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色彩のファンタジア ~ 白と黒の英雄讃歌 ~  作者: 小塚 正大
第一章  最弱の白と最強の黒
13/32

一発即発と条件



 

「もう姫様、お行儀が悪いわよ! 乙女がそんなはしたないことしちゃいけません!」

「仕方ないだろうジル!?  これのせいで片手が塞がってるんだから……!」


 ダリアは片手で上げてフルボッコの男をジルバートに見せる。


「それでも限度ってものが――あら?」

「わかったわかった、小言は後で聞く。(まった)くとんだ足止めを食って――うん?」


 そして謁見の間に入ってきた二人は目の前の光景に立ち止まった。


 部屋の中央で兵士達に押さえ付けられたジャン。

 その側で笑みを凍りつかせるピエール大司教。

 兵士達に囲まれ雪妃、直樹、和馬、兵士に捕まった秋吉と桃子。

 涙を浮かべ、泣き叫ぶ蓮花。


 彼等の反対側で笑み引きつらせるシャルバと青ざめる二人の少年貴族。

 玉座から苦々しく顔を歪める国王。

 部屋の端から様子を見物(けんぶつ)する貴族と令嬢達。


 そして今、眼前で白夜を殺そうと、剣を振り降ろそうとする近衛隊長。


「「…………………」」


 無言で謁見の間を眺めた二人は、互いに視線を併せ、頷き会う。

 ここに来るまで出来事で状況を悟るダリアは、目を閉じて空いている右手を虚空に突き出し構えた。


「……そう言うことか、全て納得したぞ! 道理で必至に言い寄るわけだ! ――『魔導武装(アクセス)』」


 呟いた瞬間、突き出した空間が輝き、右手に長剣型の魔導具(レリック)――《ゲオルギウス》を召喚。同時に左手に持つ男を空中に放り投げ、《ゲオルギウス》を握り締めバッターの様に構え――


「我が身に・強き力を――『パワーアシスト』! ジャン! 床にしがみついていろ!」

「ちょっ!? まさか姫様……!」


 何をするか気づいたジャンは絨毯を掴んだ瞬間。


「――『魔導剣(ルーンフォース)』」


 支援魔法で強化した身体(からだ)からスキル――【魔導剣(ルーンフォース)】によって生まれた緑光と烈風を纏い――


「お前の仕業か―――シャルバ!」 


 ダリアは《ゲオルギウス》で落ちてきた男を、シャルバ目掛けてフルスイングした。


「誰が行けずの後家だああぁぁぁぁ! くたばれれぇぇぇぇぇ愚弟ッ!!」

「ぐぼっ!?」

 

 私怨と烈風をこもった人間砲弾はスクリュー回転しながらシャルバ達に襲い掛かる。


「なっ! そんなバカな――ぶばっ!?」

「「シャ、シャルバさ――ぎゃあぁぁぁ!?」

 

 慌てて避けようとするシャルバ達にクリーンヒット。ボウリングのピンの様に吹き飛ばされた。

 謁見の間にいた全員は唖然とその光景を見つめる。

 その隙にダリアは捕まったジャンの元に駆け抜け、その勢いまま《ゲオルギウス》を薙ぎ払う。


「はあぁぁぁぁぁぁっ!」


 剣圧で兵士達と床の一部を吹き飛ばすと、見物していた貴族達が悲鳴を上げ騒ぎだす。


「「「うわああぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」

「「「きゃああぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」

「ひ、姫様! 無茶苦茶ですよ!?」

 

 絨毯にしがみつき、吹き飛ばされるのを耐えたジャンは顔を上げた。


「いいから立て! 私はユキ達のところに行く!」

「な、ハクヤを見捨てるですか、姫様!?」

「ハクヤ殿の元には、既にジルが向かった!」


 雪妃達の方に振り返るとダリアの耳から、パキーーッンと金属が割れた音が聞こえた。そちらに顔を向けると、

 剣を砕かれた近衛隊長が後ろに下がり、ジルバートと対峙するのを確認した。

 あっちは大丈夫だな、と頷きダリアは疾風の速さで駆け抜けた。ジャンはその後ろで急ぎ追いかけてきた。


「「「「ダリア!!」」」」

「なぁ!? ダ、ダリア殿、これはどういうつもりですか!? ――ぐぅ!」

 

 安堵する雪妃達の近くに辿り着くと、ダリアは側いた二人の兵士を倒し、強化された片手でピエールの襟首を掴み持ち上げる。

 

「………黙っていろ大司教殿。今の私はかなり機嫌が悪い……下手のことを喋るなら、このまま絞め殺すぞ!」

「ひぃぃぃぃ!?」


 ダリアの脅しに、ピエールは青ざめた顔で大人しくなった。

 ジャンは雪妃達と合流して共に、事の成り行きを見守る。

 ダリアは憤然した顔を隠さず、玉座で目を閉じる国王を睨みつけた。


「……父上、一体どのような理由で、ハクヤ殿にあのような蛮行を?」

「…………ダリアよ。あの小僧は下級(コモン)クラスであり〝世界〟のクラスだ。弱いと解った以上、勇者の資格が無いと判断したまでのことだ」

 

 国王(父上)の冷酷な答えに、ギリッと《ゲオルギウス》に強く握りしめ、


「……我々の都合で召喚しておいて! 何処まで堕ちれば気が済むのですか父上!?」

「………………」

「兄上が生きていた頃の、聡明で優しかった貴方は一体っ~~」


 激情が全身を駆けめぐる。瞬間、掴んでいたピエール大司祭を手放す。

 下手に持っていると、この心に渦巻く感情で絞め殺してしまいそうだったからだ。


「うぐっ!? ひぃぃぃぃ!」

 

 ピエールは絨毯に尻餅つき震えながら後退(あとずさ)る。

 伏せて顔を隠すダリアは怒りを押し殺し、震えた声で――


「…………これ以上の愚かな(おこな)いを続けるのなら、私にも考えが有ります父上。貴方には多少、強引でも玉座を退いて貰います」

「………くくく、ははははははははははっ!」


 覚悟を決めたダリアに、国王は震えて狂ったように笑う。

 そして近くにいる気絶したシャルバ、尻餅をついたピエール大司教、慌てふためく貴族達を、順に眺めた後、ダリアと向き合う。


「余を玉座から退けたとしてダリアよ、お前が玉座につくのか? 玉座(これ)を手にした後、お前は何を()す? 民を苦しめ私腹を肥やす貴族、私利私欲で動く愚息、女神の名の元に腹の内も見せぬ教会、この国を蝕む現状に――」


 ギラッと鋭く刺さる視線を向け、


「貴様はこの国をどう守っていくつもりだッ!!」


 国王はそう叫んだ。それは王としての立場か、父としての立場で出た言葉かは、本人にしか解らなかった。

 

「………少なくとも今の父上、貴方の復讐によってもたらす悲劇が止まります。後のことはジャン達と共に国を立て直していきます。だから素直に隠居を!」


 ダリアは俯きながら真摯(しんし)に自分の考えを訴えた。


「無理だ! 前に言った筈だぞダリアよ。余を止めたいのなら、余を殺せと」

「――っ!?」

「我が内にあるこの黒い炎がある限り余は止まることはない」


 断言する国王の言葉に、ダリアの泣きそうな顔を上げ息を呑んだ。


「「……………………」」


 互いに意見が合わず睨み会う娘と父親、一触即発の雰囲気だった。

 そして周囲は静まり緊張した空気が漂い始めた瞬間。


「「『魔導武装(アクセス)』」」

「「――ッ!?」」


 緊張した空気を壊したのはジルバートと近衛隊長の二人だった。

 すぐに二人の方に振り向く。視線の先にカイトシールドを構えるジルバートと白い槍を構え対峙する近衛隊長の姿があった。



  ◇ ◆ ◇ 



 ダリアが男を打ち出し駆け抜けた時、白夜の前にいた近衛隊長は急ぎ部下に指示を出す為に、ジルバートから視線を()らした。


「――ハッ!? お前達! 陛下をおま――」

「あ~ら~? ヴァンく~ん、ワタシから目を逸らしてもいいの?」


 その瞬間、眼前に移動したジルバートは、ブーンと風切り音が鳴る拳で近衛隊長を殴りつける。


「――しまっ、ぐう!?」


 迫りくる剛拳を近衛隊長――ヴァンは咄嗟に手に待っていた剣で防ぐ。だが――

 パキッーーンと砕かれ、ジルバートから距離をとる。

 それから彼は間合いをはかりながら油断なくジルバートを睨み付けた。


 そんなヴァンと対峙するジルバートは、白夜に心配そうに声をかけた。


「うふ~ん、ハクヤくん大丈夫? ケガしてない? ワタシが確かめてあげるわ♪」

「ひぃぃ!? 大丈夫です! ジルバートさん助かりました!」


 白夜は恐怖で震えながらも、助けて貰ったお礼を言う。


「もう~別に、さんは要らないのに~、まあいいわ。さてと……」


 ジルバートは苦笑して目の前、こちらをじっと睨むヴァンに親しげに話しかける。


「………これはどう言うことなのヴァンくん?」

「………………陛下の勅命だ」


 顔に手を添えたジルバートの問いに、ヴァンは砕かれ剣を一瞬、視線を向けて答えた。

 そんな寡黙(かもく)なヴァンに、仕方ないとジルバートは首を振り前に出る。 

 

成程(なるほど)ね、貴方も相変わらず真面目ねぇ。いくら陛下の(めい)でも間違っているのなら正すのも臣下の務めじゃないの?」

「………命じれた以上務めを果たす、それだけだ。他の者は陛下の元へ!」


 そう言い切り、国王に対する忠義を示すヴァンは、片手を虚空に突き出す。

 近くにいた兵士達は玉座に向い、そんなヴァンの態度にジルバートは――


「ふ~ん? 実に貴方らしい答えね。で~も~、さすがに温厚なワタシでもハクヤくん達を泣かした貴方達の行動にーーキレちまたよ!」


 親しげな雰囲気から一変して、凄みのある声と雰囲気でヴァンに睨み付けた。

 白夜の目の前。そこにはインパクトがある見た目の漢女(おとめ)だったジルバートの姿なく、歴戦の猛者と呼ぶに相応しい(おとこ)の後ろ姿があった。


「………本気かジルバート?」


 ジルバートの雰囲気が変化したことを察知したヴァンは警戒を強め問い掛ける。


「泣いている子供を助けるは漢女の務め! 目の前で泣いている子供を助けるのは当たり前よ。――さあ、ヴァン。そんなナマクラじゃなくて本来の得物(・・・・・)を出しなさい! じゃないとすぐに終わるわよ」

「………………」


 いや、お前明らかに子供を泣かす側だろう、と視線で訴えるヴァンは砕けた剣を捨てた。

 ジルバートは片手を突き出し、一触即発の空気が流れ二人は同時に唱える。


「「『魔導武装(アクセス)』」」


 手から光が溢れ、二つの魔導具(レッリク)が二人の手に現れた。

 ジルバートは赤薔薇(バラ)の模様が描かれた葉型盾(カイトシールド)を装備すると、ヴァンは白い穂先の槍を持って構えた。


「ふふふ、貴方の能力(スキル)殺しの《ロンギノス》。ワタシの《アンドレ・ル・ノートル》の薔薇の宮殿、どちらが強いのかしら?」

「………最後の警告だジルバート。その盾を仕舞う気は」

「ないわ!」

「……そうか、咎人(とがにん)を刺せ!」

「美しく築き上げなさい!」


 二人の言葉に反応して互いの魔導具(レッリク)が光り輝く。


「――『救世主を貫く(ロンギ)――」

「――『美しき薔薇の(ヴェルサ)――」


 二つの魔導技(アーツ)を発動する直前――


「そこまでだ、ジルバート! ヴァン! 双方、魔導具(レッリク)を納めろ! 他の者達もだ」

「「!?」」


 国王の一言で二人は魔導技(アーツ)の発動を中止し、ジルバートとジャンは互いに魔導具(レッリク)を構えた状態で睨み会う。謁見の間にいた兵士達もゆっくりと武器を納めていく。



 ◇ ◆ ◇ 



 そんな二人の姿に、「はあ~~」と溜息(ためいき)を漏らし国王は深く椅子に座り、ダリアに向き直す。


「良かろうダリアよ。小僧の処刑は取り止める。お前の望みはなんだ?」

「『武装解除(リリース)』………ハクヤ殿やユキ、勇者達を今後の支援と教育を私にお任せください」


 光に包まれ《ゲオルギウス》を仕舞うとダリアは頭を下げた。


「良い、勇者達の今後はダリア、お前に任せる。ただしその小僧は駄目だ! その者には国外追放とする。それが条件だ」


 国王は白夜を憎たらしく睨み付け、その言葉を聴いてダリアは怒鳴りながら反論した。


「右も左も分からない者にそれは処刑と同じです父上! お考え直し下さい!」

「ならば成果を挙げよ」


 父の意味ありげな一言に、黙って思案するダリアは問い掛ける。


「……具体的には、どの様に?」

「カムラン渓谷にあると()われる(キー)の内、一つでも手に入れる事が出来たのなら勇者として認めよう。それまでの(あいだ)は国に滞在を許すが、支援は一切しない」

「なっ! かの魔王が作り上げたというあの魔境にですか!?」


 驚くダリアの問いに、国王はただ頷く。

 その事を知ったジャンは言葉を失う。

 そんな二人の内容に理解できない白夜達は首を傾げる。


「我が国が所有する魔導具(レッリク)の貸与は」

「当然、無しに決まっている。元々、数の少ない貴重な魔導具(レッリク)を授けるなど言語道断(ごんごどうだん)だ」


 次の問いには、ダリアは何がなんでも頷かせる覚悟で問い掛ける。


「個人的な支援に関しては?」

「………好きにしろ。個人である以上、余は関与しない。勝手せよ」

「解りました。ハクヤ殿に関しては私に考えが有ります」


 ほぅ、と安堵するダリア。だがすぐにキリッとした顔で、


「……この場で暴れた私達に対する処罰は?」

「役目を与えた以上、今回不問とする。次はしっかりと己の立場を自覚せよ、王国騎士総団長(・・・・・・・)


 国王(ちち)があえて、自分の役職で呼んだ。


(王に仕える騎士達を統括(とうかつ)する立場の者が安易に秩序を乱すな、という意味か。それとも……)


 そう理解したダリアは頭を下げる。


「解りました。他になにか?」


 その問いに、国王は何もないと首を振った。

 

「では、私達はこれで退室させて頂きます。宜しいですね?」

「良い、兵士達よ! 勇者達に道を開けよ」


 国王の命令に捕まっていった秋吉と桃子は解放され、眼前の兵士達は人が三人も通れる道を開けた。


「ジャン! ジルバート! ハクヤ殿やユキ達を連れて私に付いてこい」

「了解しました姫様! では皆さん私に付いて来て下さい!」

「まあ、今はダリア達を信じるわ、良いわねみんな」

「「「うん!」」」

「「おう!」」


 この異世界の友人達を信じることにした蓮花達は雪妃の掛け声に返事を返す。

 ジャンを先頭に雪妃達は兵士達を警戒しながら空いた道を進み始めた。



 ◇ ◆ ◇ 



 国王との話し合いを終えたダリア達が、此方に向かって来る姿を確認したジルバートとヴァンは「武装解除(リリース)」と互いの魔導具(レッリク)を仕舞う。


「どうやら、この勝負はお預けねヴァン?」

「………陛下の命令だ。仕方ない、そこの青年」

「は、ハイ!?」


 兜で表情が分からないヴァンに話し掛けられた。

 殺されかけたことを思い出し、白夜はガクブル身体が震える。すると、


「………すまない」

「――え!?」


 一言謝った。そして用が済んだのか、ヴァンは振り返り部下の兵士達のところに足を運ぶ。

 混乱する自分の肩を苦笑するジルバートの太い手で叩かれる。


「ふふふ、ハクヤくん、気にしないでヴァンは不器用なのよ」

「ジルバートはヴァンさんとは知り合い?」

 

 随分と親しげだったから質問してみた。


「ヴァンとは同期なの、お互いに仲むつましく愛し合った仲よ♪ (ガンッ)――あら?」


 そう言った瞬間、回転する鞘が剛速球でジルバートの顔面に命中した。

 白夜は飛んできた方向に視線を向けると、鞘を投げた体勢のヴァンがいた。

 そして彼は体勢を戻し、ジルバートに親指で喉元をカッ切るサインを贈り去っていく。隣の部下らしき兵士が「切磋琢磨に鍛え在ったライバル、ライバル」と手を振りながら彼の後を追う。


「もう、そのくらい大胆なら五年前に、騎士総団長に就いてくれればこの国も安泰だったのに」


 肝心のジルバートはクネクネしながら何事もなく話を続ける。


「ヴァンさんは、そんなにも凄い人なんですか?」

「そうよ、元々五年前にシャルマ王子と共に死んだ総団長に推薦されるくらいの逸材だったのよ。……本人は断るからアイツが就任したけど」

「なに他人事のように言ってるんだ、ジル! お前もその総団長候補の一人だろう」


 他人事のように語るジルバートに、皆を連れて歩いて来たダリアは呆れて文句をつけた。


「前にも話したでしょ! ワタシはそんな柄じゃないのよ!」

「柄ってお前ぇな~。……そんな物言いだから当時、前総団長に不満を持った団員達が造反(ぞうはん)を起こそうとしたんだぞ!」


 ジルバートからの物言いに、ダリアは目を険しくさせた。


「もう過去のことよ姫様、ちゃんとお詫びに今も副団長を勤めているでしょ。それで陛下との話し合いは終わったの姫様?」

「そっちはある程度は解決したが……まだ問題は山積みだ。しかし今日のところは」

「白夜君!」

「小島さん!? グハッ!」


 ダリアの後ろから飛び出した蓮花が抱きついてきた。


「うわ~ん! よがったよ!? ぐすっ、無事で生ぎでいでくれてよかった!」


 蓮花に抱擁された白夜からメキメキと音を立って、口をパクパクさせ助けを訴えた。


「小島さ、ギブギブ!? 離して!」

「うわ~ん!!」

 

 ゴリラのような怪力で締め付けられ、口から泡が吹き出す。

 その白夜の状態に気付いていない蓮花を、慌てて雪妃とジャンが引き剥がした。


「蓮花! 落ち着きなさい! 天城君が泡を吹いてるわ!?」

「ダメですレンカ殿! まだクラスを獲得したばかりで肉体の力加減が出来ないですから!」

「え? あ!? 白夜君! ごめんなさい!」


 パッと抱擁(ベアハッグ)から白夜を解放する蓮花。

 ジャンに回復魔法を掛けて貰い、顔色が良くなった白夜は立ち上がった。


「ふぅ~これで良し、レンカ殿や皆さんも気を付けて下さい。今はクラス獲得の直後、三系統クラス特有の症状が出ていますから」

「三系統クラス? この身体の違和感がそうなのかしら?」


 手を握り確める雪妃はジャンに質問する。


「ええ、そうです。皆さんが感じる身体のズレは獲得した二十二クラスの数と種類、三系統クラスによって違いが有るんです」

「具体的にどう違うのジャンさん」


 指を折り数えるジャン。


「まずレンカ殿のように、肉体にかなりズレを生じるファイター系クラス。

 《戦人》《斧使い》《武闘家》《侍》《刺客》《凶戦士》《槍使い》

 主に前衛や接近戦を得意する七クラスです」

「だから、オレの身体が妙に力加減が出来ねえか」


 そう言うと直樹は適当に身体を動かす。


「他に魔法や後衛を得意するマジックユーザー系の七クラス。

 《黒魔道士》《踊り子》《召喚士》《白魔道士》《魔導士》《占術士》《遊吟詩人》

 比較的に身体のズレが少ないクラスです。後は……」

「私はそのマジックユーザー系なのね」


 成程(なるほど)ね 、と雪妃は持っている四枚のタロットを眺めた。


「じゃあ残りの八クラスはどの系に入るのかしら?」

「様々な技能や支援・援護などを得意とするサポーター系の七クラスです、ユキ殿。

 《戦術士》《盾使い》《盗人》《鍛冶士》《魔物使い》《技士》《弓使い》

 この七クラスは身体のズレが多少あります」

「ふ~ん、なんかさっきから、あたしの目がよく見える理由はそれだったの」


 部屋の彫像を隅々まで目視する桃子。


「ええ、ですから皆さん、身体が慣れるまで注意して行動して下さい。下手すると怪我をするかもしれませんから」

「僕にはその違和感が無いけどジャン、〝世界〟のクラスは?」


 元気になった白夜は自分を指差す。


「《無能者(ノービス)》は、全ての系統に属す例外なので分かりません」

「ジャン、話が終わったなら謁見の間から出るぞ。ハクヤ殿達も何時までもここには居たくないだろう?」


 ダリアの提案に、(みんな)は貴族達や兵士達、そして国王と気絶したシャルバ達を眺めた後。肯定するように頷き、謁見の間から大扉をくぐり廊下に出て行くのであった。


前話で《世界》クラスを修正しました。小説を書くのは難しいですが頑張って次も書いていきます。最後まで読んで頂きありがとうございます。ご指摘、質問や感想などお待ちしています。

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