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クラスマッチ-終幕の話

C組は俺たちの行動を読んで動いていた。まず狙われたのはシュメリアだ。


「君たちは何なのです。」


彼女の魔法は高威力だが、範囲があまり広くないので、多数を相手にするには不利だ。まぁそれを考慮しても、シュメリアを足止めするためには12、3人も必要みたいだが。


「早くどっかに行くのです。ものすごくめんどくさいのです。」


いくらシュメリアが魔法を放とうとも、ターゲットされてるやつとその周囲が防御に専念し、残りが攻撃に転じればそれ以上の攻撃を続けられない。

他の誰かが助けに向かえば足止め役を倒せたかもしれないが、それは不可能だった。ただ散開隊形をとっていただけでなく、散り散りになったA組の生徒は各個撃破されつつあったのだ。


「いや、やめて!」


「3対1なんて卑怯よ!」


あちこちからA組生徒の悲鳴が聞こえてくる。


「おい、本当にこのままで大丈夫なのか?」


「そんなこと私に聞かれてもぉ、知らないわぁ。」


「いいですか、あなたたちはこの作戦の要なんです。相手の出方を見て最善を尽くしてください。」


その時、俺たちの背後からよく知る声が呼びかけてきた。


「護衛1人しかいないの?それじゃあ多勢に無勢ってのにも程があるわね。残念だったわね、イリアス君。これでC組の勝ちよ。」


振り返るとそこには、残りの全員を率いたセレンちゃんが待ち構えていた。


「万事休す、だな。」




「ただいまー。あと少しだったんだけど逃がしてしまったわ。」


「おかえり、セレン。逃がしたと言ってもちゃんとダメージは与えたんでしょう?」


「ええ、もちろん。でも、もうすぐA組の子たちが復活する時間よ。念のため私はあなたのしゅういの警護にあたるわ。」


「そうね。まぁ『最強の矛と盾』がいない今、セレンの手に余る相手はいないし、残りは全部イリアス捜索班に回しましょう。」


「了解。みんな聞いたわね、敵が体勢を整える前に大将を討ち取ってきて!敵は手負いよ!油断をしなければ目じゃないわ!」


鬨の声が響き渡り、C組陣営からぞろぞろと群衆が出てきた。



「私はイリアス=ガルディックとは直接対面したことがないからその怖さは知らない。でも噂通りの人物なのだとしたら… みんな相当恐怖よね…」


「恐怖なんて感じる必要ないわ。実際イリアス君自身が怖いわけじゃない、むしろ穏やかすぎるほどよ。士気が高まっている今ならば、魔法にさえ気をつければ必ず勝てる相手よ。」


「そっか、セレンは会ったことあるのよね。本物に。すごいことだと思うわ。私にはそんな名誉なこと一つもないから。」


「会ったことあるくらいじゃ何の名誉にもならないわ。でもあなたは、クラスマッチ優勝クラスの大将になるの。それだけでもすごいのに、相手はあの2人よ。」


「なるほど!これで勝利すれば『最強の矛と盾』を倒したことになる!これ以上の名誉はないわね!」


「そう… だね。」


「…? どうしたの?」


「明日からは『二本の矛』になるんじゃないかなーって思ってさ。」


「何を言ってる… まさか!」


「そのまさかだと思うぞ。今ここにいるのは、あんたが信頼してるセレンちゃんじゃない。クラスマッチで優勝するのは俺たちだよ、C組大将… 名前知らねーや。」


俺を捜索していた奴らいわく、雷が落ちたような衝撃と真っ白な光が押し寄せてきたとのことだ。




「……………以上をもちまして、第七学年のクラスマッチを終了いたします。優勝したA組は記念品の贈呈がありますので訓練所に集合してください。30分後に8年生のクラスマッチを開始予定です。」


訓練所に集まった俺たちは勝利の喜びを噛み締めていた。


「いやーまさか優勝しちまうなんてな!」


「あんなめんどくさい作戦意味あるのかーって思ってましたけど… イリアス君に従ってよかったです!」


「いや、今回勝てたのは俺だけのおかげじゃない。半分以上も引き止めてたシュメリアも、変身の魔法を使ってくれたフリージアちゃん、透明化の魔法を使ってくれたユキちゃん、それに囮を引き受けてくれたみんなも。みんなが揃ったから勝てたんだ。」


「でもC組もまさか大将が偽物なんて思わないわよねぇ。それに大将自ら変身して自軍に潜り込んでいるともぉ。」


「シュメリアの参加までは予想してなかったが、どのみち散開隊形をとってりゃ向こうは必ず各個撃破に出る。その隙を突くのは当たり前だろう。」


俺たちが狂喜乱舞しているところへエミ先生がやってきた。俺たちと同じくらい嬉しそうな表情をしている。


「みんなお疲れ様!そして優勝おめでとう!」


おめでとうございまーす!と俺たち一同が返すと、エミ先生はバッグから木箱を取り出した。


「これが記念品らしいですよ。開けてみましょうか。」


木箱の中に入っていたもの、それは盾と矛をあしらった金色のトロフィーだった。こいつが、俺が学園生活で最初にもらった賞だ。

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