにクロアはやれやれと首を左右に振る。
「全然分かっていないのじゃ小僧。お主、たしか師父と同じ〝世界〟のクラスじゃたな。なら【解析】を使えるじゃろう?」
「え? うん、使えるけど」
【解析】――【鑑定】と同種の能力で【ステータス】の一部を視ることができるスキルだ。
「なら我に使ってみろ。それで我の言った意味が分かるのじゃ」
「えっと、じゃあ――『解析』」
焚き火の挟んで向かい合うクロアに【解析】が発動し、僕の目の前に彼女の【ステータス】が表示される。
====================================
筋力 : S (A)
耐久 : SS (S)
敏捷 : SS (S)
器用 : S (A)
魔力 : A (B)
幸運 : C (D)
====================================
「…………」
僕は目を擦ってもう一度その【ステータス】を凝視する。
だが、何度見ても【ステータス】は変わる事は無かった。
冷や汗の一滴が頬に伝わって流れ落ち、僕は震える声で聞いた。
「………ねえ、クロアこのSSってなに? それに越えることが出来ない筈の限界値が全部一ランクずつ越えているんだけど?」
「……なにも知らんのか小僧? これは【限界突破】と言う鍵が独自に持つ、【ステータス】の限界値を越えることが出来る特殊能力じゃ」
成程、と頷く僕。だが、これがどういう意味なのか分かず、首を傾げた。
これなら鍵の所持者全員がクラスの限界値を突破出来るってこと?
と、クロアの顔を見る。すると……。
「はぁ~~、やれやれなのじゃ……」
デキの悪い教え子を見たみたいに深い溜息をついていた。
「まだ、分からんのか? 我に【ステータス】がある意味が?」
「【ステータス】の意味? クラスを獲得しているなら誰にでもあるけど………ああ!?」
僕はようやくクロアの言葉の意味を理解した。
【ステータス】は恩恵が無ければ見ることができない。
魔族である彼女がクラスを持っているということは――
「どうやら気付いたようじゃな」
フッと笑うクロアは、気が付いた僕の顔を見ながら、
「そう、魔族である我にクラスあるなら他の魔族もクラスを獲得しておる。無論、我以外の七罪魔王達もじゃ」
「……でも、どうして魔神アダムの眷族である魔族はクラスを獲得してるの?
確かクラスって女神イヴの恩恵の筈だよ?」
僕がそう問いかけると、クロアは不思議そうな顔をする。
「うにゅ? 魔神アダム? 眷族? 女神イヴの恩恵?
何を言っておるんじゃ小僧?」
……いや、そんな顔されても困るだけど、僕は魔族のことをよく知らないんだし。
「え、違うの? 僕はジャ……友人からそう教えてもらったけど」
「まったくのデタラメじゃな。……魔族は魔神アダムとかいう奴の眷族でもないし。そもそも、そんな奴は知らんのじゃ」
溜息をつきながらクロアが伝えた事実に、「えぇー!?」と僕は戸惑ってしまう。
……まさか魔神アダムが、眷族である魔族から全否定されてるとは。
「それにのう、クラスは無垢なる女神の恩恵の筈じゃぞ」
「……無垢なる女神?」
「うむ。ジジババどもは女神リリスとも呼んでおる」
「……リリス!?」
その言葉を呟くと頭の中に、『これで邪魔ものが消えたねえ。じゃあ今後は白夜がいた世界の事を聞かせて!』と■■■と会話の記憶が駆けめぐり、額をおさえた。
……なんだろう、今の? 僕は誰かと話す約束をしたような………。
突然、僕の行動にクロアが「どうしたのじゃ?」と声をかけてきた。
それに対し僕は「大丈夫です」と空いた片手を振る。
ふむ、そうか、とクロアはアッサリと納得し、先程の続きを話す。
「これで小僧が言うクラスの優劣はなくなるのじゃ。正真正銘、実力勝負になるぞ」
「………もしかして七罪魔王は全員、SSの能力値があるの?」
「そうじゃ、大体一つぐらいある。そもそも魔族は寿命が永いからのう。人族と違って気長に【ステータス】を極めることが出来るのじゃ」
どうやら長く生きてる魔族は【ステータス】をカンストしてるらしい。
道理でクロアは強いわけだよ。とくの昔に【ステータス】をカンストしていたのだから。
「……クロアが魔獣の攻撃が効かなかったは[耐久]がSSだったから?」
「それもあるが我のクラス《美猴王》には、【仙丹八卦炉】という自身の[耐久]より二ランク以下の物理攻撃と魔法を無効化し、一ランク下の攻撃によるダメージを大幅に軽減させる能力があるからじゃ」
そう説明し、クロアは片目をつむって腕を組んだ。
その言葉に、「まるで【装甲】スキルみたいだな」と僕の頭に浮かぶ。
【装甲】は一定数値分の物理・魔法攻撃ダメージをカットする。更に【装甲】系の上位互換スキルにはダメージ軽減や無効化する効果もあるらしい。
……でもそうか! まだ上位クラスのスキルがあ――
僕が心の中でそう思い付くが、
「言っておくが、ディアもそうじゃが世代が変わっていないなら七罪魔王は全員、王者級クラスじゃぞ。おまけに魔王具の力を完全に引き出せるのじゃ」
クロアはまるで僕の心の中を見透かしたように告げる。
……………………。
さらに、
「それにその《正義》を使う小僧は、鍵の力の半分も引き出していないぞ。本来なら鍵の力を完全に引き出せば、あのヘビごとき負ける筈がないのじゃ」
クロアの説教ような一言が、僕をドン底に突き落とす。
そしてさらに奈落の底まで落とし続ける。
「おまけに過酷な環境で育った今の魔族の強さなら、我の知る限り一人で人族百人は倒せるかのう。それに異能を持つ高位魔族なら千人は倒せる筈じゃ」
そう言うクロア。その口調には、人族の事をよく知っているような感じだった。
青を通り越して白い顔になる僕は、掠れた声を絞り出し尋ねた。
「……ねえ、クロア。もしも………魔族と戦争することになったら?」
「完膚なきまでに負けるじゃろうな人族が、はむはむ」
串焼きを頬張りながら、クロアはそう断言する。
その声音はどうでも良さそうな感じだった。
……正直、聞きたくないけど、聞かなければならない彼女に。
「……ねえ、クロアはその戦争には?」
「もちろん、我も参加するぞ。そんな面白そうな戦争を参加しないなどあり得ないのじゃ!」
瞳をキラキラさせながらクロアは嬉々として答えた。
戦争を祭りって言ってるよこの子! でも、今までの会話でそうなるだろう、と僕は思っていた。
なにせ、殺し合いを喧嘩と同列に扱う人物だし……。
「……クロアって憤怒の魔王と同じくらい戦闘狂なの?」
「失敬じゃな小僧! 我は楽しい事と面白い事が好きなのであって、ディアのように戦いに飢えていないのじゃ!」
疑惑の目を向けつつそう聞くと、クロアはぷんすかと肩を揺らしながら叫んできた。
成程、と頷き僕は理解した。
……ああ、つまりクロアは享楽主義者だね………戦闘狂と同じくらいタチ悪いよ!
ツッコミそうだった口を押さえ、僕は考えていた。
――詰んだ。
――完全に詰んでいた。
いや、考えていなかっただろう。恩恵が魔族にも有ることを。
そしてその七罪魔王の一角であるクロアの強さの一端、それを目の当たりにして七罪魔王達を倒せるビジョンが思い浮かばなかった。
どう転んでもオルレアン王国は滅亡する運命だったかもしれない。
……もう元の世界に帰るのを諦めて和馬君の言う通り、別の国で皆と一緒に暮らした方がいいかも。
内心、そんな事を考える僕は落ち込んでいく。
「むぅ………」
流石に言い過ぎたみたいに気まずそうな表情するクロア。すると、突然立ち上がり何処かへ行く。
しばらくしたらクロアが戻ってきた。両手にサッカーボールサイズの魔石を持って、それはクロアが倒したミドガルズオルムの魔石だった。
「……そう落ち込みな小僧。ほれ、これをやろう。我らと戦うにしても、逃げるしても金がいるじゃろう? その魔石を売って金の足しにするがよい」
と、クロアはその魔石を僕に渡した。
受け取った魔石を眺めながら僕は微苦笑を浮かべる。
「ありがとうクロア。………でもこの魔石を貰っても、多分……僕一人じゃあこのカムラン渓谷を脱出できないよ」
カムラン渓谷に生息する魔物は奥へ進むごとに魔物の強さが跳ね上がっていく。
それ故に、この近辺の魔物は街の近くに生息する魔物と比べて遥かに強いのだ。
……そもそも、仲間の中で一番弱い僕がこんな奥まで来れたのも大蛇の魔獣のお陰だし……。
あの追いかけっこ際、他の魔物や魔獣はミドガルズオルムを怖れてあまり出てこなかった。だからこそ、自分はこんな魔境の奥――クロアが封印された場所まで逃げることができたのだ。
「だから、これは君が持ってた方が良いよ」
僕がそう言って、クロアに魔石を返そうとする。
「なんじゃ、その程度のことを心配しておったのか小僧?」
クロアが呆れ気味に呟くと、少し考えながら夜空を見上げた。
やがて僕にグッと左手の親指を立てて、
「……ならば、この傲慢の魔王たる我がその仲間の元まで護衛してやるのじゃ!」
「ええ!? 良いの!」
うむ、と頷きクロアは左手の指で円を作り見せてくる。
「ただし、その魔石は護衛の報酬として我が頂くのじゃ!」
そして、フイッと顔を逸らし、
「(……それに丁度、帰るために旅費が必要になったしのう)」
小声でクロアは何かを呟いた。
……小声だったからよく聞こえたけど、とりあえずは。
「まあ、その程度で済むなら……」
微笑を浮かべ、僕の膝に上に魔石を置く。
「でもクロア。まだ街がある方角が分かんないけど……」
「それならば、あっちじゃ。あっちに大勢の人の気配がするのじゃ」
なんともない口調でクロアは、街があるであろう方向に指さした。
そこには夜の暗闇に満ちた薄気味悪い森があった。
「クロアって探査系のスキルを持ってたの?」
「うむ、我には【神通力】という六つの効果を併せ持つ複合スキルがあってのう。これはそのうちの一つじゃ。大体、効果範囲がこのカムラン渓谷全域におる生き物なら全て把握しておる」
どんだけチートな存在なの君は! とクロアに対して僕は思った。
「……でもその角はどうするの? この国に亜人は珍しいらしいし。それにクロアのあの【ステータス】じゃあ、かなり目立つよ」
苦笑いを浮かべる僕がそう口にして、彼女の頭に生えた角をジッと見っていると。
やれやれと肩を竦めたクロアが「仕方ない」と口元を緩め、
「ふむ、本来ならこっちの大陸でこのスキルは使いたくないんじゃが仕方ないのう――『緊箍児』!」
スキルを唱えると、同時に指をパッチンと鳴らす。
すると、クロアの頭に黄金の光が集まり――黄金の輪になった。
次の瞬間、黄金の輪が眩しく輝き出す。
「――眩しっ!」
僕は咄嗟に手をかざして黄金の閃光から目を守る。
しばらくして黄金の煌めきがおさまった。するとそこには――角が消え不敵に笑う、完璧過ぎる美貌を兼ね備えた白銀髪の美少ね………美少女がいた。
「ふふふ、この姿になるは実に、二百いや三百年ぶりかのう」
「え!? クロアが人族になった!?」
「落ち着け小僧。これは【緊箍児】と言う《美猴王》のスキルが一つじゃ。
全ステータスを一ランク下げる代わりに【ステータス】の隠蔽と偽装。そして人族に変化するスキルなんじゃ」
そう説明してクロアは腕を組む。その見た目に僕は、「その服とあえて言わないけど身体のある一部分が足りないのとその中性的な顔のせいで、どう見ても白銀髪の美少年しか見えないよ」と心の中で感想を呟く。
何故なら、その事をクロアに漏らせば、彼女は絶対に自分をぶん殴るからだ。
しかし、これで誰もがクロアを人族だと思うだろう。
……あれ? 白銀髪に三百年……。
そこで僕はふと記憶からあることを思い出した。
「ねえ、クロア。〈白銀王〉を知ってる」
「フッ、やはり気づいてしまったか小僧」
僕がそう聞くと、クロアは額をおさえてニヤリと笑みを浮かべた。
「そう、我はかつてエノクやトビトの二大陸に〈白銀王〉と呼ばれる二つ名を轟かせたほどの……」
そこまで言うと、腰に手を当て微かに膨らむ胸を張り、
「二大陸一の美少女だったのじゃ! フハハハハ!」
自慢気な大声で言うとクロアが高笑いをする。
そんな彼女の傍で、僕はダラダラと身体から脂汗をにじませていた。
やっぱり三百年前にエノク大陸に来っていたようだ。
……道理で魔族なのにクロアが人族の事をやたらと詳しいわけだ。
だが、それよりも優先するべきことがあった。
……ジルバートから聞いた〈白銀王〉は美少女ではなく――美少年だった。
クロアのあの態度からして冗談でもなさそうだ。
高笑いする彼女を見つめながら、
「……ええっとクロア、三百年前以外でこのエノク大陸にもう一度来たことは?」
「ないぞ。あの痴れ者に呼び出されて久しぶりに来たくらいじゃ、ハハハ」
クロアはそう答える。だとすれば、これから告げる言葉に、僕は緊張と恐怖のせいで口が渇き、心臓がバクバクと脈打つ。
「……じゃあ、その当時に自分から男と言ったことはある?」
「喧嘩売っとるのか小僧?」
震える声でそう質問すると、クロアがいきなり真顔になり、両拳をポキポキと鳴らして睨んできた。
「冗談だよクロア! 僕の世界の常識だと〝王〟って男性が名乗るものなんだ。だから、つい尋ねちゃたんだ」
アハハ……と空笑いをしながら僕は慌てて釈明する。
「おお! そう言えば小僧は異世界出身じゃったのう。ならば常識を知らんのも無理はない。この世界では王の名は一番と言う意味なのじゃ」
……ごめんクロア。そんな常識、異世界に来てから初めて聞いたよ僕。
だが、これで分かった。僕と彼女の感覚がずれていることに。
「そ、そうなんだ……ちなみにクロア。もしも〈白銀王〉が人々から美少年扱いされていたら?」
そう口にする僕に、彼女は「うにゅ?」と小首をかしげて言葉の意味を考える。
――そして、
「当然、我に対する宣戦布告と見なし種族ごと根絶やしにするのじゃ!」
クロアは青筋を立てて叫んだ。これで彼女が〈白銀王〉が人々から美少年として認識されている事実を知らないということが解った。
……ここで僕が――〈白銀王〉が美少年と誤解されている事実をクロアに伝えたら……。
「ふむ、成程………小僧。ちょっと我、そこら辺の人族を滅ぼしてくるから待っておるのじゃ」
と、コンビニに行くようなノリで国を滅ぼしに行くその光景を、今までのやりとりから僕は想像してしまう。
……言えないクロアに事実を伝えることは僕にはできないよ!
「……ところで小僧、何故そのような事を訊く?」
訝しむクロアに、「はっ!」と僕は焚き火で炙る、残りの串焼きを指をさした。
「いや、結構有名な物語だったから聞いたんだ! それとクロア。もう僕、お腹いっぱいだから明日に備えて寝るから残りの串焼き全部食べていいよ!」
「なんとぉ! そうか、分かったのじゃ小僧! 残りは我が責任もって処理するのじゃ。もぐもぐ」
食い気に走るクロア。先程までの話など忘れたかのように残りの串焼きを頬張る。
それを眺めた僕は肩の力が抜けたように、少し疲れた笑みを浮かべた。
「あはは、喉に詰まらせいでよクロア」
「わかっておる」
クロアはよく分からない言葉で返事を返す。
「さてと、明日に備えて今のステータスを確認しよう――『状態確認』」
僕の目の前に【ステータス】が表示される。
本文全体を読みやすいに改稿作業させて頂いています。
読者の皆様には誠にご迷惑お掛けし、申し訳ありません。
クラスの変更や本文もそれなりに修正しています。
興味があれば読んで下さると嬉しいです。




