表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/25

宵越し


……腹立たしい。


にこやかに話すリューオーの話を聞いて、1つの単語あげるとしたら真っ先にこれだろう。


確かに、もし自分の立場であったとしたら言いそうだと思うだけに、苦々しく感じる。


前半はよかった、よっぽど異世界トリップ堪えているんだなあーと思わせるくらい、物憂げな笑みを浮かべていたものだから。


過去を思い出してから、だんだんと皮肉めいた微笑みに変わったのがいけない。


にこやかという言葉が合う男だとは思う。


けれども、そこに腹黒といった言葉も垣間見えるとは思ってもみなかった。


……にこやかって、こんなおどろおどろしい意味もあったかな?


本当、前半はよかったのに。


「昔のわたしも、こうだったかもしれませんねえ」


ぶつくさしているあたしを見ながら、リューオーは独り勝手にくすくす笑う。


余計に、腹立たしい。


「さて、もう夜も遅くなりましたことですし」


また話は後にしまして、そろそろ寝ましょうか。


夕食前まで寝ていた客室が、しばらくの間あたしの部屋になるらしい。


わたしはあそこで寝ますから、と言って指をさした先はリビング奥の扉。



ほんと、ものすごい広いところに住んでいるな、このひと!!



……今更、だけれど。


部屋にある衣服を勝手に使ってもいいらしく、ついでにトイレと浴室の場所も教えてもらう。


「それでは、おやすみなさい」


そう言って、さっさとリューオーは自室へと向かう。


扉が閉まる音を聞き、しばらくして、なんとなく虚無感を覚えた。


「お風呂はいってこよー」


気持ちに疑問を持ちながら、それをかき消すように独り言を呟いた。


前の世界ではシャワーはあっても風呂の、習慣というか文化がなかった。


久しぶりのお風呂。


他人の家の風呂を好き勝手に堂々使っているなんて、図々しいけれど。


ゆっくり浸かろう。


夢見た念願のお風呂。


あたしはわくわくしながら、そして、浴室に向かったのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ